東京のマンションを、長く住む視点で見極めるために。
設計に携わる者の目で、カタログには書かれていない大切なポイントを、
分かりやすくお伝えしていきます。
不動産経済研究所が7月22日に発表した2026年上半期(1〜6月)の首都圏新築分譲マンション市場動向によると、平均価格は前年同期比13.0%増の1億135万円となり、上半期として史上初めて1億円の大台を突破した。㎡単価も151.4万円と調査開始以来の最高値を更新した。一方で発売戸数は7,989戸(前年同期比0.8%減)と5年連続で前年を下回り、供給不足と価格上昇が同時進行する市場構造が定着している。
初月契約率は64.8%(前年同期比1.8ポイント低下)と、好調の目安とされる70%を割り込み、売れ行きの鈍化も数字に表れている。東京23区に限ると平均価格は1億4,249万円(前年比9%増)と過去最高水準が続く。一方、埼玉・千葉・神奈川エリアでは価格上昇が都心ほど急ではなく、郊外物件への実需流入が注目されている。
2026年下半期(7月以降)は、日銀の金利動向と建設コストの動向が価格の行方を左右するとみられる。専門家の間では「都心の新築価格は高止まりが続くが、郊外・城東の中規模物件には実需が流入しやすくなる」という見方が増えている。価格の二極化が進む中、住む場所の選択がよりシビアに問われる局面が続く。
「首都圏平均1億円超え」と聞くと遠い話のようですが、エリアによってまったく事情が異なります。城東や郊外では7,000万円以下の物件も多く残っており、まず「住みたい街」から探すと、自分に合う物件が見えてきますよ。
スーモジャーナルが2026年春に公開したレポートによると、北区・板橋区が若年ファミリー層や移住検討者の「住みたい街」ランキングで急上昇している。北区の赤羽・王子・十条エリア、板橋区の大山・成増エリアが特に人気を集めており、「個人経営の飲食店や商店街が生み出す濃密なコミュニティ」が都心にはない魅力として評価されている。
北区・板橋区が支持される理由は「コスパの三拍子」——①都心・新宿・池袋への良好なアクセス(赤羽から東京駅まで約18分)②物件価格の手ごろさ(東京23区平均を2〜3割下回る水準)③子育て環境の充実(保育所数・学校区の評判)——の組み合わせだ。コロナ禍以降、都心の高額マンションより「暮らしやすい街に根を下ろす」ライフスタイルへの転換を求める人が増えており、このエリアへの注目を加速させている。
一方で「東京ノース」の注目上昇は、エリア内の物件価格にも影響し始めている。赤羽・王子周辺の新築価格は3年前と比べると15〜20%上昇しており、「まだ都心より手ごろだが、気づいたときには上がっていた」という声も増えている。2026年下半期は北区・板橋区での新規供給がいくつか予定されており、エリアの動向を注視する価値がある。
赤羽や大山は、チェーン店だけでなく個人経営のお店が元気で、街の個性が残っています。「毎日歩きたい商店街があるか」という基準で街を選ぶのは、長く住むための大切な視点だと思いますよ。
日経が報じた7月のデータによると、東京23区の分譲マンション賃料は前月比0.8%上昇し、2カ月ぶりの上昇となった。特に城南(品川・目黒・大田)・城西(渋谷・世田谷・杉並)の1R〜1LDK帯で上昇幅が大きく、単身向け月額家賃が平均12〜14万円台に乗るエリアが増えている。25カ月連続で過去最高を更新し続ける家賃の動向は、賃貸市場の構造的な逼迫を示している。
この賃料上昇を受けて、単身・DINKS層の間では「毎月払う家賃が高いなら、いっそ購入した方が得ではないか」という計算が増えている。月14万円の家賃を10年払い続ければ1,680万円の支出になるが、同等の資金をローンに充当すれば3,500〜4,000万円の物件に対応できる計算も成り立つ。「払い捨ての家賃」から「資産形成の購入」へと移行を検討するタイミングとして、金利が上がりきる前の今を判断材料にする人が増えている。
ただし注意も必要だ。東京23区の新築マンション平均価格は1億4,000万円台であり、賃貸家賃の上昇を根拠に「今すぐ購入を急ぐ」必要はない。「住みたいエリアの物件価格÷購入後のランニングコスト(管理費・修繕積立)」と「現在の賃料総コスト」を10年スパンで比較してみると、判断がクリアになる。城東・郊外エリアでは実需向け価格帯の板状マンションが引き続き供給されており、急がず比較する姿勢が重要だ。
家賃の上昇を感じたとき、「買う or 借り続ける」という問いが浮かぶのは自然です。大事なのは焦って高値圏の都心物件を選ばないこと。まず「どのエリアでどんな生活をしたいか」から始めると、正しい判断軸が見えてきますよ。
三菱地所レジデンスが世田谷区下馬6丁目で分譲する「ザ・パークハウス世田谷下馬」は、東急東横線「学芸大学」駅から徒歩11分、第一種低層住居専用地域に建つ全74邸の低層レジデンスだ。地上1〜5階建ての落ち着いたフォルムに1LDK〜3LDK(45.49〜85.66㎡)の間取りを揃え、2026年7月下旬に販売を開始。低層住宅が並ぶ静かな住宅街の中で、周囲の景観に馴染むスケールの建物だ。
学芸大学エリアは東急東横線の駅周辺に飲食店・カフェ・書店が充実し、「暮らしに必要なものがコンパクトに揃う街」として人気が高い。目黒区との区境に近く、祐天寺・中目黒方面へも自転車で移動しやすい。世田谷区下馬は住宅地の落ち着きがあり、小学校・公園が徒歩圏内に整う子育て世帯にも支持されるエリアだ。
