東京のマンションを、長く住む視点で見極めるために。
設計に携わる者の目で、カタログには書かれていない大切なポイントを、
分かりやすくお伝えしていきます。
不動産経済研究所が7月21日に発表した2026年6月の首都圏新築分譲マンション市場動向によると、平均価格は前年同月比13.1%増の1億137万円、㎡単価は153.0万円(前年比17.1%増)と14カ月連続で前年を上回った。一方で発売戸数は1,564戸(前年比4.7%減)と3月以来の減少に転じ、上半期通算7,989戸は5年連続の減少となった。初月契約率は65.5%と好不調の目安70%を2カ月連続で下回り、価格上昇の一方で売れ行きの鈍化が続いている。
東京23区の6月平均価格は1億4,880万円(前年比10.9%増)で、23区以外の首都圏では相対的に価格上昇が緩やかな傾向が続く。在庫戸数は6,389戸と積み上がりが進んでおり、下半期(7〜12月)の供給見込みは14,000戸程度。7月以降は千葉県・埼玉県での大型案件が順次販売開始される予定で、郊外・城東エリアへの実需流入が引き続き注目されている。
専門家の見方は分かれている。「都心物件は価格が高止まりし、実需層は郊外・城東への移行が進む」という見解がある一方、「日銀の政策金利次第でローン環境が変わる可能性があり、下半期は慎重に見極めるべき」という声もある。月次データが14カ月連続で価格上昇を示す中、「いつ・どのエリアで動くか」を慎重に判断する局面が続いている。
6月も「価格は上がる・戸数は減る・契約率は下がる」という三点セットが続いています。数字だけ見ると焦りますが、郊外・城東エリアには「まだ動きやすい価格帯」の物件があります。住みたい街から逆算してみましょう。
東京・目黒区の「自由が丘1丁目29番地区第1種市街地再開発事業」が2026年7月下旬に竣工を迎えた。「JIYUGAOKA MUSE SQUARE(自由が丘ミューズスクエア)」と名付けられた地上15階・地下3階、延床面積約40,600㎡の複合ビルには、地下1〜地上5階に商業施設、6〜7階にオフィス・多機能フロア、8〜15階に住宅約170戸(1LDK〜3LDK)が入居する。都市型再開発の成果として、自由が丘の商業・住宅機能がひとつのビルで完結する形となった。
自由が丘エリアはここ数年で不動産価値が急上昇しており、LIFULL HOME'Sの「住まいインデックス」によると直近3年間で中古マンション価格が10.55%上昇している。2路線(東急東横線・大井町線)の交差点に立地し、渋谷まで急行約11分・横浜方面へも利便性が高い。今回の再開発を機に自由が丘の街の回遊性が大きく向上し、「歩いて楽しい街」という評価がさらに高まると見られる。
都市型再開発による新しい住宅供給は、既存の単棟マンションとは異なる「街ぐるみの環境整備」が特徴だ。商業・コミュニティ施設と住宅が一体化した複合開発は、住人の日常動線がひとつの施設内で完結するメリットがある。2026年下半期、自由が丘を起点に目黒区・世田谷区エリアでの住環境評価がさらに高まる可能性がある。
自由が丘は「東急系の再開発の見本市」とも言えるエリアで、商業と住宅が共存する街の質が高い。ミューズスクエアの竣工で、商店街・カフェ文化・緑道が融合した自由が丘のポテンシャルがより引き出されると思いますよ。
東京カンテイのデータによると、2026年6月の首都圏中古マンション在庫件数は45,995件(前年同月比3.5%増)と4カ月連続で増加している。新築価格の高騰(上半期平均1億135万円)を背景に、成約件数の伸び悩みが在庫積み上がりにつながっている。一方で中古マンションの坪単価は前年比5.9%増の283.6万円と上昇が続いており、「中古も上がっているが新築よりはまだ割安」という状況が続く。
