【葛飾区】サンクレイドル新小岩Ⅱ
新小岩駅徒歩14分・全68戸・2〜3LDK|建築士が見た"街並みへの溶け込み方" ― 第1期の価格と、海抜0m地帯・準工業地域で確かめたいこと
サンクレイドル新小岩Ⅱは、JR総武線「新小岩」駅の北口から徒歩14分、葛飾区東新小岩6丁目に建つ全68戸の新築です。2026年10月3日から第1期10戸の先着順受付が始まり、価格は7,098万〜9,248万円と発表されました。この記事では、二つの棟をL字に並べた低い建物の設計、駅までの道のり、海抜0m前後の土地のハザード、準工業地域という用途地域の意味、そして周辺の中古と比べた価格の水準まで、一級建築士として20年、設計の現場から見た目で整理します。
結論から言えば、「23区で専用庭や3LDKを7,000万円台から持ちたい」人には有力な候補ですが、水害への備えを自分で引き受けられることが条件になる物件です。最後のまとめで、すすめる人・すすめない人の判定もしています。
| 価格(第1期・10戸・先着順) | 7,098万円〜9,248万円(最多価格帯は7,300万円台・3戸)。2026年10月3日から先着順で受付 |
|---|---|
| 間取り・広さ(第1期) | 2LDK・3LDK/59.80〜71.45㎡ |
| 第1期の住戸の例 | 102号室(Bg・2LDK+DEN・63.84㎡・専用庭付き)7,098万円/406号室(F・3LDK・63.84㎡)7,398万円/307号室(G・3LDK・67.26㎡)7,848万円/410号室(J・3LDK・65.58㎡)8,298万円/108号室(Hg・3LDK・71.45㎡・専用庭付き)9,248万円/314号室(N・3LDK・70.30㎡)9,248万円 |
| 坪単価(計算) | 上の6戸で1坪あたり約368万〜435万円(7,098万円÷63.84㎡×3.3058、9,248万円÷70.30㎡×3.3058 で出した目安) |
| 次の販売期 | 第2期の販売予定価格は3LDKで6,400万円台〜(100万円単位)。販売の時期と戸数は未発表 |
| 管理費・修繕の積立(月額・第1期) | 管理費14,170円〜16,640円、修繕の積立6,820円〜8,150円(このほか引渡し時に修繕積立基金41万6,020円〜49万7,150円と管理準備金を一括で払う) |
| 完成・引渡し | 2028年2月下旬(予定)。当初の2028年1月下旬から変更された |
比べる物差しとして、同じ駅の北側(東新小岩・西新小岩、徒歩12〜17分)で売り出し中の築11〜14年の中古は、坪単価@264〜329万円です(記事の「価格と周辺相場」の表。2026年10月時点の目安)。
※第1期の価格・住戸は、売主が掲載している物件概要と住戸一覧(情報提供日2026年10月7日)で2026年10月12日に確認しました。売主の公式サイトの物件概要は、この時点で予告広告の段階(最終情報更新日2026年9月14日)のままです。第2期の予定価格は公式サイトのトップページの表記です。先着順のため販売済みの住戸が出ることがあり、販売状況は数週間で変わります。最新は公式サイトとマンションギャラリーで確かめてください。坪単価は価格と専有面積からの計算です。
物件概要
SECTION 01 / OVERVIEW
スペック
| 所在地 | 東京都葛飾区東新小岩6丁目909-1(地番) |
|---|---|
| 交通 | JR総武線・総武線快速「新小岩」駅徒歩14分 |
| 総戸数 | 68戸 |
| 構造・階数 | 鉄筋コンクリート造 地上5階建て |
| 敷地面積 | 2,322.69㎡ |
| 建築面積 | 1,218.88㎡ |
| 延床面積 | 5,014.06㎡ |
| 用途地域 | 準工業地域 |
| 土地の権利 | 所有権の共有 |
| 間取り・専有面積 | 2LDK・3LDK/59.80㎡〜71.45㎡ |
| 専用庭(1階の一部住戸) | 10.40㎡〜40.13㎡(全体)。第1期の住戸は19.86㎡・24.5㎡で、使用料は月990円・1,230円 |
| 完成・引渡し | 2028年2月下旬(予定) |
| 駐車場 | 敷地内19台(平置1台〈福祉車優先1台〉・機械式18台)、月額1万6,000円〜2万円 |
| 駐輪場 | 敷地内136台(2段スライドラック式。うち3人乗り対応20台)、月額100円〜500円 |
| バイク置場 | 4台、月額3,000円 |
| 売主 | 株式会社アーネストワン |
