市況・新規供給・規制まで、首都圏マンション市場の動きを建築士視点で記録したニュースアーカイブ。
マンションの売買データを分析するマンションリサーチは2026年9月18日、「在庫増=需要減ではない」と題したレポートを公表した。2022年1月〜2026年8月に東京都で売りに出された中古マンション33万8,169件の販売事例を、建てられた年代ごとに分けて調べたものだ。
東日本不動産流通機構のデータでは、東京都の中古マンションの成約件数は前年比18.7%減、在庫は21.3%増となった。レポートが注目するのは、その中身だ。売れ残りが増えているのは主に2006年以降に建った築浅マンションで、23区では売りに出ている物件の約37%を占める。一方、1982年以前に建った物件の在庫はやや減り、1983〜2005年築はほぼ横ばいだった。
地域別では、千代田・中央・港の都心3区で築浅の在庫増が目立ち、新宿・渋谷・江東・目黒・品川の各区でも増える傾向がみられた。反対に足立区では在庫がはっきり減っている。レポートは、築浅物件の値段が上がりすぎて、売り手の希望価格と買い手が出せる金額の間にズレが生まれていることが在庫増の本当の理由だと指摘しており、「まだ買いたい人はいるが、その値段では買えない」状態だと読み解いている。
足立区のように在庫が減っている街は、商店街や公園が身近で、普段の暮らしにちょうどよい価格の住まいが選ばれている証拠だと思います。築年数の新しさだけで比べず、「この街で毎日をどう過ごせるか」から探すと、選択肢がぐっと広がります。
SUUMOジャーナルは2026年9月18日、神奈川県川崎市の築約50年の団地を舞台にしたリノベーションの実例を紹介した。主人公は建築設計事務所に勤める川内聡士さん。祖母が長く暮らした約57㎡の住戸を、25歳のときに相続ではなく正式な売買で祖母から買い取った。購入代金は住宅ローン、工事費は別の融資でまかなったが、親族の間の売買でローンを組む手続きは手間がかかったという。
工事は2024年に完了。もとは3DKだった間取りを2LDKに変え、費用は約1,500万円だった。設計は川内さん自身が担当し、オーストラリア製の塗料で塗った壁、腰の高さまで張ったタイル、グレーの床材、やわらかい曲線の壁、造り付けの洗面台など、好きなものを詰め込んだ。古い窓の内側にはもう一枚、樹脂の窓を足して、冬の寒さや外の音にも手を入れている。
約1年半住んだあと、「腕試し」として相場より強気の価格で売りに出したところ、複数の購入希望者が現れ、値下げ交渉もなくすぐに買い手が決まった。内見に来た人の多くは、もともとこのエリアを探していなかったという。新築価格が大きく上がるなか、緑の多い敷地や広い棟の間隔をもつ昔ながらの団地を、手を入れて住みこなす選び方が若い世代にも広がりつつある。
団地は棟と棟の間に芝生や木々がたっぷりあり、子どもが走り回れる広場や顔見知りのご近所づきあいが残っているのが魅力です。建物の古さだけで外さず、団地の中や周りを散歩して、その「ゆとり」を体で感じてみてください。
不動産経済研究所は2026年9月17日、8月の首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)の新築分譲マンション市場動向を発表した。発売戸数は1,140戸で、前年同月(1,301戸)より12.4%減。1戸あたりの平均価格は9,770万円(前年同月比5.4%ダウン)、1㎡あたりの単価は144.4万円(同9.1%ダウン)で、平均価格は5カ月ぶり、単価は16カ月ぶりの下落となった。発売した月のうちに売れた割合を示す初月契約率は61.1%で、好調の目安とされる70%を下回った。
地域別の発売戸数は、東京23区が478戸(前年同月比30.7%減)、神奈川県が140戸(同37.8%減)と大きく減った。一方で千葉県は247戸(同100.8%増)とほぼ倍増し、埼玉県も102戸(同17.2%増)と増えた。平均価格は東京23区が1億3,821万円とほぼ前年並みだったのに対し、東京都下6,678万円、神奈川県7,309万円、埼玉県6,840万円、千葉県6,702万円と、23区の約半分の水準にとどまっている。
8月に即日完売したのは、千葉県流山市の「プレディア流山運河ステーションフロント」の4戸(平均4,771万円)だけだった。月末時点の売れ残り(販売在庫)は6,610戸で、3カ月連続で増えている。同研究所は、9月の発売戸数を1,500戸程度と見込んでおり、前年9月の1,908戸を下回る見通しだ。供給の中心が、価格の高い都心から、家族向けの広さを手の届く価格で選べる郊外へと少しずつ移っている様子がうかがえる。
千葉や埼玉で発売が増えているのは、駅前に買い物や保育の場がそろい、都心に毎日出なくても暮らしが回る街が増えてきたからだと感じます。価格の安さだけでなく、休日に家族で歩ける公園や商店があるかも一緒に見てみてください。
国土交通省は2026年9月15日、毎年7月1日時点の土地価格を調べた「都道府県地価調査(基準地価)」を発表した。全国の全用途平均は前年比+1.5%、住宅地は+1.0%、商業地は+2.9%で、いずれも5年連続のプラスとなった。三大都市圏の全用途平均は+4.4%(前年+4.3%)。住宅地の最高価格は東京都港区赤坂の1㎡あたり750万円、商業地は中央区銀座の5,250万円だった。
けん引役は東京圏と大阪圏だ。東京圏は全用途で+5.4%(前年+5.3%)、住宅地+4.0%(同+3.9%)、商業地+8.9%(同+8.7%)と、いずれも伸びが広がった。一方、名古屋圏の全用途は+1.9%(前年+2.1%)と2年連続で伸びが縮み、札幌・仙台・広島・福岡の地方四市も+4.1%(前年+5.3%)と勢いが落ちている。建築費の高騰で開発が進みにくくなり、地方では値上がりのペースが鈍り始めた。
ダイヤモンド不動産研究所の解説(9月16日公開)は、東京圏の郊外で差が開きつつある点に注目する。千葉県流山市は+13.3%、松戸市は+8.9%と高い伸びが続く一方、埼玉県東部では草加・越谷までは上昇が目立つものの、春日部市は+0.1%、久喜市は横ばい、加須市は下落に転じた。記事は、郊外で値上がりが続くかどうかを分けるのは「東京からの距離」よりも「東京へ行かなくても暮らしが回る拠点性」だと指摘しており、地域の中に働く場所がある印西市や成田市の上昇がその例だという。
流山や印西が強いのは、駅前に買い物も保育園も病院もそろい、休日を街の中で過ごせるからです。郊外で住まいを探すときは、都心までの分数と一緒に「平日の夜と週末をこの街で楽しく過ごせるか」を歩いて確かめてみてください。
SUUMOジャーナルは2026年9月16日、「家賃高騰でも若者世代の職住近接ニーズはアップ中」と題した記事を公開した。紹介されたのは、MUFG不動産研究所がまとめたレポート(Vol.314)で、東京・神奈川・埼玉・千葉に住む20〜59歳を対象に「働きたい場所で働く人は、どこに住んでいるのか」を調べたものだ。
働きたい場所として全体でも20代でも上位に入ったのは「丸の内・大手町・日本橋」と「新宿」だった。実際にこれらのエリアへ通う人の通勤時間は、丸の内・大手町・日本橋が平均36分、新宿が平均34分で、多くの人が30分台に収まっている。一方で、そうした通勤30分台のエリアでは、単身者向け賃貸の家賃がこの5年で2〜3割上がっており、若い世代ほど負担が重くなっている。
それでも20代・30代は「職場の近く」を優先する傾向を強めている。家賃が上がった分を、通勤で失う時間や疲れを減らすための対価と考える人が増えているためだ。住宅会社の側も、五反田に完成した地上29階の賃貸レジデンスのように、20〜30代の「通勤を短くしたい」層を意識した住まいを増やしている。賃貸で職住近接を経験した世代が、将来の住宅購入でも「駅と職場への近さ」を重く見る流れは、分譲マンションの立地選びにも影響していきそうだ。
通勤が片道20分短くなると、1年でおよそ160時間、夕方の散歩や自炊、友人との時間に回せます。家賃や価格だけで比べず、「この街に住むと毎日の時間がどう変わるか」を一緒に考えると、自分に合う場所が見えてきます。
「これからマンション価格は下がるのか」——2026年秋を迎え、この問いに答えようとする市況分析が相次いでいる。ホームズの不動産売却メディアは2026年9月版として「マンション価格の下落はいつ?2026〜2030年の見通しを検証」を公開。同コラムは「全国一律に下落する可能性は低い」としつつも、下落要因として金利上昇・中古在庫増加・人口減少エリアの需要減を、上昇/下支え要因として建築費の高止まり・新築供給の少なさ・都心の実需強さを挙げている。現時点では上昇要因が優勢だが、金利と人口動態の変化によって局所的な下落が先行する可能性は否定できない。
株式会社グローベルスの「2026年マンション価格推移と今後の見通し」は、より具体的な数字で整理している。首都圏の新築マンション平均価格は2026年上半期に初めて1億円の大台(1億135万円)を超えた。直近5年で約40〜50%の上昇というペースは、年収や購買力の伸びをはるかに超えており、「高い水準でいつかは調整が来る」という観測が市場に広まっている。ただし「調整」と「暴落」は別物で、2008年のリーマンショック時でさえ首都圏の価格下落は約15〜20%にとどまった。
2026年秋のポイントは「買えるかどうか」より「住み続けられるかどうか」で判断することだ。価格の天井が読めない市場では、将来の転売を意識した投資判断より、長期間安定して住み続けられるかどうかを基準にした実需選択が安全策となる。返済額が現在の収入で無理なく収まるか、変動金利から固定金利に切り替えた場合でも耐えられるか——これらを先に確認してから物件を選ぶ順序が、2026年秋の購入者には特に大切だ。
「高いうちに買うのか、もっと上がる前に買うのか、下がるまで待つのか」は、家を選ぶより先に答えを出せない問いです。それより「今の家賃より月々の支払いが増えないか」「転勤・転職があっても住める場所か」を先に整理すると、焦りが落ち着いて判断がしやすくなります。
三菱地所のレジデンスクラブが2026年に公開したコラム「郊外は下落エリアも!?2026年の新築マンション市場を読む」(resiclub.com)は、都心から距離のある郊外の一部エリアでは新築マンションの価格調整が始まりつつあると指摘している。首都圏全体の新築マンション平均価格が上半期に初めて1億円を超えた一方、「価格が上がっているのは立地が選ばれたエリアだけ」という現実が浮き彫りになっている。駅徒歩20分超・バス便・開発用地が多い「遠郊外」では、販売期間が長引く物件や値引きが先行するケースが増えており、同じ「郊外」でもエリアごとの差が大きく開き始めている。
価格が支えられているのは「都市圏近郊」だ。都心から30〜40分圏で複数路線が利用でき、生活商業施設が充実した「実需の強いエリア」は、投資目的の需要がなくても実需だけで吸収できる。大井町駅から一駅の大森・大森海岸、田園都市線から一駅の溝の口周辺、武蔵野エリアに近い郊外駅など、「再開発の直撃エリアより一駅隣」が注目される背景もここにある。一方で人口減少が進む郊外では将来の流動性・売りやすさを考えた慎重な選択が求められている。
「郊外を選ぶ理由が価格だけなら危ない」——これが2026年秋のエリア選びで重要なポイントだ。長く住む前提で「働く場所が変わっても住み続けられるか」「子どもの学校・医療・買い物が揃っているか」「20年後に売ろうと思った時に買い手がいそうか」を一緒に問う必要がある。価格と生活の質を一緒に見ること、そして「割安」には必ず理由があることを改めて意識したい秋の市場だ。
「郊外が安い」という時代は終わりに近づいています。今は「この街には10年後も人が集まっているか」を先に考えることが大切で、駅前の商店街が元気かどうか、子どもの声が聞こえるかどうかが、住まいの長期価値を映す素直なバロメーターです。
東京建物・野村不動産・中央住宅・ファースト住建が共同で開発を進める「Brillia Tower 千葉」(千葉市中央区富士見二丁目)が、2026年9月現在、第3期の先着順受付を実施している(SUUMO、2026年9月16日確認)。敷地は旧三越千葉店跡地で、JR総武快速線・外房線ほか5路線が乗り入れる「千葉」駅から徒歩4分の都心型立地。全491戸・地上23階建・免震構造(RC造)で、間取りは1LDK〜4LDK、専有面積は33.99〜160.10㎡と単身から大家族まで幅広い世帯に対応する。販売価格は7,098万〜13,998万円で、竣工は2026年8月・入居は2026年12月を予定している。
旧三越千葉店は2021年に閉店し、地域のシンボルだった百貨店跡地がマンションと商業施設の複合開発に生まれ変わる。1階〜2階部分には商業施設も設けられ、マンション住人だけでなく周辺住民も利用できる「住商一体開発」として千葉市の都心活性化を担う大規模プロジェクトだ。免震構造は建物と地面の間に免震装置を挟む最高水準の地震対策で、23階建クラスの新築タワーでの採用は城南・城東エリアと比べても珍しい。千葉市は首都圏の中でも新築マンション需要が底堅く、千葉駅圏での中大規模タワー供給は希少だ。
首都圏郊外の中心都市である千葉市は、横浜・さいたまと並ぶ「政令指定都市」で、都心へのアクセスと生活利便性を両立させた住まいとして共働き世帯からの需要が高い。千葉駅から東京駅まで総武快速線で約40分、新宿まで横須賀・総武快速線で約60分、海浜幕張や幕張メッセ方面へも1本でアクセスできる。2026年12月入居予定と竣工済みに近い状態にあり、モデルルームより実際の仕様・眺望・日当たりを確認できる「竣工済み物件」としての安心感も購入検討のハードルを下げている。