こうした中、2026年の不動産市場で注目度が高まっているのが「中古×リノベーション」という選択肢だ。築15〜20年の中古マンションを購入し、フルリノベーションを施すことで「新築同等の住空間を新築の6〜7割のコストで手に入れる」ことが現実的になっている。70㎡のフルリノベーション費用は総額1,100〜1,600万円程度(2026年現在)が相場で、物件価格と合計しても都心新築の半値以下で広い住まいを確保できるケースもある。
「中古×リノベ」が支持される理由はコスト面だけではない。間取りを自由に設計できること、ビンテージマンションが持つ「ゆとりの天井高・廊下幅・外壁厚み」といった建設余裕が魅力として再評価されていること、そして「個性のある住まいを自分でつくる」という価値観の変化も影響している。在庫が4.5万件超まで積み上がった今は、中古物件の掘り出しには比較的良い環境にある。
中古×リノベの最大の魅力は「街を先に選べること」です。新築では選べないエリアの物件でも、リノベーションで住まいを一新すれば長く快適に暮らせます。在庫が増えた今は、街から逆算する選び方が有効ですよ。
三菱地所レジデンスが千葉市花見川区幕張町で分譲する「エクセレントシティ幕張 THE GRAN」は、JR総武線「幕張」駅から徒歩11分に建つ地上14階・全168邸の板状中規模レジデンスだ。1LDK〜4LDK(43.05〜80.73㎡)の間取りを揃え、価格は3,800万円台〜9,000万円台と実需ファミリーから単身・DINKSまで幅広い層に対応する。2026年7月に第1期6次の販売が行われ、年内に複数回の販売ラウンドが続く予定だ。
幕張エリアはJR総武線・京葉線を乗り継いで東京駅まで約40分圏内という郊外利便立地だ。千葉市は政令指定都市として医療・教育・公共インフラが充実しており、「都心通勤しながらゆとりある広さで住む」という実需ファミリーの定番エリアとなっている。幕張新都心の大型商業施設・ZOZOマリンスタジアム・海浜公園が生活圏に溶け込む「海辺の街」という個性も持つ。
東京23区の新築マンション平均が1億4,249万円に達する中、4LDK/80㎡超が4,000〜5,000万円台から入手可能な幕張エリアの物件は、「都心と同じ広さを都心より3割安で」という実需の受け皿となっている。千葉市内の郊外物件需要は2025〜2026年にかけて高まっており、駅徒歩圏の板状マンションは長期資産としても安定感がある。
幕張は「海が近くて公園が広くて、子どもが外で思い切り遊べる環境」が整っています。東京駅まで40分台で、これだけの広さの住まいが選べるエリアは、首都圏郊外でもなかなかありませんよ。
大京が葛飾区亀有2丁目で分譲する「ライオンズ亀有ザ・レジデンス」は、JR常磐線「亀有」駅から徒歩8分に建つ地上11階・全76邸の板状レジデンスだ。2LDK〜3LDK(56.13〜75.42㎡)と実需ファミリー向けのラインナップで、2026年7月に先行販売を開始した。亀有は「こち亀」の聖地として全国的な認知度を持ちながら、生活の利便性と下町の温かみが共存する城東エリアの穴場だ。
亀有駅はJR常磐線(快速)で北千住まで約7分、北千住から上野・秋葉原まで約12〜15分とアクセスが良好だ。亀有駅周辺にはイトーヨーカドー亀有店をはじめ大型商業施設が集積し、日常の買い物に困らない環境が整っている。葛飾区は保育所・小学校の充実度が高く、子育て世帯の転入超過が続く区の一つだ。
葛飾区の新築マンション価格は都心3区・副都心の物件と比べて2〜4割割安な水準にある。亀有エリアの3LDK/70㎡台は5,500〜7,000万円台が中心帯で、同スペックの城南・城西物件の70〜80%の価格で入手できることが多い。2026年の「東京東エリア再評価」の流れの中で、亀有の実需層からの注目が高まっている。
