東京のマンションを、長く住む視点で見極めるために。
設計に携わる者の目で、カタログには書かれていない大切なポイントを、
分かりやすくお伝えしていきます。
不動産経済研究所が7月21日に発表した2026年6月の首都圏新築分譲マンション市場動向によると、神奈川県の1戸当たり平均価格が前年同月比50.5%上昇の1億379万円に達した。神奈川での単月1億円超えは調査開始以来初めてとみられ、横浜駅徒歩圏や武蔵小杉(川崎市)の高額物件が押し上げに寄与した。首都圏全体の平均は1億137万円で㎡単価は153.0万円と3カ月連続の前年超えが続いている。
需要面では慎重さが続く。発売戸数は1,564戸(前年比4.7%減)と3月以来の減少に転じ、初月契約率は62.5%と前月からさらに低下。70%の目安から大きく離れ、在庫は6,389戸と6カ月ぶりの増加となった。「高値で売り出しても全戸が動くわけではない」という局面が続いており、売り手と買い手の間の温度差が数字にも表れている。
神奈川の平均1億円超えは、都心一極だった価格高騰が周辺エリアへ波及していることを示すが、これは「選ばれた物件・エリア」が平均を引き上げている面も大きい。神奈川全体の一般的な物件では依然として5,000〜8,000万円台の選択肢が存在する。「県全体の平均」は一部の高額物件に引っ張られやすいため、自分が狙うエリア・規模の相場を個別に確認することが大切だ。
神奈川の平均1億円という数字は衝撃的ですが、横浜や武蔵小杉の一部の高額物件が平均を大きく引っ張っています。神奈川でも少し駅から離れたり、エリアをずらすと、ずっと現実的な価格帯の住まいに出会えますよ。
2026年上半期の首都圏新築マンション市場において、「狭い億ション」と呼ばれる物件が急増している。建築費・用地費の高騰で1億円超えが当たり前となる中、デベロッパーは廊下を極力短くして居間(リビング・ダイニング)を広く見せる設計に注力している。日本経済新聞の取材によると、こうした「空間効率重視の間取り」が2026年の新築マンション設計の主流トレンドになりつつあり、専有面積50〜60㎡台でもLDKを20畳近く確保できる事例が増えている。
廊下を削った設計は、実際の専有面積が小さくてもリビングを広く感じさせるメリットがある。一方で、従来の廊下が果たしていた「各部屋の音と気配を遮断する緩衝機能」が失われるリスクも伴う。子どもが複数いる家庭や、リモートワークとリビング生活を両立したい世帯にとっては、間取り図だけでなく「どのように暮らすか」のシミュレーションが一層重要になる。
「1億円だから広い」という感覚は今の市場では通用しない。価格と専有面積が一致しないケースが増えており、間取り図と実際の生活動線を照らし合わせる目線が不可欠だ。モデルルームではリビングの広さだけでなく、廊下幅・ドア位置・収納の実用性まで確認する習慣を持つことが、後悔しない住まい選びにつながる。
廊下をなくすと広く感じますが、リビングとすべての部屋がつながる生活は、音と気配が意外と気になることがあります。家族の構成や暮らし方に合っているか、モデルルームで実際の動線をゆっくり確かめてみてくださいね。
東京都千代田区は2025年7月、不動産協会など業界団体に対して「都市開発諸制度や市街地再開発事業で分譲されるマンションについて、購入者が引き渡しを受けてから原則5年間は転売できないよう特約を付けること」と「同一名義での複数戸購入を禁止すること」を要請した。日本国内で初めての行政による転売制限要請として広く注目を集め、2026年以降の住宅政策の先例として今も論議が続いている。
背景には投機的な短期転売の急増がある。東京23区の大規模新築マンションで2024年1〜6月に購入後1年以内に転売された割合が9.9%に達し、2023年の4.1%から倍増以上に膨らんだ。「抽選に当選して、引き渡し前後に値上がり分で売り抜く」という行動が増加し、本当に住みたい実需層が競合から弾き出される問題が可視化されてきた。転売規制はこの流れを断ち切り、「住む人の市場」を取り戻すことを狙う。