| 販売提携(代理) | 日本レジデンシャルアドバイザリー株式会社 |
| 設計・監理 | 株式会社スペース・コム |
| 施工 | 株式会社小川建設 |
| 管理 | 伏見管理サービス株式会社に委託予定(通勤管理) |
※売主公式サイトの物件概要と、売主が掲載する第1期の物件概要(情報提供日2026年10月7日)。2026年10月12日に確認。完成・引渡しの時期は、2028年1月下旬から2028年2月下旬に変更されたとお詫びと訂正が出ている。
主要駅へのアクセス
| 主要駅 | 所要時間(日中)/乗換 |
|---|---|
| 東京 | 15分(日中13分)/直通(JR総武線快速) |
| 秋葉原 | 16分(日中13分)/直通(JR総武線) |
| 錦糸町 | 4分(日中4分)/直通 |
| 品川 | 23分(日中21分)/直通(JR総武線快速・横須賀線) |
| 新宿 | 29分(日中26分)/御茶ノ水でJR中央線快速に乗換 |
| 横浜 | 49分(日中44分)/直通(JR総武線快速・横須賀線) |
※「新小岩」駅からの電車の時間で、物件から駅までの徒歩14分は含まない。通勤時は目的駅に午前8時30分着、かっこ内は日中(午前11時〜午後4時着)。乗換・待ち時間を含み、2026年3月時点(売主公式サイト記載値)。
一級建築士ryoが見る「L字の二棟と専用庭」
SECTION 02 / SITE & CONTEXT
この物件を一言で語るなら「低く、横に長い二つの棟が、庭を抱えて街に並ぶ」計画だ。公式サイトは、日当たりを受ける南向き中心の「南棟(サウスウィング)」と、テラスと広い専用庭を持つ「西棟(ウェストウィング)」の2棟構成だと説明している。上の1階平面図を見ると、二つの棟はL字に配置され、その内側に自転車置場と広場状の空地、敷地の角に機械式駐車場がまとめられている。1階は西棟に7戸、南棟に5戸の計12戸が並び、そのすべてにテラスと専用庭が付く。
周りは低層の住宅を中心に、大きな屋根の作業所や倉庫が混ざる、新小岩の北側らしい街並みだ(国土地理院の航空写真)。ここに5階建てで建てることを、公式サイトは「街並みに溶け込むよう設計されたシルエット」と表現している。タイトルに「街並みへの溶け込み方」を選んだのは、この物件の良さも弱さも、低く抑えた建て方から生まれていると読めるからだ。
数字を組み合わせると、設計の優先順位が見えてくる。敷地2,322.69㎡に対して建物が地面を覆うのは1,218.88㎡で、建蔽率は約52%(計算)。国の用途地域データ(国土数値情報)では、この一帯は準工業地域で建蔽率60%・容積率200%とされており、建蔽率には約8ポイントの余りがある。延床面積5,014.06㎡は敷地の約2.2倍(計算)だが、これには容積率に数えない共用廊下などの面積も含まれる。つまり、この敷地はもっと高く積み上げる計画もあり得たところを、5階建てにとどめ、残る約1,104㎡(計算)を専用庭・空地・駐車場・自転車置場に回した計画だと読める。さらに68戸から1階の12戸を引いた56戸を2〜5階の4フロアで割ると、1フロアあたり14戸(計算。部屋番号の314号室・410号室とも整合する)。1フロアに14戸が並ぶ長い棟を二つ折りにして、なるべく多くの住戸を南と西に向けた配置だ。
低い建物には、低い建物なりの代償もある。5階建てなので、どの住戸も眺めは周りの家並みの屋根越しにとどまる。そして後の章で読むとおり、この一帯は海抜0m前後の低い土地だ。1階の12戸に付く専用庭は、この物件の大きな魅力であると同時に、水害の想定と最も向き合う住戸でもある。
68戸の規模で建蔽率を約52%に抑え、敷地の半分近くを空けた計画は、住宅地の中のマンションとして誠実な建て方だ。高さで周りを圧迫せず、庭と空地で街に余白を返している。ただし、低い建物は「上の階に逃げる」余地も小さい。最上階でも5階であること、1階は専用庭と引き換えに水害の想定の最前線に立つことを、住戸を選ぶ最初の段階で頭に入れておくことを勧める。
駅から物件までの道のり
SECTION 03 / WALKING ROUTE
改札を出てから
使うのはJR「新小岩」駅の北口だ。南口のアーケード商店街とは反対側だ。道のりは、北口から北へ延びる平和橋通り(都道308号)を進むのが基本になる。マンションギャラリー(東新小岩1丁目)は北口から徒歩5分で、道のりの途中にある。
道のり前半(駅前〜東新小岩の住宅街)
平和橋通りは車の多い幹線道路で、北口の駅前を離れるにつれて、駅前のにぎわいから生活の街へと切り替わっていく。途中で通りの東側へ入ると、売主が紹介するみのり商店会(物件から約240m)や、西井堀の流れを整備した緑道(西井堀せせらぎパーク・約360m)の方面に出る。