かつて千葉の街の顔だった三越の跡地が、今度は住む場所に生まれ変わります。千葉駅周辺は近年にぎわいが戻りつつあり、百貨店跡地の再開発が街の空気をどう変えるか、気になる方は入居前に一度足を運んでみてください。
不動産経済研究所が2026年7月21日に発表した「首都圏新築分譲マンション市場動向2026年上半期(1〜6月)」によると、首都圏の発売戸数は7,989戸(前年同期比0.8%減)と5年連続の減少となった。一方で平均価格は1億135万円と上半期として初めて1億円台を突破(㎡単価151.4万円)。東京23区の平均は1億4,249万円、神奈川県でも8,346万円と、エリアを問わず価格上昇が続く。
価格が最高水準でも「すんなり売れているわけではない」のが2026年の首都圏市場の実態だ。初月契約率(発売月に売れた割合)は64.8%と前年同期比1.8ポイント低下し、好調の目安とされる70%を5ポイント以上下回る。販売在庫は6,389戸(前年比363戸増)に積み上がっており、「竣工後も売れ残る」物件が目立ち始めている。株式会社MFSの「CAPSレポート9月号」でも竣工前新築の東京23区AI査定は1億4,572万円(前年比+13.3%)と上昇を続ける一方、中古の7月成約価格は5,267万円(前年比−0.7%)と3ヶ月連続で前年を下回っており、新築・中古の価格乖離が鮮明になっている。
「売れない価格まで上がってしまっている物件がある」という状況は、供給が絞られているにもかかわらず在庫が積み上がるという逆説を生み出している。秋の販売シーズンを前に、デベロッパー各社は価格設定の見直しや販売手法の工夫を迫られている局面だ。実需で購入を検討する人には、完成在庫の交渉余地が増えている今秋が、じっくり比較検討できる機会といえる。
「平均1億円」という数字は実態より高く見えがちです。完成在庫は実際の部屋や眺望を確かめてから申し込めるうえ、価格交渉の余地もある場合があります。秋の見学シーズンは、新築の竣工済み物件と中古の両方を並べて比べる好機です。
国土交通省は2026年9月14日、古くなったマンションの再生を後押しする「マンションストック長寿命化等モデル事業」の令和8年度第2回の採択結果を公表した。応募11件のうち8件が選ばれ、内訳は再生の進め方を検討する「計画支援」が5件、建て替えなどの実施を支える「工事支援」が3件。国が費用の一部を支援し、ほかのマンションが参考にできる「お手本」として成果を広める仕組みだ。
採択された8件の多くは1960〜70年代に建った物件だ。東京都の「亀戸2丁目団地」(1969年築・4棟620戸)は、団地の中央に水害時に周辺住民も一時避難できる「高台避難デッキ」を設け、町会や商店会も加わる協議会で地区全体の将来像を話し合いながら建て替えを目指す。東京都の「烏山北住宅」(1965年築・9棟300戸)は、周囲の団地と計260回の協議を重ね、団地内の通路を街の道路として整える計画で、建て替え決議は2027年10月の予定。神奈川県の「かみさく住宅1号棟」(1965年築・24戸)は、敷地と建物をまとめて売却し、新しい住宅地として生まれ変わらせる道を探る。
工事費の高騰で、デベロッパーの協力が得られにくい小規模・郊外の団地も増えている。今回は、事業の規模を小さくして住民の負担を抑える案(多摩川住宅ト号棟、1971年築・326戸)や、20戸の小さなマンションが住民主体の方式から切り替えて建て替えにこぎつけた例(鷺沼コーナス)も選ばれた。2026年4月に改正マンション関係法が施行され、建て替え以外の選択肢が広がるなか、「古い団地をどう次の世代につなぐか」の具体例が各地で積み上がりつつある。
古い団地の建て替えは、建物だけでなく「そこに住む人のつながり」をどう引き継ぐかが本当のテーマです。地域の人も逃げ込める避難デッキのように、団地が周りの街の役に立つ場所になれば、住み続ける理由にもなり、街全体の安心にもつながりますね。
JR西日本プロパティーズと三菱地所レジデンスは2026年9月14日、神戸市垂水区舞子台で開発した「プレディア神戸舞子レジデンス」の竣工を発表した。総戸数350戸・鉄筋コンクリート造地上11階建の大規模レジデンスで、敷地面積は約1万3,424㎡。JR神戸線「舞子」駅から徒歩7分、山陽電鉄「舞子公園」駅から徒歩6分に位置する。9月19日(土)には建物内モデルルームがグランドオープンする。
明石海峡と公園に囲まれた高台に建ち、約2.1mの高さのサッシやガラスの手すりを採り入れて、明石海峡大橋や淡路島への眺めを生かした。敷地の周りの電柱・電線は地中化している。敷地の中央には木造の独立した共用棟「ウッドヴィラ」を置き、キッズスペース、ラウンジ、キッチンスタジオ、マルチスタジオ、コワーキングスペースなどを備える。先着順で販売する8戸は、2LDK+S〜4LDK・専有面積65.54〜91.54㎡で、価格は4,598万〜8,048万円。
首都圏では新築の平均価格が1億円を超え、大規模物件はタワーが目立つが、この物件は海と公園に近い郊外の高台に、横に広がる中層の建物で350戸をまとめた。住人が集まる場を敷地の真ん中に据える設計は、350世帯がひとつの街のように暮らすための工夫で、郊外の大規模マンションの新しい形として注目される。
350世帯が暮らす規模になると、共用棟が「マンションの中の公民館」のような役割を果たします。子ども同士が遊び、親同士が顔見知りになる場所が敷地の真ん中にあるのは、海辺の郊外で長く住み続けるうえで大きな安心材料ですね。
自由が丘一丁目29番地区市街地再開発組合とヒューリックは2026年9月14日、東急東横線・大井町線「自由が丘」駅前ロータリーに面した複合施設「JIYUGAOKA MUSE SQUARE(自由が丘ミューズスクエア)」を報道陣に公開した。開業は9月17日(木)。約0.5haの区域で、地上15階・地下3階、高さ約60m、延床面積約4万6,000㎡のビルに、住宅・オフィス・商業を重ねた。準備組合の立ち上げから約10年、地元の地権者は「100年ぶりのハードの更新」と表現する。
地下1階〜5階の商業ゾーンには59店舗が入り、地下1階には明治屋やマツモトキヨシ、1階には地元の老舗「モンブラン」「自由が丘一誠堂」などが並ぶ。5階にはヒューリックが運営する子育て・教育施設「こどもでぱーと」の3号店が開業し、6階にはみずほ銀行が出店する。7〜15階は賃貸住宅「自由が丘ミューズスクエアレジデンス」で、1LDK〜3LDKの123戸を月額34万〜106万円で提供する(R.E.port)。
再開発には地権者30人が参画し、建物の老朽化に加えて、防災性の向上や歩道・車道の改善が課題だった。1階には始発から終電まで開放される南北の貫通通路を設け、周辺では無電柱化や歩道の整備、地域で共同利用する荷さばき場の設置も進めた。小さな路地と個店の魅力で知られる自由が丘で、駅前の「歩きやすさ」と「子育てのしやすさ」を底上げする取り組みとして、周辺の住宅地の暮らしにも影響が広がりそうだ。
自由が丘の魅力は、駅前から住宅街までぶらぶら歩ける街の近さです。夜遅くまで通り抜けられる通路や子育てフロアができることで、家族連れが駅前で過ごす時間が増え、周辺の住宅地にとっても「住み続けたい街」の理由がひとつ増えそうです。
東急不動産が東京都文京区大塚二丁目で開発する「ブランズ護国寺富士見坂」が、2026年9月から先着順での申し込み受付を開始している(SUUMO、2026年9月12日確認)。東京メトロ有楽町線「護国寺」駅から徒歩2分の立地で、全36戸・地上10階建の板状レジデンス。間取りは全戸3LDKで、専有面積は70.08〜74.52㎡。価格は1億6,770万〜1億8,190万円で、竣工は2027年3月下旬の予定だ。
護国寺駅から有楽町線で池袋まで約1分、飯田橋まで約3分、有楽町まで約10分と都心部への移動に優れる。文京区は閑静な住宅地としての評価が高く、特に大塚・護国寺周辺は寺社・公園に囲まれた落ち着いた生活環境が魅力だ。駅徒歩2分・全戸3LDK・70㎡台という構成は、共働きでファミリーを想定した明確な設計といえる。「ブランズ」は東急不動産のマンションブランドで、設計・仕様・管理体制の一貫した品質が評価されている。
2026年の都心近接・駅近物件の新規供給は絶対数が少なく、護国寺駅徒歩2分という立地での板状36戸は希少性が高い。文京区は小学校の教育水準の高さと治安の良さでも知られ、子育て世帯からの人気が高いエリアだ。首都圏の新築マンション在庫が積み上がるなか、立地の希少性が明確な物件は引き続き動きが速い傾向にある。
護国寺から音羽通りを歩くと、坂道の途中に護国寺の緑が広がり、池袋や飯田橋へのアクセスとは別の静かな街の顔が見えます。週末に現地を歩いて、通勤路と休日の散歩道の両方を体で感じてみてください。
不動産テック企業MFS(モゲチェック)は2026年9月、AIによる価格推計モデル「CAPS Index」をもとにした2026年9月版価格動向レポートを公表した。竣工前の新築マンション(2026年10月以降竣工)に限ると、東京23区の70㎡換算AI査定価格は1億4,572万円で前年比+13.3%と大幅な上昇が続いている。全国の3LDK(70㎡換算)は3,468万円(前月比+1.0%、前年比+10.8%)。
賃貸市場も同様だ。全国の3LDK(70㎡換算)賃料は月15.6万円(前年比+4.7%)、東京23区は月30.5万円(前年比+6.5%)まで上昇している。都心3区(千代田・中央・港)の中古マンション平均は1億8,491万円。価格は前月比でわずかに落ち着いているが、前年からの水準自体は高いままだ。
新築価格と賃料がともに上がり続けるなか、「買えない→借りる」→「借りると家賃が上がる」というサイクルが固まりつつある。竣工前物件が前年比+13%という数字は、青田売りに乗り遅れると価格がさらに上がってしまう焦りを生みやすい。ただし、焦って動くより、周辺の中古価格との比較と自分の持ち期間・出口戦略を冷静に確認する方が長い目では大切だ。
価格が上がると、同じ予算でできることが減ります。エリアを少し広げるか、竣工後の中古を視野に入れるだけで、街の選択肢が増えることがあります。焦らず、自分が長く住みたいと思える街を先に決めてから物件を探してみてください。
株式会社マーキュリーが2026年9月に公表した「月例新築マンション動向2026年9月号」によると、首都圏の2026年1〜6月(上半期)の新築マンション平均価格は1億135万円で、上半期として初めて1億円を超えた。前年比では約4%の上昇だ。
需給面を見ると、発売戸数は7,989戸で前年同期比0.8%減と5年連続の上半期減少となった。初月契約率は64.8%と、好調の目安とされる70%を下回っており、売れ行きはやや鈍化している。在庫は6,389戸まで積み上がっており、デベロッパーが売り急がずに値段を保つ傾向が続いている。エリア別では23区と郊外の価格差がさらに広がっている。
「売れ行きが鈍化しているのに価格が下がらない」。これがいまの首都圏新築市場の構造だ。供給者側は在庫を抱えても値下げしない、需要者側は価格が高くても「今より上がる前に」と動く。どちらかが折れるまで、この硬直は続きやすい。初月契約率の水準を継続して見ていくことが、市場の転換点を読む上でカギになる。
初月契約率が下がっているということは、売れ残る物件が増えているということでもあります。売れ残りのなかには「人気のなかった棟・階・向き」が混じっていて、そこに意外と住みやすい部屋が残っていることもあります。
長谷工総合研究所は2026年8月号の調査報告で、東京23区の賃貸住宅市場を詳しく分析した。分譲マンションの平均賃料(東京23区)は5,041円/㎡と、5,000円の大台を突破。前年比では約6〜7%上昇しており、単純に換算すると70㎡の部屋が月約35万円を超える水準になっている。
問題は、家賃が上がるほど「分譲マンションへの移行」が難しくなる構造だ。変動金利1%・35年ローンで月25万円返済するには、借入額が約9,000万円に達する。一方で、家賃35万円を払いながら頭金を貯めるのは容易ではない。賃貸で払い続けるか、高値で買うか——どちらの出口も塞がれた状態が続いている。背景には新築供給の減少・建設コストの高騰・都心への人口集中がある。
この状況が変わる鍵の一つは、住む場所の範囲を広げることだ。都心から少し距離を取ると、同じ予算で広さや緑の多さが手に入る。鉄道網の充実した郊外は、かつてより「遠さ」の感じ方が変わっている。家賃の上昇は痛いが、住む街の選択肢を広げるきっかけとして使えるかどうか、今一度検討してみる価値がある。
家賃を払いながら夢の物件を待つより、今住んでいる街の隣の駅まで視野を広げると、意外と「ここいいな」と思える場所が見つかることがあります。駅の路線より、街を歩いた時の気持ちよさを先に確認してみてください。
国土交通省は2026年9月11日、改正建築物省エネ法の施行に伴う関係政令が閣議決定されたと発表した。政令は9月16日に公布され、2027年4月1日に施行される。これにより、住宅を大量に供給する事業者を対象とした「上位住宅トップランナー制度」と、先導的な省エネ技術を国土交通大臣が認定する制度が始まる。
上位住宅トップランナーに指定されるのは、年間の供給戸数が一定以上の事業者だ。基準は分譲マンション2,000戸、建売戸建て2,000戸、注文戸建て2,000戸、賃貸アパート15,000戸。指定された事業者には、省エネ性能を高めるための中長期的な計画の提出と、毎年度の取り組み状況の報告が求められる。建物を使う段階の省エネに加え、建設から解体までを通じた脱炭素化を進めるのが狙いだ。