実需層にとってはポジティブな動きだ。投機的な競合が減れば抽選の実質的な公平性が高まり、「住む気のある人」が当選しやすくなる効果が期待できる。ただし、5年間売れない縛りは転勤・家族の変化などへの対応を難しくする面もある。「ここに長く住む」という意思を持てる物件かどうかを改めて問い直す機会として捉えるのが現実的だ。
転売規制は「住みたい人が住める」街に近づく動きで、コミュニティにとっても良い変化だと思います。ただ、5年縛りがある分、「長く暮らせる街か」という判断がより大切になってきますね。
旭化成ホームズが世田谷区松原2丁目で分譲する「アトラス明大前」は、京王線・京王井の頭線「明大前」駅から徒歩1分に建つ、地上14階・全50邸の板状レジデンスだ。専有面積は50.71〜90.52㎡で南向き中心の2LDK〜3LDKが揃う。2026年7月に分譲を開始し、竣工は2028年1月を予定している。明大前駅徒歩1分という立地は、世田谷区の新築としておよそ25年ぶりの「駅前型」と呼べる希少な条件だ。
明大前駅は京王線で「新宿」まで直通7分、京王井の頭線で「渋谷」まで直通8分という二路線利用の好アクセスを持つ。世田谷区松原・赤堤エリアは古くから落ち着いた住宅地として知られ、緑と商店街が並立する住環境が整う。明大前商店街の賑わいがあり、日常の買い物も徒歩圏で完結する利便性がある。
注目は全50邸というコンパクトなスケール感だ。50邸規模の板状マンションは住民同士の顔が自然と見えやすく、共用部の使いやすさと管理の目が行き届きやすい側面がある。南向き中心の設計は採光を重視した住居配置で、街の賑わいから少し引いた落ち着きのある暮らしを可能にする。世田谷区の新築として希少な「駅1分×50邸×旭化成品質」の組み合わせは、長期保有の実需層に向く。
明大前は、新宿にも渋谷にも気軽に出られる上に、街自体に個性があります。商店街と落ち着いた住宅地が共存する世田谷らしさが、ここには自然と溶け込んでいますよ。
ゴールドクレストが江東区南砂3丁目で分譲する「クレストプライムシティ南砂」は、東京メトロ東西線「南砂町」駅から徒歩1分に建つ、地上15階・全396邸の大規模板状レジデンスだ。専有面積は53.23〜76.06㎡で2LDK〜3LDKが中心。第3期1次の予告価格は9,900万円台〜1億5,900万円台。2026年8月竣工・2027年4月引渡予定で、設計監修に日建設計が参画、1階にはスーパーマーケット(マルエツ系)の入居が予定されている。
南砂町駅(東京メトロ東西線)は大手町まで直通約13分というアクセスを持つ。駅1分という立地は雨の日も傘なしで通勤できる動線で、毎日の生活の快適さを大きく変える。江東区南砂エリアはゼロメートル地帯に近く洪水・液状化ハザードへの注意は必要だが、東西線のホーム増設工事(2028年度以降完成目標)が進めば混雑緩和と利便性向上が期待される。
注目は幅約8m・全長約120mのプロムナード(歩行者空間)を敷地内に設けた設計だ。396邸というスケールでありながら、共用の緑道が住棟をつなぎ、街に開かれた佇まいを生み出している。ワーキングラウンジ・ゲストルーム・日建設計による意匠という大規模ならではの充実と、駅1分の圧倒的な近接性が組み合わさった物件は、城東エリアでは希少だ。
南砂町は「城東の穴場」として再評価が続いています。大手町まで13分という近さは、住んでみると毎朝体感できる便利さ。下町らしい温かな街の空気も、ここならではの魅力ですよ。
東急不動産が品川区荏原7丁目で分譲する「ブランズ西小山」は、東急目黒線「西小山」駅・「洗足」駅からそれぞれ徒歩7分に建つ、RC造3階(地下1階)・全28邸の低層レジデンスだ。専有面積は54.71〜75.14㎡で1LDK〜3LDKが揃い、価格は8,190万円〜1億4,090万円。2026年8月中旬竣工予定で、定期転借地権(期間:2026年8月〜2097年4月)付の分譲となる。