道のり後半(物件直前)
東新小岩6丁目に入ると、低層の住宅と作業所が混ざる、細い道の多い住宅街になる。物件から約220mには区立上平井中学校があり、子どもの通学路と重なる一帯だ。1階平面図では、マンションの出入口が2か所に描かれている。
歩いてみての体感
Google マップの徒歩ルートでは、平和橋通り経由で約1.1km・15分と出る。公式表記の徒歩14分(80mを1分とした計算)とほぼ同じで、駅から歩いて帰るには、はっきりと「遠い」と感じる距離だ。一方で起伏はほとんどない。Google マップも「全ルートがほぼ平坦」と表示し、国土地理院の標高データでも、北口付近の約−1.9mから道中の−0.9〜−0.1m、敷地付近の約0.3mまで、高低差は約2mしかない。ベビーカーや自転車には楽な道だ。平和橋通りは夜も車の往来があるが、住宅街に入ってからの最後の数百mは、街灯の明るさを夜に一度確かめておきたい。
雨の日や荷物の多い日は、バスが現実的な選択肢になる。公式サイトによると、徒歩2分の「東新小岩六丁目」バス停から京成バスで新小岩駅まで11分(日中7分)。反対方向の「上平井中学校」バス停からはJR常磐線の「亀有」駅へ20分で、千代田線への直通で大手町方面にも出られる。
平坦な約1.1km・15分。毎日の通勤を徒歩で往復するなら、1日30分を「歩く時間」として受け入れられるかが分かれ目になる。自転車なら駅まで4分(Google マップ)で、駐輪場が1戸2台分ある計画とも符合する。この物件は「駅まで自転車かバス」を前提に検討する方が、住んでからの不満は小さい。検討するなら、平日朝の8時台に北口から実際に歩き、帰りはバスに乗って、両方の時間を自分で測ってほしい。
立地と街の読み方
SECTION 04 / LOCATION
駅の南と北で性格が違う街
新小岩は、総武線快速が止まり、東京駅まで乗り換えなしで15分(通勤時)という交通の強さを持つ駅だ。駅の南口には長いアーケードのルミエール商店街があり(物件から約1,330m)、駅直結の商業施設シャポー新小岩(約1,240m)には成城石井やクイーンズ伊勢丹が入る。買い物と外食の中心は駅の南側にある。
その駅の南口では、大きな再開発が進んでいる。葛飾区の資料によると、新小岩駅南口地区の市街地再開発事業は約1.5haの区域で、計画の中心は地上39階・高さ約160m・543戸の超高層棟だ(令和6年1月時点の計画諸元)。売主の公式サイトは整備予定を令和15年3月と注記している。ただし、物件は駅の北側にあり、再開発の区域から1km以上離れている。駅前が便利になる恩恵は受けるが、物件の周りの街並みが大きく変わる話ではない、と読むのが正確だ。
物件のある駅の北側は、住宅と作業所・倉庫が混ざる一帯で、用途地域は準工業地域だ(6章で読む)。同じ駅で私が以前に読んだクリオ レジダンス新小岩は、駅の北西、西新小岩4丁目で徒歩7分の物件で、同じ新小岩でも駅との距離感がまったく違う。そちらは第2期2次の販売開始を2026年10月下旬に予定しており、価格は未発表だ。
生活インフラ・学区
日々の買い物は、売主の周辺施設一覧でマルエツ 東新小岩店が約380m(徒歩5分)、ライフ奥戸店が約630m(徒歩8分)と、歩いて行ける範囲に2つのスーパーがある。家電はコジマ×ビックカメラ 新小岩店(約910m)、家具はニトリ 小岩環七店(約1,320m)だ。小学校・中学校の学区は、葛飾区の通学区域一覧で東新小岩6丁目(1〜30番)が上小松小学校、上平井中学校とされている。売主の一覧では上小松小学校まで約420m(徒歩6分)、上平井中学校まで約220m(徒歩3分)だ。学区は変わることがあるため、購入時に葛飾区教育委員会で確かめてほしい。
ハザードマップで見る安全性
SECTION 05 / HAZARD
| 洪水浸水想定 | 想定最大規模で敷地の中心は0.5〜3m(敷地の周囲25m以内には3〜5mの区域もある)。計画規模でも0.5〜3m |
|---|---|
| 浸水が続く時間 | 想定最大規模で2週間以上 |
| 家屋倒壊等氾濫想定区域 | 区域外(川の氾濫の流れで家が壊れる区域・川岸が削られる区域ともに外) |
| 高潮浸水想定 | 想定最大規模で3〜5m |
| 津波浸水想定 | 区域外 |
| 土砂災害警戒区域 | 区域外 |
| 液状化危険度 | 地盤分類は「沖積低地5」(東京都 地域危険度測定調査)。液状化の可能性は東京都「東京の液状化予測図」で確認を |