年2,000戸以上の分譲マンションを供給できるのは大手デベロッパーに限られるため、まずは大手ブランドの新築から取り組みが目に見える形になっていくとみられる。すでに新築では「ZEH-M Oriented」などの表示が広がっているが、今後は事業者ごとの計画や実績も比べられるようになる。購入を検討する人にとっては、物件選びの物差しがひとつ増えることになりそうだ。
省エネの取り組みは、毎月の光熱費や、夏も冬も家の中で過ごしやすいかどうかに直結します。モデルルームでは設備の話だけでなく、「真夏の午後に日差しがどう入るか」「冬の朝の室内がどうか」を具体的に聞いてみると、暮らしのイメージがつかみやすくなります。
長谷工不動産・URリンケージ・長谷工コーポレーションが東京都小平市小川東町で進める「東京リンクウィズタウンプロジェクト」が、第1期6次の販売を2026年9月中旬に予定している(SUUMO、2026年9月11日更新)。1971年に建てられた団地「小川住宅」(総戸数230戸)を建て替えるプロジェクトで、新しい建物は地上8階建て・総戸数575戸(非分譲119戸を含む)。
西武多摩湖線「八坂」駅から徒歩5分。敷地面積は2万4,624㎡(約2.4ha)と広く、約1,300㎡の公開空地も設ける。間取りは1K〜4LDK、専有面積30.07〜83.32㎡の全76タイプで、予定価格は2,900万円台〜7,000万円台。3LDKは4,400万円台からとなる。共用部には運動スペース「おがわベース」、キッズルーム、スタディルーム、ゲストルームなどがそろう。竣工は2027年10月、入居は2027年12月の予定だ。
都内の新築平均が1億円を超えるなか、単身向けからファミリー向けまでを一つの街区で受け止める大規模な建て替えは、多摩エリアの住まい探しで大きな選択肢になる。昭和の団地が持っていた「広い敷地にゆったり建つ」良さを残しつつ、世代の違う住人が同じ場所に暮らす構成は、郊外の住宅地が次の50年をどう迎えるかを示す一例といえる。
もともと団地だった場所は、敷地の中に子どもが遊べる空間や木々が多く、近所の顔が見えやすいのが魅力です。単身の方からファミリーまで一緒に住む街になるので、休日に現地を歩き、周辺の商業施設や学校までの道のりを家族で確かめてみてください。
(公財)不動産流通推進センターは2026年9月11日、全国の指定流通機構(レインズ)に登録された2026年8月の既存住宅の成約データをまとめた。既存(中古)マンションの平均成約価格は4,047万円で前年同月比2.79%下落し、3か月ぶりのマイナスとなった。㎡単価は62万5,600円(同3.46%下落)で、前年を下回るのは75か月ぶり、約6年ぶりのことだ。
中身を見ると、平均専有面積は66.21㎡(同1.27%増)と広がる一方、平均築年数は28.30年(同5.95%増)と古い物件の比率が上がっている。成約件数は6,006件(同8.04%減)で、6か月連続の減少。つまり「築年数の経った広めの物件」が相対的に多く売れ、単価を押し下げた面もある。単純に「中古が値下がりし始めた」と読むのは早いが、高値の物件ほど動きにくくなっている様子はうかがえる。
首都圏でも成約件数の前年割れが続いており、新築価格の高止まりとは対照的に、中古市場では買い手が慎重になっている。売り出し在庫が積み上がる局面では、同じエリア・同じ広さの物件を比べて選べる余地が広がる。数か月単位で単価の推移を追い、下落が一時的なものか流れの変わり目なのかを見極めたいところだ。
単価が下がって面積が広がっているのは、「駅から少し離れても広い家」を選ぶ人が増えているサインかもしれません。比べられる物件が増えている今は、気になる街を2〜3か所に絞って、休日に歩き比べてみるのにいい時期です。
東武不動産は2026年9月11日、東京都豊島区東長崎で賃貸マンション「ヴィスターコート東長崎(仮称)」を開発すると発表した。同社の賃貸マンション新規開発事業の第3弾にあたる。西武池袋線「東長崎」駅から徒歩10分、敷地面積271.68㎡・延床面積466.58㎡の地上3階建てで、総戸数は12戸。2027年8月の竣工を予定する。
間取りは1LDKのみで、専有面積は32.77㎡と35.02㎡の2タイプ。単身者や2人暮らしのニーズを見込んだ構成だ。大型の開発ではなく、住宅街の一角に建つ12戸という規模は、周囲の街並みになじみやすく、入居者同士も顔が見えやすいサイズ感といえる。
都心の家賃が上がり続けるなかで、池袋から近い西武池袋線沿線の住宅地は、通勤のしやすさと落ち着いた暮らしを両立したい若い世代の受け皿になっている。1LDKで30㎡台前半という広さは「一人でもゆとりが欲しい」「2人で住み始める最初の家」という需要に合う。大手の分譲だけでなく、こうした小規模な賃貸の供給が沿線の住み替えの選択肢を支えている。
東長崎は駅前に昔ながらの商店街が残っていて、よく行くお店ができやすい街です。池袋に近いのに夜は静か、というバランスは、一人暮らしの最初の街や、2人で住み始める街として候補に入れてほしいエリアです。
三井不動産、八王子市、東京都立大学の3者は、京王相模原線「南大沢」駅前の公共空間を再整備するための共同研究を始めた(R.E.port、2026年9月11日報道)。期間は2026年9月1日〜2027年3月31日。駅前を「滞在・交流・にぎわい」が生まれる歩いて楽しい空間「みちひろば」へ転換することを目指す。
具体的には、ベンチやテーブルなどのストリートファニチャの設置、マルシェやワークショップなどのイベントを行い、道路空間を活用する「ほこみち制度」の導入も検討する。2026年9月19日〜11月3日には社会実験を実施する予定だ。南大沢駅前は整備から30年以上が経ち、再整備が求められていた。三井不動産は駅前の「三井アウトレットパーク」の一部建て替え・大規模リニューアルも計画している。
南大沢は商業施設・大学・公園・住宅地がコンパクトにまとまった多摩ニュータウン西部の拠点だ。ニュータウンの駅前は「車と歩行者を分ける」考え方でつくられてきたが、いまは「人が座って過ごせる場所」をどう増やすかが街の魅力を左右する。住民・学生・来訪者が一緒に使う広場が育てば、郊外の住宅地としての評価にもつながっていく。
駅前に座れる場所が増えるだけで、買い物帰りに知り合いと立ち話をしたり、子どもを遊ばせながら一息ついたりと、街での過ごし方が変わります。社会実験の期間に一度訪れて、平日と休日の人の流れを見てみると、住む街としての南大沢がよく分かると思います。
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)が2026年9月10日に公表した2026年8月の首都圏市場動向によると、中古マンションの成約件数は3,180件で前年同月比▲10.5%。5か月連続で前年を下回った。とくに東京23区は▲20.6%と落ち込みが大きい。
価格面も動いている。1件あたりの平均成約価格は5,130万円、㎡単価は81.6万円で、いずれも4か月連続の下落となった。一方で売り出し側は増えており、新規登録件数は前年比+9.7%、在庫は48,235件(+8.2%)まで積み上がっている。中古戸建ては成約が+1.9%と小幅ながら持ち直した。
売れる数が減り、売り出しが増え、在庫が膨らむ。この3つが同時に起きているのは、これまでの「出せば売れる」局面とは明らかに違う。ただし下落と言っても水準はまだ高く、5,000万円台の平均は数年前から見れば十分に高値だ。いま起きているのは急落ではなく、売り手と買い手の力関係が少しずつ戻ってきている段階と見るのが自然だろう。
在庫が増えるということは、同じ街で比べられる部屋が増えるということです。焦って1件目に飛びつかず、同じエリアで3件は内見してみてください。街の雰囲気も、時間帯を変えて2回歩くと見え方が変わります。
太成有楽不動産は2026年9月9日、東京都杉並区にペット共生型の賃貸レジデンス「テラス高井戸」を建設すると発表した。京王井の頭線「高井戸」駅から徒歩7分。全58戸で、間取りは1LDK・2LDK。竣工は2028年3月を予定する。
特徴は、58戸のうち26戸(約45%)を「ペット専用仕様住戸」としたことだ。ペット用品をしまう専用収納と、においを抑えるナノイー脱臭システムを備える。共用部にも配慮があり、各階のエレベーターホールに抗菌消臭マットを設置。大型犬や多頭飼いに対応する住戸も用意される。
立地も企画とかみ合っている。徒歩2分圏に動物病院・ペットサロン・ペットホテルがあり、すぐ近くには神田川沿いの遊歩道が通る。ペット可の物件は数としては珍しくないが、「飼っていい」から「飼う前提でつくる」へ踏み込んだ物件はまだ多くない。建物の中だけでなく、周辺に何があるかまで込みで組み立てている点が新しい。
犬を飼っている人が多い街は、朝と夕方に人が外に出ます。それだけで通りの見通しがよくなって、住んでいて安心感が違います。川沿いに歩ける道があるかどうかは、地図で必ず見ておきたいポイントです。
日本不動産研究所と再生建築研究所は2026年9月9日、建物が築年数によらず適切に評価される社会を目指す共同研究を始めると発表した。不動産鑑定の知見と、建物の再生・改修の実務知識を持ち寄る形になる。
背景にあるのは、既存の建物を活かそうとしたときにぶつかる壁だ。技術的な難しさ、費用、工期、そして改修後にどう使えばいいのかという見通しの立てにくさ。日本不動産研究所は、こうした論点を計画の初期段階からまとめて検討するためのデータや手順が足りていないと指摘している。研究では用途も築年数も規模も異なる建物を対象に検証を進めるという。
成果は金融機関やデベロッパーにも共有される予定だ。日本ではこれまで、建物の価値は年数とともに目減りするものとして扱われてきた。その前提が少しでも動けば、「古いから建て替える」以外の選択肢が現実味を帯びてくる。中古を買って手を入れて住む人にとっても、直接効いてくる話になる。
築年数が古い物件を見るときは、数字より先に建物の使われ方を見てください。掲示板が生きているか、共用部に手が入っているか。人が大事にしている建物は、年数に関係なく気持ちよく住めます。
国土交通省が2026年8月31日に公表した建築着工統計によると、2026年7月の新設住宅着工戸数は6万6,439戸で、前年同月比+8.2%。4か月連続の増加となった。内訳は持家1万7,730戸(+0.4%)、貸家3万164戸(+10.0%)、分譲住宅1万8,208戸(+14.6%)。
注目すべきは分譲住宅の中身だ。分譲マンションは7,448戸で前年同月比+24.7%、3か月連続の増加となった。分譲一戸建ては1万578戸(+9.0%)で、マンションの伸びが際立つ。地域別に見ると首都圏のマンション着工は+31.4%と全国を上回った一方、中部圏は▲46.9%と大きく落ち込み、近畿圏は+13.8%。地域差はかなり大きい。
ここ数年、首都圏の新築供給は年間2万戸台まで縮み、「売る物件がない」状態が価格を押し上げてきた。着工が増えたからといってすぐ販売戸数に反映されるわけではなく、マンションは着工から竣工まで2〜3年かかる。ただ、2028年から2029年にかけて市場に出てくる物件の量は、いまの着工が決めている。数字が動き始めたこと自体は、買う側にとって悪い話ではない。
着工の数字は、2〜3年後にどれだけ選択肢があるかの予告編です。いま候補が少なくて焦っている方は、無理に決めずに待つという判断もあり得ます。住みたい街を先に絞っておくと、供給が増えたときに動きやすくなります。
JR東日本は2026年9月8日、東京都港区に若手クリエイター向けの複合施設「CREATIVE PLATFORM LINKSHINE 高輪ゲートウェイ」を開発すると発表した。都営浅草線・京急線「泉岳寺」駅から徒歩3分、JR「高輪ゲートウェイ」駅から徒歩7分。鉄筋コンクリート造地上9階建で、敷地面積は347.67㎡、延床面積は1,999.64㎡。開業は2027年3月を予定する。
構成は全34区画で、住宅13戸、アトリエオフィス8区画、スタジオオフィス13区画。住む場所と制作する場所を同じ建物の中に置く設計で、館内には「ブリッジコミュニケーター」と呼ばれるスタッフが常駐し、入居者どうしをつないだりワークショップを企画したりする。運営にはJR東日本文化創造財団が加わる。
高輪ゲートウェイ周辺は、大規模開発によってオフィスと商業と住宅がまとめて生まれつつあるエリアだ。そこに、まだ名前の知られていない作り手を意図的に呼び込む区画を差し込んだことになる。街ができあがったあとから文化を足すのは難しい。開発の初期段階でこの種の施設を組み込んだ点が、この計画のいちばんの特徴だ。
新しい街で最初の数年に誰が住むかは、その後の空気をかなり決めます。作り手が集まる場所が近くにあると、休日に開く小さな展示やイベントが増えて、街に出かける理由が増えていきます。
旭化成ホームズのマンション建替え研究所は2026年9月7日のメディア向け説明会で、改正マンション関連法が2026年4月に施行されて以降、同社が携わる建替え決議が13件に達したと明らかにした。これは過去10年の平均の約4倍にあたるペースだという。
背景にあるのは議決要件の緩和だ。すでに決議された5件のうち1件は、賛成した議決権の割合が77.0%だった。改正前の基準ではこの決議は成立していない。研究所長の重水丈人氏は「法改正によって決議を進めやすくなった」と指摘している。
もうひとつ大きいのが、選べる道が増えたことだ。従来は「建替え」か「敷地売却」の実質2択だったが、改正によって7種類の決議オプションに広がった。建物の状態も、住んでいる人の年齢も、区分所有者の事情もそれぞれ違う。ひとつの型に当てはめずに済むようになったことで、話し合いのテーブルに着ける管理組合が増えている。