「こち亀の街」として親しまれてきた亀有は、駅周辺のショッピング環境と地域コミュニティの温かさが共存する街です。城東らしい人情味のある暮らしが好きな方には、自分に合った選択肢になると思いますよ。
三菱地所レジデンスが杉並区阿佐谷南3丁目で分譲する「ザ・パークハウス阿佐ヶ谷」は、JR中央線「阿佐ヶ谷」駅から徒歩9分に建つ地上7階・全52邸のコンパクトな低層レジデンスだ。2LDK〜3LDK(55.82〜80.17㎡)のファミリー向け間取りを揃え、2026年7月に販売を開始した。住宅地の落ち着いた環境の中に建ち、中央線沿線らしい「知的で個性的な街」の空気に浸れる住環境が特徴だ。
阿佐ヶ谷は中央線沿線の中でも「音楽・演劇・古書・カフェ文化」が根付いた個性的な街だ。阿佐ヶ谷ジャズストリート(秋の音楽祭)や阿佐ヶ谷七夕まつりなど地域のイベントが活発で、住民同士のコミュニティが強いエリアとして知られる。駅周辺にはスターロードと呼ばれる個人店が連なる商店街があり、チェーン店だけに頼らない生活が楽しめる。
杉並区の新築マンション価格は渋谷・世田谷より割安ながら、阿佐ヶ谷・高円寺・荻窪エリアの中央線ブランドへの支持は根強い。7階建て52戸というコンパクトな規模は、住人同士の顔が見えやすい環境をつくる。「大規模タワーではなく、静かな街の中に溶け込む住まい」を求める実需層から注目されている。
阿佐ヶ谷の商店街は「個人の顔が見えるお店」が多く、街の人たちがゆるやかにつながっている空気があります。小規模マンションで静かに暮らしながら、商店街の顔見知りが増えていく——中央線沿線らしいライフスタイルですよ。
東急不動産が横浜市西区みなとみらい6丁目で分譲する「ブランズタワー横浜みなとみらい」は、みなとみらい線「みなとみらい」駅から徒歩4分に建つ地上45階・全450邸の大規模タワーレジデンスだ。1LDK〜3LDK(34.18〜122.50㎡)と広範な間取りを揃え、2026年7月に第2期の販売を行う。みなとみらいの臨海エリアに立ち、横浜港・ランドマークタワー・大観覧車を望む眺望が最大の特徴だ。
みなとみらいエリアは横浜市の都心再開発の象徴的な地区として、商業・ホテル・MICE施設が集積する。みなとみらい線で横浜駅まで約4分・渋谷まで直通約32分というアクセスを持ち、東京通勤も十分現実的だ。山下公園・赤レンガ倉庫・横浜中華街まで自転車・徒歩圏内という、「横浜の全てが生活圏内」という住環境は港町ならではの魅力といえる。
神奈川・横浜の新築タワーマンションは東京23区に比べて価格が抑えられる傾向があるが、みなとみらい地区は例外的に高水準。1LDK帯から5,000〜6,000万円台、3LDK/100㎡超は1億5,000万円を超えるプランも想定される。タワーの希少性と横浜みなとみらいという立地ブランドへの支持から、都内在住者がセカンドレジデンスや資産形成として検討するケースも多い。
みなとみらいの高層階から横浜港を眺める生活は、東京の住まいとは別の「都市の豊かさ」を感じさせます。渋谷まで直通32分で、週末は中華街・山下公園が生活圏——横浜という街の底力を実感できる立地ですよ。
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はじめまして、ryoと申します。一級建築士として、集合住宅・分譲マンションの設計に携わっています。
図面を描く仕事を通じて学んだのは、「住まいの良し悪しは、カタログやモデルルームの印象だけではわからない」ということ。構造・管理・立地、そして長く住むための見極め方——設計の現場から見えている景色を、できるだけ平易な言葉でお届けします。
上質なマンション選びのパートナーとして、このノートがお役に立てば幸いです。