| 地域危険度(地震火災) | 建物倒壊危険度ランク4・火災危険度ランク4・総合危険度ランク4(5段階で2番目に高いランク。第9回・東新小岩6丁目。総合危険度は都内5,192町丁目中211位) |
| 海抜・標高 | 約0.3m(敷地付近−0.7〜0.3m) |
| 最寄避難所 | 上平井中学校(直線約190m)、上小松小学校(直線約350m)、二上小学校(直線約430m)。大規模な水害のときは、区外への広域避難が呼びかけられる(葛飾区) |
出典:国土交通省 重ねるハザードマップ(洪水・浸水継続時間・家屋倒壊等氾濫想定区域・高潮・津波・土砂災害の配信データ)/東京都「地震に関する地域危険度測定調査(第9回・令和4年9月公表)」町丁目別データ/国土地理院 標高データ・指定避難所データ(距離は直線)/葛飾区「広域避難」
数字の意味を順に読む。まず洪水だ。荒川などが大雨で氾濫した最悪の想定(想定最大規模)で、敷地は0.5〜3mの浸水が想定され、すぐ周りには3〜5mの区域もある。3mは建物の1階の天井近くまで水が来る深さだ。さらに重いのは、水が引くまでに2週間以上かかるという想定である。葛飾区は、浸水が続く期間が1週間を超える地域が多く、浸水しない階にいても電気・水道などが長く止まり、生活が難しくなると説明している。台風による高潮でも3〜5mの浸水が想定されている。
地震も軽くない。東京都の地域危険度で、東新小岩6丁目は建物倒壊・火災・総合の3項目ともランク4だ。これは物件そのものの強さではなく、古い木造住宅が多く道が細い「町丁目としての危なさ」を示す数字で、新築のマンション自体が倒れやすいという意味ではない。ただ、周りで火災が広がりやすい街に住むことは、日々の備えと避難の判断に関わる。
標高約0.3m、最大で0.5〜3mの浸水が2週間以上続く想定、高潮でも3〜5m。この物件の水害のリスクははっきり大きい。葛飾区によれば大規模な水害では江東5区のほぼ全域の浸水が想定されており、この物件だけの欠点ではないが、「低い街に住む」覚悟が要る土地であることは間違いない。購入を考えるなら、1階の専用庭付き住戸は浸水の想定と正面から向き合う選択になる。上の階でも、電気設備や受水槽・ポンプがどの高さにあるか、エレベーターが止まったときに5階まで階段で生活できるかを、マンションギャラリーで必ず聞いておきたい。台風の接近時に区外へ逃げる先(親類・知人の家など)を、家族で先に決めておくことも勧める。
「準工業地域」の住宅地を読む
SECTION 06 / KEY RISK
水害はハザードの章で読んだので、ここではもう一つ、この物件の購入判断を左右する条件を深掘りする。敷地の用途地域が「準工業地域」であることだ。物件概要にそう書かれていても、これが暮らしに何を意味するかを説明されることはほとんどない。
準工業地域とは何か
用途地域は、その土地に建ててよい建物の種類を、都市計画で13種類に分けたものだ。住宅専用に近い「第一種低層住居専用地域」から、工場のための「工業専用地域」まであり、準工業地域はその中間にあたる。住宅・店・事務所が建てられるのに加えて、危険性や環境への影響が大きい工場を除く、多くの作業所・工場・倉庫も建てられる。いわば「住宅と町工場が同じ街に並ぶこと」を、ルールの上で認めた地域だ。
住宅専用の地域と比べたとき、暮らしへの影響は三つある。一つ目は、隣や向かいに何が建つかの幅が広いこと。今は住宅でも、将来その土地に倉庫や作業所、事務所ビルが建つことはあり得る。二つ目は、建物の大きさの上限が比較的ゆるいこと。三つ目は、トラックの出入りや作業の音など、住宅地より生活音以外の音が混ざりやすいことだ。
この物件への影響を読む
国土数値情報の用途地域データ(2019年度)では、敷地とその周り80mの範囲は、すべて準工業地域・建蔽率60%・容積率200%だ。国土地理院の航空写真で見ると、周りは低層の住宅が中心で、ところどころに大きな屋根の倉庫や作業所が混ざる。
この条件を、隣の土地に置き換えて考えてみる。容積率200%の土地では、敷地いっぱいに建てれば延床面積は敷地の2倍まで認められる。例えば100坪の土地なら、3〜4階建ての倉庫や事務所、あるいは別のマンションが建てられる計算になる。南棟・西棟の前の住宅が建て替わったとき、今より大きく背の高い建物になることは十分あり得る。特に1階の専用庭付き住戸と2階の住戸は、隣地の変化が日当たりと視線に直接響く。