築年数の古いマンションを検討するときは、住人の方々がこの先どうしたいかを話し合えているかどうかが、いちばん大事な情報です。総会の議事録を見せてもらえるなら、そこにその団地の空気が全部出ています。
東急不動産は2026年9月8日、兵庫県芦屋市が進める「JR芦屋駅南地区第二種市街地再開発事業」で、再開発ビルの工事が9月4日に始まったと発表した。芦屋市が施行者となり、東急不動産は2024年10月から、市に代わって建物を建てる「特定建築者」として参画している。建物の完成は2030年度の予定だ。
計画地は芦屋市業平町・上宮川町・船戸町・大原町の各一部で、JR東海道本線「芦屋」駅とは歩行者デッキで直結する予定。建物は地下2階・地上11階、高さ46.78m、敷地面積約2,748㎡、延べ床面積約1万6,364㎡の鉄筋コンクリート造で、住宅・商業施設・公益施設・駐車場が入る。設計は大建設計、施工は清水建設。住戸数や分譲の時期はまだ公表されていない。
JR芦屋駅の南側は、商業や業務の機能が集まる市の中心でありながら、駅前の道路や広場が手狭なまま残ってきたエリアだ。今回のビルは超高層ではなく11階建てに抑えたうえで、駅とデッキでつなぎ、買い物や行政サービスを駅前にまとめる。落ち着いた住宅地として知られる芦屋らしい街並みを保ちながら、駅前の使い勝手を高める「中規模の駅前再開発」として、関西圏の住まい探しでも注目されそうだ。
芦屋は駅を一歩出ると静かな住宅街が広がる、暮らしの落ち着きが魅力の街です。駅前に買い物や窓口がまとまり、雨の日もデッキで行き来できるようになれば、子育て世帯からシニアまで、車に頼らない毎日がぐっと楽になりそうです。
SUUMOジャーナルは2026年9月8日、「SUUMO住み続けたい街ランキング2026」で“東京ノース”の穴場として練馬区・桜台を取り上げた。西武池袋線で池袋まで4駅、副都心線経由で新宿へ約20分、大江戸線経由で六本木へ約25分と、都心への足がそろう。住民が評価する街の魅力には「防犯・治安の良さ」「公園や緑の充実」「落ち着いた住環境」「利便性と静けさのバランス」が並んだ。
駅徒歩15分以内の相場(2025年10月〜2026年3月)では、シングル向け賃貸が約5.9万円(高円寺約6.3万円、中野約6.5万円)、カップル・ファミリー向けが約8.4万円(高円寺約9.0万円、中野約9.5万円)。築40年未満・50〜80㎡の中古マンションは約3,450万円で、高円寺(約4,100万円)や中野(約4,450万円)より手が届きやすい。駅周辺の桜台1丁目だけでベーカリーが5軒あり、深夜まで営業するスーパーも複数ある。
街の中では、元駐車場をテラスに変えた店舗兼住宅25室の「ナリ間ノワ プロジェクト」が年2回のマルシェを開き、武蔵大学の学生と地域住民が続ける「江古田ミツバチ・プロジェクト」もある。春の「桜台のさくら祭り」には2日間で約1万人が訪れ、秋の「桜台フードフェスタ」は今年から「桜台フェス」に名前を変えて10月24日・25日に約40店が参加する予定だ。都心の価格が上がるなか、家賃や価格の手ごろさと、顔の見える街の暮らしを両立できる駅として関心が集まっている。
パン屋さんが次々に増えていく街は、住んでいる人の暮らしが豊かで、お店を応援する空気がある証拠です。10月の桜台フェスの日に歩いてみると、どんな人たちが住んでいて、自分がその輪に入れそうか、肌で感じられると思います。
東日本不動産流通機構(東日本レインズ)がまとめた月例速報によると、2026年7月の首都圏中古マンションの平均成約価格は5,267万円、成約㎡単価は84.17万円だった。前年同月比では成約価格が▲0.7%、成約㎡単価が▲1.5%と、いずれも3か月連続の下落となっている。
取引の量も細っている。成約件数は前年同月比▲8.6%で、4か月連続の減少。一方で、売り手が付ける「売り出し価格」は上昇が続いており、首都圏の登録価格は24か月連続で上がっているという別のデータもある。売り出す側の希望価格は上がり、実際に決まる価格は下がる——この2つの数字が逆方向を向いている状態が、いまの中古市場の実像だ。
希望価格と成約価格の差が開くと、まず起きるのは「売れ残りが増える」ことだ。都心部を中心に在庫が積み上がっているという報告も出ており、値付けが強気なまま動かない住戸と、現実的な価格に直した住戸のあいだで、成約までの期間に差がつき始めている。買う側から見れば、掲載価格をそのまま相場だと思わないほうがいい局面に入った。
掲載されている金額は「売り主の希望」であって、街の値段そのものではありません。気になる部屋があったら、同じ駅・同じ規模で実際に決まった価格を並べて見てください。数字より先に、その街が今どのくらい人に選ばれているかが見えてきます。
住友不動産が埼玉県朝霞市朝志ヶ丘で進める「シティテラス志木」が、2026年9月に販売を開始する。敷地面積は15,607.12㎡、鉄筋コンクリート造地上8階建で、総戸数は全456邸。専有面積は55.24〜80.85㎡、間取りは1LDK+S〜4LDKで、竣工は2027年2月中旬、引き渡しは同年3月下旬を予定する。
立地は東武東上線「志木」駅から徒歩8分。加えて東武東上線「朝霞台」駅とJR武蔵野線「北朝霞」駅がいずれも徒歩12分で、3駅3路線が使える。志木駅は急行・準急が停まり、池袋まで乗り換えなしで結ばれる。都心のタワーが1戸1億円を超える水準に達したいま、実需層の受け皿は郊外の急行停車駅にまで確実に広がっている。
注目したいのは、これがタワーではなく8階建の板状型で456邸をまとめている点だ。1.5haを超える敷地を平面的に使う計画で、住棟のあいだに空地を取りやすい。首都圏の新築供給が年間2万3,000戸台まで縮むと見込まれるなかで、都心の高価格帯とは別に、こうした郊外大規模型がまとまった戸数を供給する構図がはっきりしてきた。
志木・朝霞台・北朝霞が徒歩圏という立地は、通勤先が変わっても住み替えずに済むという意味で強いです。休日の昼に3つの駅まで実際に歩いてみると、この街の生活圏の広さが体感できます。
三井不動産は2026年9月7日、東京都品川区で築50年を超える賃貸住宅を全面再生した「リハイツ長者丸」を完成させたと発表した。もとの建物は1968年竣工の棟と1974年竣工の棟からなり、築58年を数える。再生にあたっては住戸構成を組み直し、42戸を40戸に再編した。最寄りは東京メトロ南北線・都営三田線「白金台」駅で徒歩13分。
採用したのは「リファイニング建築」と呼ばれる手法で、既存建物の約80%を活かしながら性能を更新する。同社によると、建て替えた場合と比べて工事費は約30%削減、CO2排出量は約60%削減できたという。再生後には検査済証も新たに取得し、古い建物にありがちな書類の欠落も解消した。賃料は周辺の新築と同等の水準を実現しているとする。
この事例が示すのは、「古い建物=建て替えるしかない」という前提が崩れつつあることだ。都心では建設コストと工期の長期化が続き、更地にして建て直す事業のハードルは上がる一方にある。既存の建物を活かして中身を入れ替える選択肢が採算に乗るなら、街並みは急に建て替わらず、少しずつ更新されていく——住む側にとっては、慣れ親しんだ景色が残るという意味を持つ。
建物が一斉に建て替わる街は、住人も一斉に入れ替わります。少しずつ中身が更新されていく街のほうが、昔からの店や顔なじみが残りやすい。長く住むつもりなら、その街の建物がどんなペースで変わってきたかを見ておくと参考になります。
不動産経済研究所が2026年7月22日に発表したデータによると、2026年上期(1〜6月)の首都圏新築マンション平均価格は1億135万円と、上期として初めて1億円を超えた。6月単月の平均価格は1億137万円・㎡単価は153.0万円で、平均価格は3か月連続、㎡単価は14か月連続でそれぞれ前年同月を上回り、過去最高を更新した。
一方の供給は7,989戸(前年同期比0.8%減)で、上期としては過去最少水準だ。年間では2万3,000戸台まで落ち込む見通しで、過去50年で最低の供給量になるとみられている。用地取得の困難さ、建設コストの高騰、人手不足が重なり、デベロッパーが新規供給を抑制する構図が続く。
「価格が上がる→供給を絞る→さらに高止まる」という循環が固まりつつある。中古マンションの2026年6月の平均成約価格は5,208万円と前年同月をわずかに下回り2か月連続で前年比マイナスになっているのとは対照的だ。新築と中古で動きが異なる中、実需層が選べる物件の絶対数が減っている現実は変わらない。
供給が少ないということは、出会いの数そのものが減っているということでもあります。気に入った物件に出会えたとき、「もう少し待てば下がるかも」より「これに出会えたこと自体が貴重かもしれない」と判断できるかどうか。市場の状況を知ることは、その判断の材料になります。
住友不動産が2026年8月、「グランドシティタワー中野」として分譲予定の物件の予告広告を公開した。JR中央線・東京メトロ東西線「中野」駅から徒歩9分、東京都中野区中野四丁目の「囲町西地区第一種市街地再開発事業」の区域に立地する。地上25階・地下1階建、総戸数510戸で、間取りは1LDK〜3LDK。販売開始は2026年11月下旬を予告。竣工は2029年4月下旬、入居は2030年2月下旬の見通し(現在は予告広告段階)。
中野駅は青梅・三鷹方面のJR中央線と東京メトロ東西線の両方が使え、新宿まで約2〜3分という好立地。北口の囲町エリアは従来、倉庫や事業所が並ぶ街だったが、再開発によって商業・業務・住宅が複合する街区へと変わりつつある。住まいサーフィンの分析では、再開発による周辺地価の上昇効果が資産価値にも影響する可能性があるとされており、注目度が高い。
首都圏全体の新築供給が年間2万3,000戸台と過去50年で最低水準まで絞られている中での大型登場だけに、中野・新宿方面の実需を吸収する可能性がある。竣工まで3年近くある段階での検討になるため、「今の街」と「完成後の街」の2つをどう見立てるかが、このプロジェクトを選ぶうえでの核になる。
囲町は今まさに変わっている最中の街です。駅から9分の道を実際に歩いて、工事の囲いの向こうにどんな街が育つのか、自分なりにイメージしてから検討してみてください。
東急リバブルの不動産情報メディア「Lnote(エルノート)」が2026年後半の市況分析として「再開発エリアのマンション価格急騰。2026年後半に狙うべきは『一駅隣』『実需エリア』『都心近郊』」という記事を公開した。大規模再開発が進む駅の核心部では、シンボリックな物件分譲や商業施設開業が直接の価格急騰を引き起こしている一方で、そこから1〜2駅離れた「再開発の恩恵を受けながら、まだ価格が跳ね上がっていない」駅周辺に、実需層にとって現実的な物件が残っているという指摘だ。
都心近郊については「鉄道1本でアクセスできて、住環境は落ち着いている」という組み合わせが評価されやすい、とも言及されている。この傾向は近年の「住み続けたい街ランキング」で郊外・準郊外エリアが上位を占めてきた流れとも一致する。2026年のSUUMO住み続けたい街ランキング首都圏版の総合1位に湘南・鵠沼が入り、東京23区の家賃手ごろ部門1位に池上線沿線の御嶽山が選ばれた背景にも、同じような価値観の広がりが見えている。
2026年上期の首都圏新築マンション平均価格が1億135万円と初の1億円超になった今、「都心新築をそのまま買う」選択肢を持てる層は限られてきた。「再開発の波及効果を享受しながら、価格を抑えて入る」という戦略は、実需として住む人にとっても、将来の資産価値を意識する人にとっても、現実的な視点になっている。
「一駅隣」という発想は、電車に乗る時間が増えるというより、住む人の顔ぶれや街の空気が違うということです。再開発の核心地とその隣駅、両方の駅前を土日の午前中に歩き比べてみると、どちらが自分の暮らしに合うか感覚でつかめます。
東京カンテイが2026年8月17日に公表した「分譲マンション賃料 月別推移」によると、2026年7月の首都圏の分譲マンション賃料は4,209円/㎡(前月比+0.4%)となり、直近1年間での最高値を更新した。都県別では東京都4,963円/㎡(+0.5%)、なかでも東京23区は5,157円/㎡(+0.8%)で2か月連続の上昇。神奈川県は2,892円/㎡(+0.8%)だった。
目を引くのは埼玉県で、2,368円/㎡・前月比+5.2%と大きく跳ねた。東京カンテイはさいたま市で築浅の募集事例が増えたことが押し上げ要因だと説明している。一方の千葉県は2,240円/㎡(−0.1%)とほぼ横ばい。神奈川県は平均築年数が進んだにもかかわらずプラスを保った。同じ首都圏でも、動く理由が県ごとにまったく違う月になった。
もうひとつ押さえておきたいのが、23区でも築5年以内の物件は「上値の重い展開が続く」と指摘されている点だ。新しくて条件のよい部屋の賃料はすでに高い水準まで来ており、そこからさらに上げるのは難しくなっている。上がっているのは、むしろ築年数を重ねた物件のほう。買う側から見れば、「新築を買う」と「借りて住む」の費用差が以前ほど単純に開かなくなってきたということでもある。
家賃が上がっている街は、それだけそこに住みたい人が集まっている街ということです。買うかどうか迷っている街があるなら、同じ広さの賃貸がいくらで出ているかを一度見てみると、その街の人気が肌感覚でつかめます。