立地の最大の特徴は、千年の歴史を持つ小山八幡神社の杜に隣接していることだ。神社境内の大木が隣に広がる暮らしは、東京都心にありながら日常に静寂と緑をもたらす。品川区荏原の高台エリアは標高約35mの荏原台に位置し、水害ハザードが低く安定した地盤環境も魅力だ。西小山商店街も徒歩圏で、買い物利便と落ち着いた住環境を両立できる。
注目は全28邸という極めてコンパクトなスケールだ。大規模マンションとは異なり、住民の顔が自然と見える人数感で、管理組合の運営も目が届きやすい。定期転借地権付のため購入価格が抑えられる一方、2097年まで約70年の転借期間は現実的な居住期間として十分だ。「杜に隣接する28邸の低層」という組み合わせは、都内では極めて希少な選択肢といえる。
神社の隣という立地は、朝夕に緑と鳥の声が届く日常をもたらしてくれます。荏原台の落ち着いた街並みの中、28邸ならではのゆったりした暮らしがここにはありますよ。
埼玉県さいたま市大宮区吉敷町1丁目に建つ「ポレスター大宮ブライト」は、JR「大宮」駅から徒歩9分に位置する、2LDK〜3LDK(55.18〜67.32㎡)の板状レジデンスだ。2026年7月中旬に第1期5次の販売が始まり、引渡は2028年6月下旬を予定している。大宮駅9分という立地は埼玉の中でも実需需要が安定して高いエリアで、ファミリー層を中心に着実に成約が進んでいる。
大宮駅は上野東京ライン・湘南新宿ラインの主要停車駅で、東京駅まで直通約28分・新宿まで直通約30分というアクセスを持つ。大宮区内は浦和と並ぶさいたま市の中心エリアで、商業・教育・医療インフラが充実。氷川神社に代表される歴史的な緑のコリドーが南北に延び、大都市近郊でありながら落ち着いた住宅環境が保たれている。
注目は東京都内と比べた現実的な価格帯だ。都心6区の中古が平均1億8,000万円台の高値圏にある中、大宮の新築は家族4人で住める3LDKをより手の届く水準で取得できる選択肢が残っている。東京まで30分圏内でこの実需感は、共働きファミリーが長く安心して暮らせる住まいとして、近年改めて評価が高まっている。
大宮は東京に通いながら「街の余裕」を感じられる場所です。氷川神社周辺の緑道は休日の散歩コースとして最高で、価格とアクセスのバランスで「広くて落ち着いた暮らし」が実現しやすいエリアですよ。
2026.07.23
江東区
【江東区】クレストプライムシティ南砂|南砂町駅徒歩1分・全396邸・2〜3LDK|建築士が見た"120mプロムナードの設計意図"
→
2026.07.22
品川区
【品川区】ブランズ西小山|西小山駅徒歩7分・全28邸・1〜3LDK|建築士が見た"千年の杜と定借"
→
2026.07.21
目黒区
【目黒区】イノベイシア恵比寿|恵比寿駅徒歩9分・全46邸・2〜3LDK|建築士が見た"街並みへの溶け込み方"
→
2026.07.20
港区
【港区】ブランズシティ品川テラス|天王洲アイル駅徒歩6分・全216邸・2〜3LDK|建築士が見た"定借と水辺"
→
2026.07.19
千代田区
【千代田区】ウエリス六番町|四ツ谷駅徒歩4分・全85邸・1〜3LDK|建築士が見た"番町台地の設計意図"
→
本セクションには広告(アフィリエイト)リンクが含まれます。掲載サービスは編集部で実際に利用または信頼性を確認したものに限定しています。
はじめまして、ryoと申します。一級建築士として、集合住宅・分譲マンションの設計に携わっています。
図面を描く仕事を通じて学んだのは、「住まいの良し悪しは、カタログやモデルルームの印象だけではわからない」ということ。構造・管理・立地、そして長く住むための見極め方——設計の現場から見えている景色を、できるだけ平易な言葉でお届けします。
上質なマンション選びのパートナーとして、このノートがお役に立てば幸いです。