一方で、準工業地域には、駅から少し離れた場所でも店や事務所、作業所が混ざり、住宅だけの街より昼間の人の目がある、という面もある。周りの土地が住宅に変わっていくのか、作業所や倉庫が残るのか。それが、この物件の10年後の住み心地を決める。
準工業地域そのものを恐れる必要はない。東京の東側では、駅に近い便利な住宅地の多くが準工業地域だ。問題は、隣の土地の「今」ではなく「これから」を誰も約束してくれないことにある。私なら、検討している住戸の窓の正面と、専用庭に接する隣地が何の建物で、何年に建ったかを現地で確かめる。築年数の古い作業所や空き地が正面にある住戸は、将来の建て替えで景色が変わる前提で選ぶ。
自分で確認する方法
| 葛飾区の都市計画図 | 敷地と周りの用途地域・建蔽率・容積率・高さの制限(高度地区)・防火の指定。葛飾区の都市計画課で確かめられ、区のウェブサイトの地図でも見られる。国土数値情報は2019年度のデータなので、最新の指定は区で確認してほしい |
|---|---|
| 現地で見ること | 検討する住戸の窓の正面・専用庭に接する隣地の建物の種類(住宅・作業所・倉庫・駐車場)と古さ。平日の昼に、トラックの出入りや作業の音がないか |
| マンションギャラリーで聞くこと | 「この住戸の南(西)側の隣地は今何で、建て替えの予定は聞いていますか」「重要事項説明書に、周辺に工場などがある旨の記載はありますか」「電気設備・受水槽・ポンプは何階に置かれますか」「1階住戸の床の高さは、前の道路からどれくらい上がっていますか」 |
| サンクレイドルマンションギャラリー | 葛飾区東新小岩1丁目4-9(JR「新小岩」駅北口徒歩5分)。フリーダイヤル 0120-378-178。営業時間10:00〜18:00、定休日は火・水曜日(祝日を除く) アーネストワン「サンクレイドル新小岩Ⅱ」物件概要のページ → |
共用部の見立て
SECTION 07 / COMMON AREA
エントランスは南棟の端にあり、濃い茶色の壁と植栽で入口を囲むつくりだ。公式サイトは、エントランスホールを集会室も兼ねたゆとりある空間と説明している。公式サイトの説明に、ラウンジやゲストルームのような共用施設は挙がっていない。売主のブランドの説明でも、見た目の豪華さより「シンプルで機能的」を優先し、共用施設の華美な装飾を省く方針がはっきり書かれている。
その分、敷地の使い方に手間がかかっている。敷地の外周に沿って植栽を回し、二つの棟の間には「広場状空地」を設けて光と風の通り道にしている。自転車置場は136台で、1住戸あたり2台分(公式サイト)。3人乗りの自転車に対応する区画も20台分あり、子どもの送り迎えを自転車でこなす家族を想定していることが分かる。ごみ集積所はエントランスのすぐ脇で、出かけるついでに出せる位置だ。
気になるのは駐車場だ。19台のうち18台が地上4段の昇降横行式の機械式で、平置きは福祉車両を優先する1台だけ。全戸の約28%(19台÷68戸、計算)しか車を置けず、機械式は将来の入れ替えに大きな費用がかかる。公式サイトはEVコンセントを一部に備えるとしているが、何台分かは書かれていない。
共用施設を絞り、敷地の余白と自転車置場にお金を回した計画は、この価格帯の物件として筋が通っている。第1期の管理費の下限・上限を専有面積の下限・上限で割ると1㎡あたり約233〜237円(計算)で、この抑えた水準もその結果と読める。一方で、機械式駐車場18台は、68戸で将来の入れ替え費用を分け合う設備だ。車を持たない世帯も負担を分け合うことになる。見学では、機械式駐車場の入れ替えの時期と費用を、将来の管理費用の計画で確かめておきたい。低い土地なので、機械式駐車場が水をかぶったときの扱いも聞いておくべきだ。
専有部の見立て
SECTION 08 / UNIT PLAN
住戸は2LDK・3LDKで、専有面積は59.80〜71.45㎡。第1期の住戸一覧を見ると、間取りの多くは3LDKで、60㎡台に3つの個室を収めた構成が中心だ。第1期の住戸一覧のどのプランにもウォークインクローゼットが1〜3か所あり、収納の量を重視している。ここでは、公式サイトが間取りを公開している2つのプランを読む。
Ggタイプ(3LDK+2WIC・67.26㎡)——専用庭付きの1階
西棟の1階、端の住戸だ。リビング・ダイニング約12.0畳の外にテラス(10.03㎡)があり、その先に40.13㎡の芝貼りの専用庭が広がる。40.13㎡はおよそ24畳分で、室内のリビング・ダイニングの2倍近い広さだ。公式サイトが「2面採光」とうたうリビング・ダイニングは、隣の洋室(3)約4.5畳と一体で使える。玄関側の洋室(1)約6.0畳と洋室(2)約5.0畳はそれぞれウォークインクローゼットを持ち、子ども部屋2つと夫婦の寝室という分け方がしやすい。一方で、庭に面する分、浸水の想定と隣地の変化の影響を最も受ける住戸でもある。