大和地所レジデンスは2026年9月3日、分譲マンション「ヴェレーナ」シリーズ5物件のマンションギャラリーを9月5日に一斉オープンすると発表した。内訳は「ヴェレーナ 亀戸中央公園」(東京都江東区・66戸・地上14階)、「ヴェレーナ 中浦和」(さいたま市桜区・50戸・地上6階地下1階)、「ヴェレーナ 東京六町」(東京都足立区・47戸・地上7階)、「ヴェレーナ 辻堂」(神奈川県茅ヶ崎市・39戸・地上7階)、「ヴェレーナ 日野リグレ」(東京都日野市・26戸・地上6階)の5件で、合計は228戸になる。
5件すべてがタワーではなく、規模も26戸〜66戸に収まっている。専有面積は56.00〜87.57㎡、間取りは2LDK〜3LDKが中心で、中浦和は平均73㎡超という広さを打ち出した。販売開始は亀戸中央公園・中浦和・辻堂が2026年秋、東京六町が10月下旬の予定。竣工は2027年10月〜2029年1月にかけて順に迎える。
首都圏の新築供給が年間2万3,000戸台まで細るとみられるなかで、1社が同じ日に5会場を立ち上げる動きは目を引く。都心の一等地で大型物件を1本仕込むのではなく、城東・多摩・埼玉・湘南に小分けにして置く——という組み立て方だ。用地の値上がりで大きな敷地が押さえにくくなった結果でもあり、実需層にとっては「自分の生活圏で選べる新築」が増えるという意味を持つ。
同じシリーズが5か所同時に立ち上がると、つい比べたくなります。せっかくなら気になる2〜3か所を同じ週末に回ってみてください。同じつくり手でも、街が違うと住む人の顔ぶれや周りの空気がまるで変わることがよくわかります。
リクルートが2026年9月1日に公表した「SUUMO住み続けたい街ランキング2026 首都圏版」の派生集計で、家賃が手ごろな街(ファミリータイプで月16万円以下)に絞った「住み続けたい街」東京23区の1位に、東急池上線「御嶽山」(大田区)が選ばれた。2位は隣駅の「久が原」。派手さのある街ではなく、池上線沿線の住宅地が上位を占めた形だ。
住民が挙げた街の魅力は、1位が「閑静である」、2位が「自然災害が少ない・防災対策がしっかりしている」、3位が「地域に顔見知りや知り合いができやすい」。街での行動でも「ご近所や馴染みの店での交流」が2位に入った。大田区は区内の銭湯が33軒と都内トップ、商店街は約125か所と都内でも屈指の多さで、駄菓子屋や個人商店が今も生活の動線に残る。地元の消防団には20代から70代まで25名が所属し、祭りや見回りで顔を合わせる関係が続いている。
家賃の手ごろさで絞ったランキングの上位に、こうした「顔が見える」街が並んだことには意味がある。設備や新しさで勝負するのではなく、日常のなかに人と会う機会がどれだけ埋まっているか——それが住み続ける理由として選ばれた。同ランキングの首都圏総合1位は湘南の鵠沼で、こちらも海と里山の生活圏が評価されている。都心へのアクセスの速さだけでは測れない軸が、住民側の実感として表に出てきている。
御嶽山も久が原も、駅前に大きな商業施設はありません。そのぶん、買い物や銭湯で同じ人と何度も顔を合わせる街です。この距離感を心地よいと感じるか、少し気詰まりに感じるか。ここは休日の夕方に商店街を歩いてみるのがいちばんの判断材料になります。
東京カンテイが2026年8月24日に公表した「三大都市圏・主要都市別 中古マンション70㎡価格月別推移」によると、2026年7月の首都圏の70㎡換算中古マンション価格は7,547万円(前月比+1.2%)で、24か月連続の上昇となった。県別では東京都1億1,301万円(+0.5%)、神奈川県4,368万円(+1.0%)、埼玉県3,284万円(+1.0%)、千葉県2,990万円(横ばい)。首都圏全体としては、なお上昇基調が途切れていない。
ただし中身をよく見ると、上昇のけん引役が入れ替わりつつある。東京23区は1億2,724万円で前月比−0.1%と、6月の−0.8%に続いて2か月連続のマイナス。東京カンテイは「都心部では流通戸数が増大し、隣接する行政区にも調整の動きが波及している」と分析している。6月時点では都心部で価格改定(値下げ)を行った売り出し物件のシェアが過半数を超えるところまで拡大していた。売り手の強気が、少しずつ現実の成約価格に近づいてきた形だ。
首都圏平均が上がり続けているのに23区が下がり始めている——この一見矛盾した数字は、需要が都心から周辺へ滲み出していることを示している。都心の価格が上限に達し、買い手が神奈川・埼玉へ探索範囲を広げれば、周辺県の相場が押し上げられて全体平均は上がる。数字の方向が地域ごとに割れ始めたときは、市場の重心が動いているサインと見ておきたい。
「首都圏が上がっている」と「自分の狙う街が上がっている」は、もう別の話になってきました。エリアごとに温度差が出てきた今は、平均値ではなく駅単位・街単位で相場を見るほうが正確です。
不動産経済研究所によると、2026年上半期(1〜6月)の首都圏新築分譲マンション発売戸数は7,989戸(前年同期比−0.8%)で、上期としては5年連続の減少となった。1戸あたりの平均価格は1億135万円と上期で初めて1億円の大台を突破し、㎡単価は151.4万円。前年同期比では平均価格が+13.1%、㎡単価が+12.1%の上昇だった。
供給が細る理由は需要不足ではなく、つくる側の事情にある。建設労働者の不足と資材費の高止まりで工期とコストが読みにくくなり、事業化のハードルが上がった。結果として2026年通年の首都圏供給見込みは約2万3,000戸と、過去50年で最も少ない水準になる見通しが示されている。うち都心部は8,000戸前後で、前年から約6%減と見込まれる。
注目したいのは、減る供給のなかで郊外の存在感が増していることだ。2026年は八王子・船橋といった郊外の大型物件が竣工を迎え、全体の戸数を下支えする構図になる。新築の選択肢が都心で細るほど、実需層の視線は中古と郊外へ向かう。「新築を都心で買う」以外の道筋が、これまで以上に現実的な選択肢として広がりつつある。
新築の数が減ると、街ごとの「選べる物件」の数も減ります。だからこそ気になる街があるなら、今出ている物件を早めに見に行っておくこと。次に同じ街で新築が出るのが5年後、ということも普通に起こる時代です。
リクルートが2026年9月に発表した「SUUMO住み続けたい街ランキング2026 首都圏版」で、千葉県の「子育てしやすい街」1位に海浜幕張(千葉市美浜区)が入った。調査は東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県・茨城県に住む20歳以上の男女が対象。海浜幕張の評価項目を見ると、1位が「整備された美しい住宅街」、2位が「教育環境の充実」、6位に「公園の充実」が並ぶ。
この街の特徴は、住民自身が運営に関わる仕組みが根づいていることだ。一般社団法人幕張ベイパークエリアマネジメント(B-Pam)には住民の約7割が加入し、約100名の住民ボランティアがSNSやLINEで連携して活動を回している。新入居者を迎える「ウェルカムパーティー」ではドローンショーを実施し、夏の恒例イベント「ベイパーク・スプラッシュ」には延べ約2,000人の子どもが集まった。ペットイベントや料理教室といったサークル活動も住民主体で続く。
幕張新都心の日中活動人口は約23万人(2020年時点)。オフィス・大学・商業が集まる街に住宅街が加わったことで、平日と休日で表情が変わるエリアになった。行政やデベロッパーが用意した施設を使うだけでなく、住民が自ら企画して人を集める——この「街育て」の型が評価につながっている点が、他エリアにとっての示唆になる。
設備の良さは引っ越した初日から効きますが、住民同士のつながりは5年10年かけて効いてきます。見学のときに掲示板やイベントのチラシを眺めてみると、その街に住む人たちの温度が見えてきますよ。
不動産経済研究所が2026年8月に発表した「2026年7月度 首都圏分譲マンション市場動向」によると、7月の首都圏新築分譲マンション発売戸数は前年同月比+6.9%の2,145戸で、2か月ぶりの増加となった。内訳は東京23区1,028戸(シェア47.9%)、神奈川県574戸(同26.8%)、埼玉県248戸(同11.6%)、千葉県218戸(同10.2%)。月間契約率は72.8%と、需要の底堅さを確認した形だ。
価格面で目を引くのが平均価格の更新だ。首都圏1戸あたりの平均は1億6,493万円で過去最高値を更新し、㎡単価も236.9万円と最高値となった。押し上げた主因は神奈川・千葉での大型物件の始動で、東京23区を単体で見ると前月比はやや落ち着いた推移だった。月ごとの供給ミックスに左右されやすい数字だが、超高額帯の物件が「普通に売れている」という事実は市場の深さを示している。
下半期(7〜12月)の供給見込みは約1万4,000戸で前年同期比0.7%増の見通し。9月以降、23区・千葉での大型案件がどう積み上がるかが年間を占う分岐点になりそうだ。月ごとのヘッドラインより「上半期・年間の累計」で方向を読むほうが、市場の本流を誤りにくい。
最高値更新とはいえ、今月どんな物件が売り出されたかで数字は大きく振れます。大事なのは全体の平均値より「自分が検討しているエリアで、値段がどう動いているか」を月次で追いかけることです。
小田急不動産は2026年9月、東京都世田谷区宮坂3丁目に「リーフィアレジデンス経堂」を発売する。小田急小田原線「経堂」駅から徒歩6分、住居119戸+店舗1戸の計120戸構成で、建物は地下1階・地上10階建て。引き渡しは2028年7月下旬を予定する。売主は小田急不動産・小田急電鉄。
計画地はもともと小田急の車両基地跡地で、「経堂テラスガーデン」と名付けられた複合エリアの一区画にあたる。同駅の徒歩圏で100戸超の分譲マンションが供給されるのは20年ぶりという。経堂駅周辺は農大通り商店街をはじめ個人商店が活気を保つ街で、東京農業大学の緑や農業公園など、駅前らしからぬ落ち着いた空気がある。
小田急沿線では近年、高架化や車両基地の統廃合で生まれたまとまった敷地での再開発が相次いでいる。基地跡地は駅に近い平坦地が多く、マンション・商業・緑地が一体で計画されやすい。今回の経堂では既存の商店街の延長に新しい公園的な空間が加わる形となっており、街の顔がひとつ増える。
電車基地の跡地に住まいができるのは、街のど真ん中に新しい広場が現れる感覚に近いです。経堂は商店街がもともと個性的なので、新しい居場所がどう溶け込むか、街全体の変化として見ていきたいです。
住友不動産は2026年竣工予定の「グランドシティタワー池袋」(豊島区)の売買契約に「原則5年間の転売禁止」を条項として盛り込み、違反した場合の違約金は販売価格の2割とした。不動産協会は2025年11月、会員各社に向けて「①1物件1名義での複数戸取得制限、②登録名義での契約・引渡し・登記の一致、③引渡しまでの転売活動禁止」という3点の業界方針を明文化している。
背景にあるのは投機的取引の急増だ。国交省のデータでは、東京都心6区で保存登記から1年以内に転売された物件の割合が2024年に12.2%に達し、2023年の7.1%・2018〜2022年の最大値4.6%から一気に跳ね上がった。国交省は2026年8月の令和9年度税制改正要望でこの問題を正式に取り上げ、短期保有への課税強化を検討する姿勢を示している。
購入者にとっての意味は2方向に分かれる。一方では、転売目的の抽選参加が抑制されることで、実際に住むための購入者の当選確率が少し改善する可能性がある。もう一方では、転売禁止条項のある物件を選んだ場合、急な転勤や家族構成の変化への対応が制約される。転売禁止の期間・違約金の有無は各物件の重要事項説明書に記載されるため、契約前の確認が不可欠だ。
転売できない物件を選ぶということは、この街に5年以上腰を据える覚悟の表れです。制約は増えますが、同じ意志を持った住人が集まりやすく、コミュニティが育ちやすいという側面もあります。
スタイルアクトは2026年9月1日、住宅情報サイト「住まいサーフィン」で首都圏エリア別の「沖式儲かる確率」上位マンションランキング2026年9月版を公表した。「儲かる確率」は、購入した住まいの資産価値がどれくらい保たれやすいかを確率のかたちで示した独自の指数だ。今回は2026年8月13日時点で販売中または販売予定が確認できた物件が対象になっている。
公表されたのは首都圏9エリアそれぞれの首位物件で、一般的な「スタンダード」区分と、賃貸などの活用を視野に入れた「家活」区分に分けて示されている。名前が挙がったのはルジェンテ溝の口 The SKY(川崎市高津区)、ジオ飯田橋(新宿区)、リビオ浅草(台東区)、グローベル浦和 ザ・ヒルズ(さいたま市)、船橋山手レジデンスサウスガーデン(船橋市)など。1位以下の詳しい順位は同サイト上で公開される。
顔ぶれを見ると、都心の一等地というより、各路線の要となる駅にある物件が並んでいるのが分かる。溝の口も浦和も船橋も、複数路線が交わり、駅前に商業と生活の機能がまとまっている街だ。価格が上がりきった都心を避け、乗り換えの起点になる街を選ぶ——資産性の話でありながら、実際には「毎日の移動が楽な場所」を評価しているランキングでもある。
上位に並んだのは、どこも駅前で用事が済んでしまう街ばかりです。資産性の指数として見る前に、「ここなら休日に電車に乗らなくても暮らせるか」という目で駅前を歩いてみると、順位の意味が腑に落ちると思いますよ。
三菱地所は2026年9月1日、東京・有楽町駅前の「有楽町ビル」「新有楽町ビル」跡地約1万㎡を使った暫定利用施設「YURAKUCHO PARK」の新築工事に着工した。内訳は新有楽町ビル跡地が約7,233㎡、有楽町ビル跡地が約3,551㎡。本格的な再開発が動き出すまでの期間を空き地のまま置かず、街に開いて使うという考え方だ。竣工は2027年を予定している。