2026年7月時点の世田谷区における低層マンション供給は限られており、第一種低層住居専用地域内の新築は希少性が高い。低層の静かな暮らしを望みながら、学芸大学の街の楽しさを享受できるという「両立の妙」が本物件の最大の魅力だ。三菱地所レジデンスのブランド水準と世田谷の住環境が組み合わさった選択肢として、エリア内の実需ファミリーから高い関心を集めている。
学芸大学の駅前商店街は個性的なお店が多く、歩いて楽しい街です。低層住宅街に住みながら商店街の活気にすぐアクセスできる——その両立が、世田谷らしいライフスタイルを生み出しますよ。
阪急阪神不動産が練馬区上石神井3丁目で分譲する「ジオ練馬上石神井」は、西武新宿線「上石神井」駅から徒歩5分、第一種低層住居専用地域に広がる敷地面積7,500㎡超の敷地に計画される全106邸の低層レジデンスだ。緑豊かな住宅地の中にゆとりある棟配置で複数棟を展開し、2026年7月下旬に第一期販売を開始する。
上石神井エリアは石神井公園(1駅隣)を背景に、閑静な戸建て・低層マンションが並ぶ住宅地だ。西武新宿線で高田馬場まで約15分・新宿まで約20分と都心へのアクセスが確保される一方、「高い建物がない・静かな街並みが残る」という環境面の魅力がある。練馬区の新築マンション価格は城南・城西の人気エリアより割安感があり、広めのファミリー物件でも6,000〜8,000万円台が中心になることが多い。
敷地7,500㎡超の大規模低層開発は東京23区内では希少なケースだ。住戸ごとにテラスや専用庭が付くプランも計画されており、「戸建てに近い感覚で集合住宅に住む」ニーズを捉えた設計コンセプトとなっている。西武沿線の静かな街で子育てをしながら、週末は石神井公園で過ごす——という「自然と都市のバランス」を求めるファミリー層から注目を集めている。
石神井公園のそばで低層マンションに住むというのは、東京23区の中でも「緑が豊かな場所で暮らす」という希少な選択肢です。駅5分で100戸超の大規模低層——これはなかなか出てこない物件ですよ。
コスモスイニシアが板橋区大山町で分譲する「プレシア板橋大山」は、東武東上線「大山」駅から徒歩6分に建つ地上12階・全94邸の板状レジデンスだ。2LDK〜4LDK(58.24〜91.35㎡)の間取りラインナップでファミリー・DINKS層の実需に対応し、2026年7月に販売を開始した。東武東上線の快速停車駅である大山の利便性と、ハッピーロード大山商店街の活気が融合するエリアに位置する。
大山は「2026年住みたい街」として急注目される「東京ノース」エリアの中心の一つだ。ハッピーロード大山商店街は全長約800mに約170店舗が並び、個人経営の食料品店・惣菜店・カフェが充実している。東武東上線で池袋まで急行5分・新宿まで池袋乗り換えで約20分というアクセスを持ちながら、「地元の商店街で日常の買い物を楽しむ」という暮らし方ができる。
板橋区の物件価格は都心3区と比べて2〜3割安く、ファミリー向け2LDK〜3LDKが5,000〜7,000万円台で流通することも多い。2026年後半に向けて「城北エリアが再評価される」という市場観測が現実になりつつある中、大山での新規供給は実需層にとって検討価値の高い選択肢だ。商店街文化が根付いた街で、長く住まえる環境を求める人に特に向いている。
ハッピーロード大山商店街は、地元に根付いた人たちと日々の買い物でふと話が弾む、そんな東京らしい下町の空気があります。池袋まで急行5分で行けながら、この商店街の空気が日常になる——それが大山の魅力ですよ。
東京建物がさいたま市南区南本町で分譲する「ブリリア南浦和」は、JR京浜東北線・武蔵野線の2路線利用可能な「南浦和」駅から徒歩8分に建つ地上13階・全88邸の板状レジデンスだ。2LDK〜3LDK(56.12〜78.24㎡)と実需向けのラインナップで、2026年7月に販売を開始。価格帯は6,000万円台〜を想定しており、東京23区では実現しにくい広さと価格のバランスを打ち出している。
南浦和は2路線(京浜東北線・武蔵野線)の乗り換え駅という稀有な立地を持つ。京浜東北線で東京駅まで約28分、武蔵野線で西船橋・府中本町方面への横断アクセスも取れる。さいたま市南区は浦和・武蔵浦和・南浦和エリアが密接しており、商業施設・医療機関・学校が充実。「埼玉都民」として東京都心に通いながら、ゆとりある住環境を確保するライフスタイルが実現できる立地だ。
東京23区の新築マンション平均が1億4,249万円(2026年上半期)である一方、南浦和エリアでは3LDK/70〜75㎡が6,000〜7,000万円台から入手できる可能性がある。「都心ではどうしても予算が合わない」と悩む実需ファミリーにとって、2路線利用・駅近という基本条件を満たしながら価格を抑えられる南浦和は、2026年後半の注目の選択肢の一つだ。
「埼玉」という言葉でためらう前に、南浦和から東京駅まで約28分という実際の時間感覚を体験してみてください。浦和エリアは公園や図書館も充実していて、子育て環境の評価が高い街ですよ。
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はじめまして、ryoと申します。一級建築士として、集合住宅・分譲マンションの設計に携わっています。
図面を描く仕事を通じて学んだのは、「住まいの良し悪しは、カタログやモデルルームの印象だけではわからない」ということ。構造・管理・立地、そして長く住むための見極め方——設計の現場から見えている景色を、できるだけ平易な言葉でお届けします。
上質なマンション選びのパートナーとして、このノートがお役に立てば幸いです。