Hタイプ(3LDK+WIC・71.45㎡)——3面に窓のある角住戸
この物件で最も広い71.45㎡のタイプで、第1期では1階の専用庭付き(Hg・108号室)が9,248万円で出ている。3つの洋室(約6.0畳・5.0畳・5.0畳)がすべて外壁側に並び、どの個室にも窓がある。リビング・ダイニングは約12.5畳で、キッチン約3.1畳を加えると16畳弱。洋室(3)との間は可動の間仕切りで、開ければリビング・ダイニングと合わせて約17.5畳の一室になる(公式サイト)。この物件の中では、最も「普通の3LDK」に近い住みやすさを持つプランだ。
この物件の専有部は「60㎡台で3部屋と収納」を取りにいく設計で、家族の人数に対して部屋数を優先する世帯には合理的だ。その代わり、リビング・ダイニングは12畳前後と大きくない。専用庭付きの1階は、23区の新築では手に入りにくい魅力だが、9,248万円のHg(108号室)と同じ価格で3階の角住戸N(314号室・70.30㎡)も買える。庭を取るか、水害の想定から1フロア上がるか。同じ予算で選べる二つを並べて考えることを勧める。
価格と周辺相場
SECTION 09 / PRICE
2026年10月12日時点で発表されている販売住戸は、第1期の10戸(7,098万円〜9,248万円・59.80〜71.45㎡、最多価格帯7,300万円台・3戸)だ。住戸一覧に価格が出ている6戸で見ると、坪単価は約368万〜435万円(計算)になる。いちばん安い102号室(Bg・2LDK+DEN・63.84㎡・専用庭付き)が7,098万円、いちばん高いのは108号室(Hg・71.45㎡・専用庭付き)と314号室(N・70.30㎡)の9,248万円だ。公式サイトのトップページには、第2期の販売予定価格として「3LDK 6,400万円台〜」と出ている。
周辺中古マンションの坪単価
| 物件名 | 築年・坪単価・補足(いずれも土地は所有権) |
|---|---|
| サンクレイドル新小岩 | 2014年築・@310〜329万円(55.29㎡・75.15㎡の売り出し2件)・西新小岩3丁目・新小岩駅徒歩12〜13分・同じ売主のブランド |
| ヴァルセーナ新小岩 | 2013年築・@300万円(65.94㎡の売り出し)・東新小岩2丁目・新小岩駅徒歩14分 |
| 新小岩パークフロント | 2015年築・@264万円(75.00㎡の売り出し)・東新小岩2丁目・新小岩駅徒歩17分 |
| アデニウム新小岩 | 2012年築・@411万円(66.55㎡の売り出し)・東新小岩1丁目・新小岩駅徒歩5分 |
| シティテラス新小岩 | 2022年築・@448万円(70.02㎡の売り出し)・新小岩2丁目(駅の南側)・新小岩駅徒歩3分 |
※周辺の中古マンションの売り出し価格などから見た、2026年10月時点の目安です(成約価格ではありません)。売り出し価格は時期によって変わるため、比べるときは最新の相場を確かめてください。
いちばん近い物差しは、同じ北側で駅から12〜17分の築11〜14年の中古3物件だ。坪単価は@264〜329万円で、この物件の第1期(@368〜435万円)はその約1.1〜1.6倍、中央どうしで比べると3割ほど高い。新築と築10年超の中古なので差が出るのは当然だが、それでもこの差は小さくない。一方、駅徒歩5分のアデニウム新小岩(@411万円)や、駅前で築4年のシティテラス新小岩(@448万円)と比べると、この物件の上限に近い水準だ。つまり第1期の価格は、「駅から14分の新築」に「駅近の中古」並みの単価を付けた値付けと読める。
判断を分けるのは第2期だ。公式サイトの「3LDK 6,400万円台〜」は、第1期の価格の下限7,098万円(2LDK+DEN)よりも600万〜700万円ほど低い。どの階・どの広さの住戸かはまだ分からないが、第2期の価格表が出れば、第1期の坪単価が高めに置かれた「先行の住戸」だったのかが見えてくる。評価は、周辺中古と比べて「やや割高」とする。
23区の新築で、3LDKが7,000万円台から買えることの価値は確かにある。ただ、駅から14分・海抜0m前後・準工業地域という条件は、10年後に売るときにもそのまま付いて回る。私が検討するなら、急いで第1期の先着順に申し込まず、第2期の価格表が出るのを待って両方の坪単価を並べる。同じ予算で駅近の築浅中古(アデニウム新小岩やシティテラス新小岩の売り出し)も見比べ、「新築であること」にいくら払うのかを数字で決めてほしい。