技術的に目を引くのが「減築」という手法だ。地上14階・地下4階だった新有楽町ビルのうち、東京メトロ有楽町駅D2出入口につながる1スパンだけを地下2階から地上2階まで切り出す形で残し、残りを解体した。大きなビルから必要な部分だけを独立させて残すという進め方で、解体が終わったあとも地下鉄からのアクセスがそのまま使える。都心の一等地では前例の少ない組み立てだという。
パーク内には11棟のアーチ門型の建物を配置する計画で、いずれも1階建て。飲食・物販の店舗、イベントスペースのほか、NOT A HOTELとの共同プロジェクト「JAPA VALLEY TOKYO」の展開も予定されている。有楽町から日比谷、丸の内へと続く一帯は、この数年で歩いて回れる街への衣替えが進んでいる。跡地を囲って待つのではなく、工事期間そのものを街の時間として使う——今回の着工はその実験でもある。
更地を数年間フェンスで囲うのか、その間も人が入れる場所にするのかで、街の記憶はまるで変わります。有楽町から日比谷までは歩いて10分ほど。この2年間で銀座側からの人の流れがどう変わるか、見どころだと思いますよ。
オリコンは2026年9月1日、「2026年 オリコン顧客満足度調査 分譲マンション管理会社」の結果を発表した。特徴的なのは回答者の集め方だ。単なる居住者ではなく、過去7年以内に管理組合の理事を経験した人に限って聞いている。首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)では59社を対象に1万443人が回答した。調査期間は2026年4月22日〜5月18日。
首都圏の総合1位は東京建物アメニティサポート。評価は「管理員」「日常業務対応」「管理会社担当者」「事務管理業務」「コストパフォーマンス」の5項目で行われている。東海・近畿の両エリアでは野村不動産パートナーズが総合1位となり、こちらは5項目すべてで首位を取った。対象企業数は東海35社、近畿49社だった。
5つの評価項目のうち3つが「管理員」「担当者」「日常業務対応」と、人に関わるものだという点は見逃せない。書類の正確さやコストも大事だが、住人が満足を感じるのは結局、日々顔を合わせる人とのやり取りだということだ。マンションを買うとき、間取りや価格ほどには意識されにくい部分だが、住み始めてからの居心地を左右するのはこちらのほうかもしれない。
内覧のとき、管理員さんが掃除している姿を見かけたら、少し立ち話をしてみてください。その受け答えの雰囲気が、そのまま10年後の共用部の空気になります。数字で比べにくいところですが、暮らし心地への効き方は大きいですよ。
リクルートは2026年9月1日、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉・茨城)在住の20歳以上を対象に実施した「SUUMO住み続けたい街ランキング2026首都圏版」を発表した。今回で4回目となる調査の首都圏全体1位に輝いたのは、神奈川県の小田急江ノ島線「鵠沼海岸」駅周辺。住民が評価した項目の上位には「防犯・治安の良さ」「落ち着いた住環境」「公園や緑の充実」「海や自然への近さ」が並び、都心から1時間ほどの海辺の住宅地が「ずっと住み続けたい」環境として高評価を得た。
東京23区内でも興味深い顔ぶれが上位に入った。東急池上線「御嶽山」駅・「久が原」駅周辺は、都心へのアクセスを保ちながら昭和の街並みが残る落ち着いた住宅地として評価が高まっている。大田区を流れる呑川沿いの緑道や銭湯・個人商店が充実しており、都心高騰で移住先を探す人々の受け皿になっている。調査では「街への愛着」「近所づきあいのしやすさ」「子育てのしやすさ」もランキングに影響を与えており、住民が自発的に地域活動に参加する街が軒並み上位に顔を出した。
新築マンションの上半期平均価格が初めて1億円を超えた2026年は、「どの物件を買うか」より「どのエリアで長く暮らすか」を先に考える購入スタイルが広がっている。ランキング上位に共通するのは「アクセスの良さ+静かな住環境+顔の見えるコミュニティ」の三拍子だ。価格だけでなく、10年・20年先に後悔しない街かどうかを確かめる視点が、これまで以上に大切になっている。
鵠沼や久が原が選ばれる理由は、「有名な街」というより「隣の顔が見える」感覚です。候補エリアを土曜の朝10時に歩いてみると、商店街のにぎわいがあるか、子どもの声が聞こえるか、暮らしの実感がよく伝わってきます。
アットホームは2026年8月31日、首都圏の中古マンションの登録価格(売り出し価格)に関する2026年7月分の調査結果を公表した。首都圏平均は1戸あたり5,928万円。前月比・前年同月比のいずれもプラスで、上昇は24か月連続となった。売買が成立した価格ではなく「いくらで売りに出されたか」を集めた数字なので、売り手側の強気・弱気がそのまま表れやすい指標だ。
エリア別に見ると、調査対象の8エリアすべてが15か月連続で前年同月を上回った。8エリアすべてが前月比でもプラスとなり、うち5エリアは1%を超える伸びを記録している。東京23区と都下、横浜市・川崎市とその他神奈川、さいたま市、千葉県西部などでは、2017年1月以降の最高値を更新した。首都圏の外周部は、まだ勢いを保っているということになる。
一方で中心部の様子は違う。東京23区の前月比は+0.2%にとどまり、上昇率の縮小は3か月連続となった。数字としてはまだ上を向いているが、伸びしろが月ごとに薄くなっている。値上がりの中心が23区から周辺エリアへ移りつつある——今回の数字は、その移動を追いかけるかたちになっている。
23区の伸びが鈍る一方で、周辺エリアが最高値を更新しています。同じ予算でも、少し外側へ目を向けると選べる街の幅が急に広がる時期です。候補地は2〜3か所、並べて歩き比べてみてください。
国土交通省がまとめた2026年7月の建築着工統計によると、新設住宅着工戸数は6万6,439戸で、前年同月比+8.2%。増加は4か月連続となった。着工は「これから建て始める住宅の数」なので、1〜2年先に売り出される住まいの量を先読みする材料になる。ここ数年は減少が続いていただけに、流れの変わり目として受け止められている。
内訳を見ると、伸びの大きさに差がある。持家は1万7,730戸(+0.4%)とほぼ横ばい、貸家は3万1,164戸(+10.0%)、戸建分譲住宅は1万1,578戸(+9.0%)。そのなかで分譲マンションは7,448戸・前年比+24.7%と、突出した伸びを見せた。いずれも4か月連続の増加で、住宅の種類を問わず着工が上向いている構図だ。
分譲マンションの着工が2割超で伸びた背景には、価格の高止まりが続くなかでも都市部の需要が読めていること、そして遅れていた大型計画が動き出したことがある。ただし着工から引き渡しまでには2年前後かかるため、いま販売中の物件の価格がすぐ下がるわけではない。数字が効いてくるのは2027年から2028年にかけて。いま探している人にとっては「もう少し待てば選択肢が増えるかもしれない」という中期の材料になる。
着工が増えるということは、2〜3年後に新しい住まいが並ぶ街が出てくるということです。気になるエリアがあるなら、いま更地や工事の囲いになっている場所を覚えておくと、街の変化が読めて面白いですよ。
イテラは2026年8月31日、住まい探しにおける生成AIの利用実態調査の結果を発表した。調査は8月27〜30日、住まい探しの経験がある507名を対象に実施されたもの。ChatGPTやGemini、Copilotなどの生成AIに住まい探しについて質問したことがある人は23.47%だった。一方で「今後は使ってみたい」と答えた人は75.93%にのぼり、現在の利用者の約3倍という開きが出た。
興味深いのは、AIに何を聞いているかだ。1位は「エリアの治安・住みやすさ」で47.23%。以下「おすすめの不動産会社・サービス」30.87%、「周辺環境の情報」26.53%と続き、「個別物件の比較・評価」は20.05%で最下位だった。つまり、物件そのものの良し悪しではなく、その街がどんな場所かを尋ねる使われ方が中心になっている。図面や価格表からは読み取れない部分を、AIで先に埋めようとしているということだ。
信頼度の面ではまだ差がある。情報源として最も信頼するものを聞いた設問では、不動産ポータルサイトが49.70%だったのに対し、生成AIは9.86%にとどまった。ただし「ポータルと同等かそれ以上」と評価した人は39.64%にのぼる。AIで街のあたりをつけ、物件はポータルで探し、最後は自分の目で確かめる——住まい探しの入口が一段増えた、という段階に来ている。
AIに街のことを聞く人が増えているのは、それだけ「どんな場所か」が気になっているということだと思います。ただ、通学路の人通りや商店街の活気は、やっぱり平日の夕方に歩いてみないと分かりません。AIは下調べ、判断は自分の足で。
東京カンテイは2026年8月24日、「三大都市圏・主要都市別/中古マンション70㎡価格月別推移」を公表した。首都圏の7月の70㎡換算価格は前月比+1.2%の7,547万円で、前月からは反発した。ファミリータイプの中古マンションを70㎡に換算して比べる指標で、新築のように「その月にどんな物件が売り出されたか」で数字が振れにくいのが特徴だ。
ただし内訳を見ると、けん引役と足を引っ張る役が分かれている。東京23区は前月比▲0.1%の1億2,724万円で、わずかながら続落となった。都心部では売り出し中の戸数そのものが増えており、その調整の動きが隣接する行政区にも波及している、というのが同社の見方だ。値付けを下げないと動かない部屋が、都心の外側へじわりと広がりつつある。
一方で近畿圏は14か月連続の上昇、中部圏も4か月ぶりに上向いた。全国一律に上がる局面から、エリアごとに向きが分かれる局面へ移りつつある。新築の首都圏平均が1億円を超えたまま高止まりしているのに対し、中古は「都心は足踏み、周辺は底堅い」という二層構造が見えてきた。買う側にとっては、同じ「首都圏」でも探す場所によって手応えがまるで違う時期に入ったということになる。
同じ首都圏でも、都心と周辺で流れが逆を向き始めています。気になる街があるなら、売り出し中の部屋がどれくらい出ているかを数か月続けて眺めてみると、その街の今の温度がつかめますよ。
長谷工総合研究所が公表した「首都圏・近畿圏 分譲マンション市場動向(2026年8月号)」によると、2026年上期(1〜6月)の首都圏の定期借地権マンションの新規供給は886戸で、前年同期の634戸を大きく上回った。所有権のマンション7,989戸と合計すると8,875戸となり、市場全体では前年同期比2.2%増。所有権だけを見ると前年比0.8%減なので、全体を押し上げたのは定期借地権のほうだ。
定期借地権マンションは、土地を買わずに一定期間だけ借りて建てる方式で、土地代がかからないぶん価格が抑えられる。その代わり期限が来れば建物を解体して土地を返すのが原則になる。急増の背景として指摘されているのは、地価が上がりすぎて土地を買うと採算が合わないこと、そして地主の側にも売却時の税負担を避けて土地を手放さずに活用したいという事情があることだ。2025年には前年の2.7倍まで供給が伸びていた。
供給の中身も変わってきている。同レポートでは、23区の新規供給が2,684戸で構成比33.6%(前年2,964戸・36.8%)と縮み、都下・川崎市・その他神奈川・さいたま市で増えたことが示された。都心の一等地は定期借地権で、外側は所有権で——という住み分けが、価格の壁を前にじわじわ進んでいる。北関東でも茨城・群馬で大規模物件の第1期が始まり、通年では前年を上回る見込みだという。
期限つきの住まいは、そこに何年暮らすつもりかで評価がまったく変わります。子どもが独立するまでなのか、その先も同じ街にいたいのか——街との付き合い方を先に決めると、判断しやすくなりますよ。
クロス・マーケティングは2026年8月27日、「暮らし方に関する実態・意識調査(2026年8月)」を発表した。調査は8月5〜7日、全国の18〜79歳の男女3,000名を対象に実施されたもの。暮らし方の考え方として上位に挙がったのは「モノは大事に使っていきたい」「心身ともに健康であることを第一に」、そして「自然災害に備えて安心・安全な場所に暮らしたい」の3つだった。
「どんな生活を求めるか」を聞いた設問では、「ストレスのない」43%、「安定した」43%、「ゆとりのある」41%、「のんびりした」39%、「健康的な」37%が上位に並んだ。広さや豪華さではなく、日々の消耗の少なさが求められているのが読み取れる。家事の分担では、女性の負担比率が平均7.5割、「9割」と答えた人が29%で最多。男性が担当する家事は「ゴミ出し」49%、「ペットのお世話」39%、「風呂場の掃除」35%が上位だった。
満足度の評価にはずれがある。女性が男性の家事につけた点数が54点だったのに対し、男性が女性の家事につけた点数は81点。同じ家の中でも、見えている負担の量が違うということだ。住まい選びの観点で言えば、災害への備えと、日々の家事動線や買い物のしやすさ——つまり「その場所で暮らすと何が減るか」が、間取りの数字より効いてくる調査結果と言える。
災害への安心と、日常の消耗の少なさ。この2つは物件情報の表からは読み取れません。買い物や保育園、避難場所までの道のりを実際に歩いてみるのが、いちばん確かな下見だと思います。
国土交通省は2026年8月28日、令和9年度の税制改正要望を公表した。住宅・不動産分野で新しく立った項目が「新築マンションの価格高騰への対応に係る所要の措置」で、要望書には「都心の大規模マンションを中心とした近年の新築マンション価格の高騰に対応するため、実需に基づかない投機的取引を抑制するための方策について、必要な検討を行い、所要の措置を講じる」と書かれている。税制改正要望は各省庁が8月末までに財務省へ提出し、年末の与党税制調査会での議論を経て翌年度の大綱に反映される。
根拠として示されたのが、保存登記から1年以内に移転登記された物件の割合、いわゆる短期売買割合のデータだ。2024年1〜6月の保存登記分では、東京圏6.3%、東京都8.5%、23区9.3%、そして都心6区は12.2%。2023年の都心6区が7.1%、2018〜2022年の最大値でも4.6%だったことを踏まえると、直近で一気に跳ね上がったことになる。買った人の8軒に1軒が1年以内に手放している計算だ。
民間側の対策はすでに先行している。不動産協会は2025年11月に、登録・購入戸数の制限、登録名義での契約・引渡し・登記の徹底、売買契約から引渡しまでの期間の売却活動禁止という方針を打ち出した。今回の要望はこれを税制側から後押しする位置づけで、短期保有の譲渡所得への課税強化が検討の軸になる。あわせて、管理計画認定マンション等で長寿命化に資する大規模修繕が行われた場合の固定資産税減額措置も3年間の延長(令和9年4月1日〜令和12年3月31日)が要望された。
投資目的の売買が減れば、モデルルームで実際に住む人と競り合う場面は少し減るかもしれません。ただ制度が決まるのは年末以降なので、今は待つより、住みたい街を絞り込む時間に使うほうが確実だと思います。
大和地所レジデンスは2026年8月25日、神奈川県横浜市神奈川区沢渡に計画する「ザ・ヴェレーナグラン横浜」を発表した。ヴェレーナシリーズの最上位ブランドにあたる物件で、規模は地上6階建(建築基準法上は地下1階地上5階建)、総戸数61戸。専有面積は68.93〜106.99㎡で平均79㎡超、間取りは2LDK+S・3LDK。販売開始は2026年秋、竣工は2028年1月を予定する。
立地は横浜市営地下鉄ブルーライン「横浜」駅徒歩8分、相鉄本線徒歩9分、東急東横線・みなとみらい線・JR各線が徒歩10分。横浜駅を歩いて使える距離にありながら、敷地は約15,000㎡を超える沢渡中央公園に隣接するパークフロントで、外観には城壁を想起させる石垣の意匠を用いる。ZEH-M Oriented認証、顔認証セキュリティも導入される。
首都圏の新築が1棟数百戸のタワーに寄っていくなかで、ターミナル徒歩圏に6階建61戸という組み立ては珍しい。戸数を絞って1戸あたりの面積を確保する設計は、駅近=コンパクトという最近の定石とは逆を向いている。横浜駅周辺は西口・東口ともに再開発が続いているが、この計画は駅の賑わいから一歩引いた公園側に立つ。
駅から8分でも、大きな公園に面しているかどうかで毎日の景色はまるで違います。沢渡中央公園の側を朝と夕方に歩いてみると、この立地の意味がよくわかると思いますよ。
パーソル総合研究所が2026年8月27日に発表した「テレワークに関する調査(2026)」によると、2026年7月時点の正社員のテレワーク実施率は21.4%で、前年から1.1ポイントの微減となった。2022年以降、緩やかな減少が続いている。企業が「原則出社」を指示している割合は24.6%で2年連続の増加、大手を含むすべての企業規模で前年を上回った。
一方で、テレワークをしている人の81.6%が「続けたい」と答えている。2020年後半以降、この継続希望は高止まりしたままだ。会社は出社に戻り、働き手は在宅を望む——このズレが解けないまま数年が経過している。同研究所は、マネジメント負荷やコミュニケーション上の課題が解決されないため、出社が明示的に選ばれていると指摘する。
この数字は住まい選びに直接効いてくる。在宅前提で郊外の広い家を選んだ人が、週の出社日数が戻った途端に通勤時間の重さを毎日味わうことになる。逆に言えば、いま家を探すなら「週に何日、何分の通勤に耐えられるか」を先に決めたほうが早い。駅からの距離、乗り換えの回数、始発駅かどうか——在宅が当たり前だった数年間は軽視されていた条件が、また効き始めている。
在宅が減った分、駅までの道と乗り換えの回数が生活の質を決めます。内見のときは物件だけでなく、実際に平日朝の時間帯に駅まで歩いてみるのがいちばん確実です。
長谷工総合研究所が2026年8月7日に公表した「2026年上半期 首都圏・近畿圏 分譲マンション市場動向」によると、首都圏の新規供給は646件7,989戸で、前年同期(662件8,053戸)から件数2.4%減・戸数0.8%減とほぼ横ばいだった。一方で平均価格は1億135万円と前年比10.4%上昇、㎡単価も151.4万円と8.8%上がっている。戸数は動かず単価だけが上がる、という構図がはっきり出た半年だ。
数字のなかで目を引くのは供給の刻み方だ。1回あたりの平均販売戸数は12.4戸、販売回の65.6%が10戸未満だった。1棟をまとめて売り出さず、数戸ずつ小刻みに出す売り方が標準になっている。それでも初月販売率は64.8%(前年同期66.6%)で、3年連続で70%を下回った。慎重に出しても即日で完売する時代ではなくなっている。
価格を抑える工夫として増えているのが定期借地権マンションで、上半期の供給は886戸と前年同期の634戸から大きく伸びた。これを合わせた首都圏全体の供給は8,875戸で前年比2.2%増となる。近畿圏は612件7,329戸(3.8%増)、平均価格6,193万円と前年比2.2%低下しており、首都圏とは逆の方向に動いた。同じ「マンション市況」でも、東と西で今起きていることはかなり違う。
小分けで売るということは、モデルルームに行っても選べる部屋が数戸しかないということです。焦って決めるより、その街に何回か通って納得してから次の販売回を待つほうが、結果的にいい買い物になりますよ。
三井不動産レジデンシャルは、東京都中央区築地4丁目に計画する「パークホームズ東銀座築地」の第1期事前案内会を2026年8月29日から始める。建物はRC造地上15階地下1階建、総戸数97戸(うち一般販売対象61戸)と店舗1区画。専有面積は約36〜82㎡、間取りは1LDK〜3LDKで、第1期の販売開始は10月上旬、竣工は2028年2月上旬の予定だ。
立地はメトロ日比谷線・都営浅草線「東銀座」駅徒歩3分、日比谷線「築地」駅徒歩3分、銀座線ほか「銀座」駅徒歩8分。都営大江戸線「築地市場」駅徒歩6分、有楽町線「新富町」駅徒歩7分も加わり、5駅6路線が徒歩圏に入る。設備面ではスマートフォンで解錠できる「Tebra Connect」や各住戸前の宅配ボックス、共用のミーティングルームなどが導入される。
97戸という規模は、この立地では中規模にあたる。都心部の大型タワーが1棟数百戸で供給される一方、銀座から歩ける範囲でこの戸数がまとまって出る機会は多くない。築地4丁目は場外市場と築地本願寺のすぐ南側で、市場移転後も食に関わる店が残り、朝から人が動く街だ。銀座の商業地と隅田川の間にありながら、生活のスケールは小さい——その落差がこのエリアの性格を決めている。
築地は観光地の顔と生活の街の顔が同居している場所です。休日の昼と平日の朝では人の流れがまったく違うので、両方の時間帯に歩いてから判断してほしいですね。
住宅金融支援機構は、2026年10月1日以降の借り入れを対象に「フラットすまい・るポイント」を始める。借入金額に応じて2,000〜150,000ポイントが付く「ご利用ありがとう特典」と、子どもが生まれた場合に2万ポイントが付く「お子さまご誕生特典」の2本立てで、いずれも2026年度中の借り入れ・誕生が対象となる。
もうひとつの変更が中古住宅向けの融資範囲拡大だ。2026年9月1日以降の資金実行分から、中古住宅の購入費用と簡易なリフォーム工事費用をまとめて借りられるようになる。ただし対象は住宅が【フラット35】の基準を満たしていることが前提で、柱の位置変更・間取り変更・床面積の増減といった大がかりな工事は含まれない。あくまで「買ってすぐ住めるようにする」範囲の話だ。
背景には中古シフトの加速がある。2025年度の【フラット35】利用者調査では中古住宅の利用割合が35.9%(前年度比1.1ポイント増)となり、融資区分のなかで最多になったのは2004年度の調査開始以来はじめてだった。利用者の平均年齢も43.3歳と9年ぶりに低下している。8月の適用金利は最頻値で年3.29%。金利が上がるなかで制度側が中古に寄せてきた、という読み方ができる。
制度が中古を後押しする流れになると、これまで新築しか見ていなかった人にも選択肢が広がります。中古を見るときは建物より先に、その棟に住んでいる人たちの雰囲気や街の落ち着き方を見てほしいですね。
野村不動産ホールディングスが2026年8月27日に公表した「住宅売買に関する意識調査アンケート(第31回)」によると、今後の不動産価格について「上がると思う」と答えた人は33.8%で、前回調査から8.4ポイント減少した。代わりに増えたのは「横ばいで推移する」「下がると思う」で、市況の見通しが慎重な方向へ寄っている。調査は2026年7月8日〜23日に実施され、不動産情報サイト「ノムコム」の登録会員約21万人から1,041人が回答した。
対照的にはっきりした答えが出たのが金利だ。住宅ローン金利が今後「上がっていくと思う」と答えた人は90.1%に達し、選択肢のなかで突出した。売却側の温度感も高く、「売り時である」「どちらかと言えば売り時である」の合計は75.2%。値上がりを待つより、条件の良いうちに手放したいという判断が広がっていることが読み取れる。
もうひとつ目を引くのが、住まい探しにAIを「現在利用している」と答えた人が25.7%に達したことだ。用途は「相場や価格の妥当性の確認」「物件情報の収集・比較」が中心で、営業担当に聞く前に自分で相場観をつくる層が4人に1人まで増えた。価格が上がり続ける前提が崩れつつあるいま、買い手の情報収集の仕方そのものが変わりはじめている。
値上がりを期待して買う時代から、住む場所として納得できるかで選ぶ時代に戻りつつあると感じます。数字で迷ったときは、平日の夜にその街を歩いてみると答えが出やすいですよ。
住友不動産の「グランドシティタワー中野」が、2026年11月下旬の販売開始を予定している。所在地は東京都中野区中野4丁目で、JR中央線・東京メトロ東西線「中野」駅から徒歩9分。建物はRC造地上25階・地下1階建、高さ85.87m、総戸数510戸(非分譲住戸94戸ほかを含む)で、店舗2区画と子育て支援施設1区画を併設する。竣工は2029年4月下旬、引渡しは2030年2月下旬の予定だ。
住戸は1LDK〜3LDK、専有面積34.81〜87.00㎡と幅が広い。単身から家族まで受け止める構成で、駅前再開発に伴う大型供給としては標準的な組み立てといえる。敷地は中野駅の北西側一帯、南を都市計画道路補助221号線、北を明治大学中野キャンパスに挟まれた位置にある。中野駅周辺は北口側で複数の再開発が同時に動いており、この物件はその一角を占める。
首都圏では2026年7月の新築マンション平均価格が1億6,493万円と過去最高を更新するなど、供給の重心が高額帯に寄っている。そのなかで、34㎡台から87㎡までを1棟に収める計画は、価格帯の入口を残す設計判断ともいえる。510戸というまとまった供給が中野区の在庫にどう効くかは、来年以降の相場を見るうえでの手がかりになる。
中野は駅前が大きく変わる一方で、少し歩けば商店街や小さな飲食店の密度が高い街です。再開発の完成予想図より、実際に自分が毎日通る道の空気が合うかどうかで判断してほしいところですね。
旭化成ホームズのONDO-LABO(GREENOVATION推進室)が2026年8月26日に公表した調査によると、住まいの総合満足度で「大変満足」と答えた割合は戸建35.7%に対しマンション13.5%と、約2.6倍の開きがあった。自宅での幸福度でも「とても幸せ」は戸建36.2%・マンション19.8%と約2倍の差。調査は首都圏・関東圏に住む30〜79歳の既婚者442名(戸建235名/マンション207名)が対象だ。
差が大きく出たのは居室以外の空間だった。トイレで約3倍、洗面所で約2倍、書斎で約2.5倍、戸建のほうが満足度が高い。家のなかで長く過ごさない場所ほど、住まいの性能差が体感として表れるという構図だ。ただしこの調査は高い性能を備えた戸建を対象にしており、戸建一般とマンション一般の比較ではない点は押さえておきたい。
むしろ注目すべきは、両者が住まいに求めているものが最初から違うことだ。戸建の居住者は「夏涼しく冬温かい環境」「静かさ」を挙げ、マンションの居住者は「買い物の便利さ」「駅距離」「防犯性」を挙げた。つまりマンションを選んだ人は、家のなかの快適さより街のなかでの位置を優先している。満足度の数字だけを取り出して優劣を論じるのは、この前提を見落とすことになる。
この調査で面白いのは、マンションを選んだ人が「駅と買い物と安心」を先に挙げているところです。家の中だけで満足を測らない暮らし方なので、内見のときは部屋より先に周辺を一周してみるのが正解だと思いますよ。
マンションリサーチが2026年8月21日に公表した分析によると、2023年1月〜2026年7月の首都圏中古マンション48万1,019事例を価格帯別に分けたところ、市場が一様に冷えているのではなく価格帯によって売れやすさがはっきり分かれていることが分かった。1億円未満の物件は在庫が減少傾向にある一方、1億円超は在庫が増加傾向。5億円超の帯では在庫が高止まりしたまま動きが鈍い状態が続いている。