ここに住む日常
SECTION 10 / DAILY LIFE
想定される購入層は、東京駅・大手町・秋葉原方面へ通う30〜40代の共働き夫婦と、小学生までの子どもがいる3〜4人家族だ。60㎡台の3LDKに3つの個室を確保した設計と、1戸2台分の自転車置場、徒歩3分の中学校は、子育て世帯を正面から想定している。
平日の朝は、自転車で4分、または「東新小岩六丁目」バス停から新小岩駅へ出て、総武線快速で東京駅まで15分(通勤時)。子どもは徒歩6分の上小松小学校へ通う。夕方はマルエツ 東新小岩店(徒歩5分)で買い物を済ませ、週末は西井堀せせらぎパーク(徒歩5分)の緑道を散歩するか、自転車で駅の南のルミエール商店街やシャポー新小岩まで出る。駅前の便利さは自転車の距離に置き、家のまわりは静かな住宅街で過ごす暮らしになる。
生活利便チェック:
- スーパー:マルエツ 東新小岩店(徒歩5分・約380m)・ライフ奥戸店(徒歩8分・約630m)・西友新小岩店(徒歩17分・約1,350m)
- 公立小:葛飾区立上小松小学校(徒歩6分・約420m。中学校は上平井中学校・徒歩3分・約220m。学区は葛飾区の通学区域一覧で確認してほしい)
- 公園:西井堀橋児童遊園(徒歩3分・約240m)・西井堀せせらぎパーク(徒歩5分・約360m)・上小松公園(徒歩7分・約510m)
- 病院:イムス東京葛飾総合病院(西新小岩4丁目・直線約1,050m)
※距離・分数は売主公式サイトのロケーションページの値(地図上の概測)。病院の距離のみ、Google マップの位置から測った直線距離。
近隣のおすすめ店(Google マップ評価★4.0以上)
フランス菓子店|東新小岩5丁目・徒歩6分(約460m)
口コミは100件を超える。売主の公式サイトでも街の店として紹介されている。誕生日のケーキを歩いて受け取りに行ける距離だ。
中華料理店(米粉麺)|東新小岩7丁目・直線約320m
口コミは25件と多くはないが、評価は高い。駅へ向かう方向にあり、休日の昼に家族で寄れる近さだ。
居酒屋|東新小岩5丁目・直線約510m
昼から営業する住宅街の店。駅前まで出ずに、仕事帰りの夕食を近所で済ませられる。
ベーカリー|東新小岩6丁目・直線約280m
同じ東新小岩6丁目のパン店で、口コミは50件を超える。朝食のパンを買いに行ける近さだ。
蕎麦店|奥戸3丁目・直線約710m
物件の北、奥戸の蕎麦店で、口コミは50件を超える。駅とは反対側に、普段使いの店があるのは住宅街の強みだ。
※評価はGoogle マップ評価(2026年10月12日時点)。Patisserie QuroNoir の距離・分数は売主公式サイトの値、ほかの店は Google マップの店舗位置から測った直線距離。営業時間・定休日は変わることがある。
スーパー2軒と小学校・中学校・公園が徒歩10分以内にそろい、駅前の商業は自転車の距離にある。子育ての日常は、家のまわりでほぼ完結する立地だ。その分、駅に近いことの便利さはない。共働きで帰りが遅い世帯は、駅前で買い物をしてから15分歩くのか、バスを待つのか、雨の日の帰り道まで想像して決めることを勧める。
まとめ
SECTION 11 / CONCLUSION
★評価(5段階)
※価格の★は、発表された第1期の価格(2026年10月12日時点)と、周辺中古の坪単価を比べて付けた。将来性の★は、海抜0m前後で浸水が2週間以上続く想定、地域危険度ランク4、駅徒歩14分という条件が、売るときの評価にも残る点を織り込んだ。
良い点
- 総武線快速の新小岩駅から東京駅へ直通15分(通勤時)。駅までは約1.1kmだが全ルートがほぼ平坦で、自転車4分・バス便もある
- 5階建て・建蔽率約52%(計算)の低い建て方で、L字の二棟の間に広場状空地、1階12戸すべてに専用庭。自転車置場は1戸2台分(3人乗り対応20台)
- 23区の新築で3LDKが7,000万円台から(第1期・406号室7,398万円)。第2期の予定価格は3LDK 6,400万円台〜。上小松小学校徒歩6分・上平井中学校徒歩3分・スーパー2軒が徒歩10分以内
気になる点
- 標高約0.3m。想定最大規模の洪水で敷地は0.5〜3m浸水し、浸水は2週間以上続く想定。高潮でも3〜5m。東新小岩6丁目は地域危険度(地震火災)が3項目ともランク4