もうひとつ注目すべきは、成約単価はほぼ横ばいなのに売出単価は下がっているという「ねじれ」だ。これは売り手が強気の値付けを引っ込め、買い手が納得する水準まで下ろしてきた——つまり両者の価格認識のすり合わせが進んでいる段階を意味する。値下げのニュースだけを見ると相場全体が崩れたように見えるが、実際に成約している価格の水準自体は保たれている。
背景にあるのは住宅ローン金利の上昇だ。金利が上がると、同じ月々の返済額で借りられる金額は減る。その影響は絶対額の大きい高額帯ほど強く出るため、1億円という線を境に動きが変わる。ただし買い手は市場から消えたわけではなく、広さや駅からの距離、築年数といった条件を調整して買い続けている。「売れない」のではなく「条件の合わせ方が変わった」というのが実態に近い。
1億円という線は、実は街の側にも引かれています。同じ予算でも、駅前の便利さを取るか、公園や商店街のある暮らしを取るかで満足度は全然変わりますから、金額の前にまず「どの街で暮らしたいか」を決めてしまうのが早いですよ。
不動産経済研究所が2026年8月5日に発表した首都圏の投資用(ワンルーム・コンパクト)マンション市場動向によると、2026年上期(1〜6月)の供給は46物件・2,401戸。前年同期比で物件数は9.5%増、戸数は28.8%増(537戸増)と大きく伸びた。平均価格は3,703万円(前年同期比7.8%増)、㎡単価は145.6万円(同9.1%増)で、平均専有面積は25.43㎡だった。
供給エリアは27エリアに広がり、前年同期から7エリア増えた。内訳は東京23区が13区、都下1エリア、神奈川県10エリア、埼玉県2エリア、千葉県1エリア。供給戸数トップ5は横浜市南区348戸、江東区188戸、大田区182戸、横浜市神奈川区176戸、横浜市保土ケ谷区172戸で、上位5エリアのシェアは44.4%(前年同期54.1%)と分散が進んだ。上位5つのうち3つを横浜市が占めた点は象徴的だ。
この分散は「人気エリアが移った」というより、23区内でまとまった土地が確保しづらくなった結果と見るのが妥当だろう。2,500万円以下の供給がわずか2戸(前年同期は121戸)まで消えたことも、土地と建築費の上昇がそのまま価格に乗っていることを示す。同研究所は今後も横浜市・川崎市がシェアを保つと見ている。単身・二人暮らし向けの新しい住まいが、都心から少しずつ外へ広がっている局面だ。
横浜市南区が1位というのは、街としてすごく納得できます。坂は多いけれど商店街が生きていて、下町の距離感が残っているエリアですから、一人暮らしから始めて長く住む人が増えるといい変化が起きると思いますよ。
つなぐネットコミュニケーションズ(アルテリア・ネットワークスグループ)が2026年8月25日に発表した調査によると、全国のマンション居住者8,181人(20〜79歳、2026年7月13〜16日実施)のうち、災害時に在宅避難をしたいと答えたのは87.3%。ところが実際にできると思うと答えた人は60.6%にとどまった。さらに停電・断水といった具体的な状況を提示して聞き直すと、46.6%まで下がっている。
不安の理由でもっとも多かったのは「ライフラインの復旧に時間がかかる」で59.9%。備えの実態を見ると、防災トイレの備蓄が「ほとんどない」と答えた人が49.1%、7日分以上を備えている人は12.3%しかいなかった。一方で、上下水道がいつ復旧するか分からないと答えた人は57.1%。つまり「復旧までの日数が読めないのに、その日数分の備えがない」という状態が広く共有されている。
在宅避難は、建物が無事であれば避難所へ行かずに自宅で過ごすという考え方だ。ただし成立させるには、水・トイレ・明かりといった生活の最低限を自分たちで数日つなぐ必要がある。この調査が示しているのは、備蓄品の不足そのものより「どれくらいの期間を想定すればいいか分からない」という情報の不足だろう。住民同士で必要な日数の目安を共有できているかどうかが、実は分かれ目になる。
この手の話は、一人で備えるより住民同士で話すほうが早く進みます。同じ階の人と挨拶できる関係があるかどうかが、いざという時いちばん効きますよ。物件選びのとき、掲示板やエントランスの雰囲気を見ておくのはそういう意味でも大事です。
不動産経済研究所が8月20日に発表した2026年7月の首都圏新築分譲マンション市場動向によると、平均価格は1億6,493万円で過去最高を更新した。㎡単価も236.9万円と最高値となり、前年同月比では平均価格が63.7%増という異例の上昇率を記録している。背景には港区内での大型高額物件の発売集中があり、東京23区が首都圏全体の数字を押し上げている構図だ。
発売戸数は2,145戸(前年同月比6.9%増)と2カ月ぶりのプラス転換。一方で7月末時点の在庫は6,597戸と2カ月連続で増加しており、売れる量より積み上がる量のほうが多い局面が続いている。2026年上半期(1〜6月)の平均価格も1億135万円と初の1億円台に乗せており、15カ月連続で前年同月の㎡単価を上回るという記録も継続中だ。
数字の大きさはそのまま読むと「どこも高い」という印象になるが、内実は地域によって大きく違う。港区・千代田区など都心の大型物件が統計を引き上げており、城東・城西・多摩・神奈川の物件は同じ「首都圏」の括りでも価格帯が全く異なる。発売の少ない月に高額物件1棟が入ると平均値が跳ね上がる構造を理解した上で、自分が探しているエリアと価格帯の動向を別に見ていく必要がある。
「平均価格1億6千万円」という見出しを見てもびっくりしないでください。そのほとんどは港区の超高額物件が含まれている数字で、城西・城東・郊外の実需エリアとは別の話です。自分が探している街の相場をポータルサイトで直接確認するのが一番確かですよ。
千代田区が2025年7月に打ち出した新築マンションの「購入後5年間の転売禁止」「同一名義での複数戸購入禁止」要請をきっかけに、不動産業界での転売規制の動きが本格化した。不動産協会は引き渡し前の売却活動禁止と申し込みから登記まで名義同一の明記を方針として打ち出し、三井不動産・三菱地所・住友不動産など大手8社が対策を導入している。国土交通省の調査では2024年1〜6月に東京23区の大規模新築マンションで短期転売(1年以内)が575件と前年比約5倍のペースに達しており、規制強化の背景となった。
千代田区の要請は法的拘束力を持たない「要請」という形に留まっているが、再開発物件などを中心に大手各社が実施に動いている。中には価格が2億円を超えた億ションに対して抽選ではなく実需審査を導入し、自己居住目的でない応募者を弾く仕組みを作るデベロッパーも出始めている。投機的な購入を抑制することで、より多くの実需層に購入機会が回る効果が期待されている。
購入者にとっては、転売制限の付いた物件を買った場合に転居・離婚・収入変化などライフイベントに対応しにくいというリスクも生まれる。「住もうと思って買ったが事情が変わった」ときに身動きが取りにくくなる点は、規制付き物件を検討する際に事前に確認しておきたい条件だ。契約書に記載される転売禁止条項の内容(期間・例外規定)を購入前に必ず読み込んでおく必要がある。
転売制限がついた物件は、裏を返せば「実際に住む人が選んでいる物件」ということでもあります。住民の顔ぶれが落ち着きやすく、コミュニティが作られやすい側面もありますよ。
スーモジャーナルが2026年3月に公開したデータによると、新築マンションを購入した人の平均価格は7,324万円で最高値を更新した一方、2026年7月の首都圏新築平均が1億6,493万円に達した現在、新築の「平均的な物件」と購入者の「実際の平均」には大きな乖離がある。この差を埋める選択肢として注目されているのが中古マンション+リノベーションだ。2026年のリノベーション市場ではリビング拡張・塗り壁・断熱工事への需要が急増しており、ゼロリノベなどのリノベ専業企業は2026年のトレンドを「サステナブル(持続可能性)」と「自分らしさの演出」に集約している。
特に注目されるのは、中古マンションの在庫増加だ。都心3区の中古在庫は前年比1.5倍(4,942件)まで積み上がっており、成約価格との大きな開きを抱えたまま売り出されている物件が増えている。これは裏から見れば「候補になる物件が増え、交渉の余地が出てきた」局面でもある。築20〜30年のマンションを適切な価格で取得してリノベを施せば、新築では手が届かない都心・駅近立地に暮らせるケースもある。
一方で中古リノベには「見えない部分のリスク」という難しさがある。管理組合の財務状況・修繕積立金の残高・大規模修繕の履歴を事前に確認し、建物全体の状態を把握することが購入判断の前提になる。自分でリノベする部屋だけを見て決めてしまうと、後から想定外の出費が来るケースもある。「街を選べる自由度」と「建物の素性を読む手間」の両方を受け入れられる人に向いた選択肢だ。
中古+リノベの良さは、自分が住みたい街を先に決められることです。お気に入りの喫茶店や公園から逆算して物件を探すのも、立派な住まい選びの方法ですよ。
ダイヤモンド不動産研究所がまとめた2026年7月の東京都中古マンション市場データによると、千代田・中央・港のいわゆる都心3区の成約価格は1億3,095万円(前月比3.6%増、前年同月比5.9%減)となった。2026年の底だった5月の1億1,723万円から2カ月連続の上昇で、面積が広くなったからではなく㎡単価そのものが戻っている。
一方で数字の裏側は静かだ。都心3区の成約件数は228件で前年同月比18.6%減。対して在庫は4,942件・前年同月比50.5%増(前月比5.7%増)と、調査対象6エリアのなかで最も伸びが大きい。売出価格の平均は2億208万円で、成約価格との差である「ワニの口」は7,113万円に開いたままだ。東京都全体でも7月の成約は1,863件・前年比13.9%減、成約価格は7,004万円・前年比2.2%増と、価格は上がるが動く数は減るという傾向が続いている。
在庫が1年で1.5倍になるというのは、売り出したものの決まらない住戸が積み上がっているということだ。強気の価格で出す売主と、その価格では動かない買主。この綱引きが長引くほど、掲載期間の長い物件が増えていく。買う側から見れば、選べる母数が増え、交渉の余地も生まれつつある局面と言える。ただしそれは都心の高額帯に限った話で、実需の中心である城東・城西・多摩まで同じ空気が広がっているわけではない。
在庫が増えている時期は、じっくり街を見て回れる貴重なタイミングです。同じ区でも通り一本で雰囲気が変わりますから、候補を絞る前に平日の夕方と休日の午前、二度歩いてみることをおすすめしますよ。
湯島三丁目地区市街地再開発準備組合がまとめた計画概要が明らかになった。対象は文京区湯島3丁目41〜46番の約8,900㎡で、東京メトロ千代田線「湯島」駅から徒歩約1分。区域は西側のA街区と東側のB-1・B-2街区に分かれ、A街区に地上40階・地下3階・高さ約170m・延べ床面積約11万㎡の複合ビルを建てる。用途は商業・ホテル・住宅・駐車場で、住宅は350〜400戸を想定する。B-1・B-2街区には商業施設を計画している。
スケジュールは、2027年3月に都市計画決定、2028〜2029年度に再開発組合の設立認可、2030年度に権利変換計画認可と解体着手、2031年度に本体着工、2035年度完成という段取りだ。準備組合には三井不動産レジデンシャルが事業協力者として参画している。
湯島三丁目は上野公園の南側に位置し、湯島天神の門前に飲食店と小規模ビルが密集する一帯だ。上野・御徒町・本郷という性格の違う三つの街に歩いて出られる立地でありながら、これまで大きな更新が入らないまま来た。今回の計画が動けば、駅直上に近い位置に住宅とホテルと商業が積み上がることになる。完成は9年先で、周辺の中古相場や街並みへの影響が実際に見え始めるのはもう少し手前、都市計画決定のあたりからだろう。
上野と本郷の間というのは、同じ都心でも表情がまったく違う街が隣り合っている面白い場所です。再開発が入ると駅前は変わりますが、一本入った路地の空気は残ることが多いので、そこを含めて街を見ておくといいですよ。
スーモジャーナルが8月24日に公開した記事で、東京でデザインディレクターとして働いていた前村達也さん(47歳)が長野県御代田町へ移った経緯が紹介されている。2018年に仲間と約3,600㎡(1,000坪超)の土地を購入し、2年かけて造成と住宅の準備を進めて2020年に移住。2023年にカフェバー兼ゲストハウス「CORNER SHOP MIYOTA」、2026年に5室の宿「BRICKS & BLOCKS MIYOTA」を開いた。
御代田町は軽井沢に隣接し、東京から新幹線でおよそ90分。2018年から2026年にかけて人口が約1,200人増えている数少ない自治体のひとつだ。ただし記事のなかで前村さんが語っているのは、町の人気や利便性に惹かれて移ったという話ではない。仕事を先に決めて移住したのでもなく、住みながら人と関わるうちに「この場所で成り立つ仕事」が後から立ち上がってきた、という順序である。
この発想は、都市部でマンションを選ぶときにも通じる。設備や間取りは入居した日から完成しているが、街との関係は住み始めてから積み上がっていく部分が大きい。同じ価格帯で迷ったとき、どちらの街なら自分が関わりを作れそうかという視点は、パンフレットには載らないが後から効いてくる。移住の記事ではあるが、住まい選びを「買う」から「育てる」へずらす見方として読める内容だ。
どの街に住んでも、最初の1年で顔なじみのお店が2、3軒できるかどうかで居心地はずいぶん変わります。物件を見に行ったら、帰りに近所の喫茶店やパン屋に寄ってみると、その街との相性が案外わかりますよ。