- 第1期の坪単価(約368万〜435万円、計算)は、同じ北側で駅12〜17分の築11〜14年の中古(@264〜329万円)より3割ほど高く、駅徒歩5分の中古の水準に近い
- 用途地域が準工業地域で、隣地に作業所・倉庫や今より大きな建物が建つ可能性がある。駐車場は19台中18台が機械式で、全戸の約28%分しかない
こんな人にすすめる/すすめない
すすめる:東京駅・秋葉原方面へ総武線で通い、駅まで自転車やバスを使うことに抵抗がない30〜40代の子育て世帯で、23区の新築で3部屋ある住まいを7,000万円前後に収めたい人。専用庭のある暮らしを望み、台風の接近時には区外へ早めに避難する、と家族で決めておける人にも合う。
すすめない:駅から10分以内を最優先にする人、10年以内に売って住み替える前提の人、水害の想定が大きい土地を避けたい人。車を2台持つ世帯や、広いリビングを求める人にも向かない。
総合すると、サンクレイドル新小岩Ⅱは「低い街に、低く建てた、家族向けの3LDK」だ。低く抑えた建物と専用庭は住宅地になじむ誠実な計画で、23区の新築として価格は手が届く範囲にある。一方で、海抜0m前後という土地の条件は、建物の工夫では変えられない。検討するなら、第2期の価格表が出るのを待って第1期と並べ、同時に、浸水の想定と避難の計画を家族で具体的に話し合ってから申し込むことを勧める。
・アーネストワン「サンクレイドル新小岩Ⅱ」公式サイト:https://sc-arnest1.com/shinkoiwa2/
・同 物件概要(最終情報更新日2026年9月14日、2026年10月12日確認):https://sc-arnest1.com/shinkoiwa2/outline.html/デザイン:design.html/ロケーション:location.html/アクセス:access.html/間取り:plan.html/現地案内図:map.html
・第1期の物件概要・住戸一覧(売主提供、情報提供日2026年10月7日、2026年10月12日確認):SUUMO 物件概要/価格・間取り
・明和地所「クリオ レジダンス新小岩」物件概要(2026年10月6日確認):明和地所 公式サイト
・周辺中古の売り出し事例(2026年10月確認):サンクレイドル新小岩(1)・(2)/ヴァルセーナ新小岩/新小岩パークフロント/アデニウム新小岩/シティテラス新小岩
・国土交通省ハザードマップポータル(重ねるハザードマップ):https://disaportal.gsi.go.jp/
・東京都「地震に関する地域危険度測定調査(第9回・令和4年9月公表)」町丁目別データ:東京都オープンデータカタログ
・国土地理院 標高データ・指定避難所データ・航空写真(距離は直線)
・国土交通省 国土数値情報「用途地域データ」(2019年度・葛飾区)
・葛飾区「葛飾区小学校通学区域一覧」「葛飾区中学校通学区域一覧」:葛飾区立学校通学区域一覧
・葛飾区「新小岩駅南口地区第一種市街地再開発事業」(更新日令和7年12月15日):葛飾区公式サイト
・葛飾区「広域避難」:葛飾区公式サイト
・徒歩ルート・店舗の評価・病院の位置:Google マップ(2026年10月12日確認)
※掲載画像は売主公式サイトからの引用です(出典は各画像キャプションに記載)。
※案内図はGoogle マップの埋込機能を使用。現地案内図は売主公式サイトからの引用です。
サンクレイドル新小岩Ⅱの価格・間取りが気になったら
販売住戸の一覧と第2期の価格は、資料請求とマンションギャラリーで確かめるのが確実です
- 価格・販売戸数・管理費などは、記事に書いた日付の時点で売主の公式サイトなどに公開されていた情報です。販売状況や価格は変わることがあります。
- 坪単価は公開された価格と専有面積からの計算、周辺の中古相場は売り出し事例などにもとづく目安で、実際の取引価格を示すものではありません。公式に発表されていない価格の予想は掲載していません。
- ★の評価、「割高・割安」の判断、設計の読み解きは、一級建築士である筆者の個人的な見解です。将来の価格・資産価値・住み心地を約束するものではありません。
- ハザードや地域の情報は、国や自治体が公開している資料をもとにしています。最新の内容は各自治体の資料で確かめてください。
- 購入を考えるときは、売主の最新の資料と重要事項説明で必ず確かめたうえで、ご自身の判断でお決めください。当サイトは特定の物件の購入や投資を勧めるものではありません(免責事項)。
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