東京のマンションを、長く住む視点で見極めるために。
設計に携わる者の目で、カタログには書かれていない大切なポイントを、
分かりやすくお伝えしていきます。
不動産経済研究所のまとめによると、2026年3月の首都圏新築マンションの1戸あたり平均価格は1億413万円。前月から下げて11カ月ぶりの下落となったが、2月に続いて1億円台を保ち、水準としては依然として高止まりが続いている。価格を押し上げてきた建築費や人件費の高さが続くなか、急に値下がりする気配は乏しい。
一方で需要には息切れの兆しもある。3月の発売戸数は前年同月比35.5%減と供給が大きく絞られ、売れ残りを示す中古の在庫件数は8カ月ぶりに増加に転じた。高い価格に買い手がついていけず、売り手の希望価格との間に差が生まれやすい局面に入っている。価格が高いほど、立地や住み心地の見極めがいっそう問われる。
全体が一律に動くというより、街ごとの明暗が分かれる段階だ。資産防衛の需要が厚い都心は高止まりしやすい一方、価格に敏感な実需層は割安感のあるエリアへ目を向け始めている。「平均でいくら」よりも、自分が暮らしたい街で実際にどんな広さ・価格の選択肢があるかを、足で確かめておきたい。
価格の平均値に振り回されず、自分が住みたい街の実際の選択肢を見てほしいですね。高い時期ほど、長く心地よく暮らせる街かどうかという視点が効いてきます。
新築マンションの発売戸数が前年同月比で大きく減り、過去50年でも最低の部類が続くなか、買い手の目は中古へも広がっている。新築の品薄と価格高止まりを背景に、首都圏の中古マンション在庫は8カ月ぶりに増加。値ごろな住戸や立地の良い物件を、新築・中古の両方から探す動きが目立ってきた。
新築の供給はいま、用地を確保しやすい郊外の駅前や、街区ごと整備が進む再開発エリアが中心になりつつある。まとまった戸数を都心で出すのが難しくなったぶん、ファミリー向けの選択肢は都心の外側へと広がっている。新築にこだわらず「住みたい街で、無理のない価格と広さ」を軸に選ぶ実需層が、ゆるやかに増えている。
新築・中古を問わず大切なのは、その街で長く心地よく暮らせるかどうかだ。中古なら周辺の住人層や管理の様子を実際に見られる強みがある。気になる物件は、建物だけでなく共用部の使われ方や周辺の暮らしぶりまで、足を運んで確かめておきたい。
新築が少ない時期は、中古まで視野を広げると選択肢がぐっと増えますね。中古は実際の住人の雰囲気や街の落ち着きを目で見られるのが強み。建物より先に、周りの暮らしぶりを歩いて感じてみてください。
大東建託「いい部屋ネット 街の住みここち&住みたい街ランキング2026」などの調査から見えてきたのは、街選びの軸が「ただ駅に近いか」から「総合的に暮らしやすいか」へ移ってきたことだ。交通費・住居費・生活費を合わせて考え、少し離れても暮らしの総コストが抑えられる街を選ぶ人が増えている。
とりわけ支持を集めるのが、買い物・医療・公共施設が徒歩圏にまとまった"ミニコンパクトシティ"型の郊外だ。日々の用事が近所で完結し、子育て世帯にも高齢世代にもやさしい。価格高騰とリモートワークの定着が後押しし、「広さ」「自然」「暮らしやすさ」を重んじる実需が、都心の外側の街へと向かい始めている。
もっとも、郊外なら何でも良いというわけではない。駅までの歩きやすさ、商店や病院の充実、近所の落ち着きなど、暮らしの土台になる要素は街ごとに大きく違う。気になるエリアは、平日と休日、昼と夜で表情を見比べ、自分の生活リズムに合うかを足で確かめておきたい。
駅からの距離だけでなく、暮らし全体のしやすさで選ぶ人が増えてきましたね。買い物も病院も近所で済む街は、毎日がぐっと楽になります。気になる街は休日にも歩いて、空気を感じてみてください。
伊藤忠都市開発とフジ都市開発が世田谷区砧で分譲する「クレヴィア世田谷砧ザ・コート」。小田急小田原線「祖師ヶ谷大蔵」駅徒歩8分(約590m)に立つ、全31邸の低層レジデンスだ。第一種低層住居専用地域に位置し、間取りは2LDK〜4LDK(45〜89㎡台)。メゾネットプラン11タイプを揃え、環境に配慮したZEHマンションでもある。現在コンセプトルームの来場予約を受け付けている。
祖師ヶ谷大蔵は、ウルトラマン商店街の愛称で親しまれる活気ある駅前と、落ち着いた住宅街が同居する成城・砧エリアの一角。小田急線で新宿へ快速急行で15分台と都心アクセスも良く、賑わいと静けさの距離感がほどよい。第一種低層の街並みは空が広く、戸建てと低層住宅が穏やかに連なる上質な住環境が広がる。
都心でタワーが続く局面において、第一種低層・全31邸・駅徒歩8分という構成は、規模や眺望より住み心地と街の品格を重んじる実需層に響く。31邸という規模ゆえの落ち着きも魅力だ。駅前の商店街から砧の住宅地まで歩いて、暮らしの距離感を確かめておきたい。
祖師ヶ谷大蔵は商店街の温かさと、低層住宅地の静けさが近いのが魅力ですね。空が広く穏やかな街並みは、長く住むほど良さが分かります。駅前から住宅地まで歩いて、空気の変わり目を感じてみてください。
一建設が川口市並木元町で分譲する「プレシス川口並木元町」。JR京浜東北・根岸線「川口」駅徒歩13分に立つ、地上10階・全28戸の小規模レジデンスだ。1フロア3戸・角住戸率約67%・全戸南向きという、住戸の採光と通風に配慮した構成が特徴。価格は2LDK4,400万円台〜、3LDK5,400万円台〜が見込まれ、2026年3月の竣工が予定されている。
川口はJR京浜東北線で東京駅へ直通、上野・東京・品川方面へ乗り換えなしで届く利便性の高い街。駅前には大型商業施設や公共施設が集まり、生活の便は23区にも引けを取らない。一歩入れば落ち着いた住宅地が広がり、価格は都内より手の届きやすい帯に収まる、子育て世帯に人気のエリアだ。
新築の供給が絞られるなか、全戸南向き・全28戸の小規模は希少な存在。価格も都心通勤圏の駅近として現実的で、はじめての購入や住み替えにも届きやすい。駅前のにぎわいと、住宅地の静けさの距離感を、実際に歩いて確かめておきたい。
川口は東京駅へ直通で出られる便利さなのに、価格は都内よりやわらかいのが魅力ですね。駅前のにぎわいと住宅地の落ち着きが近く、子育て世帯にもやさしい街です。駅から現地まで歩いて距離感を感じてみてください。
日本エスコンが横浜市中区で分譲する「レ・ジェイド横濱桜木町」。京急本線「日ノ出町」駅徒歩5分に立ち、JR根岸線「桜木町」駅も徒歩圏で使える横浜中心部のレジデンスだ。2026年3月19日に分譲が始まり、戸数・価格は今後順次公表される予定。みなとみらいの洗練と、野毛の下町情緒の両方が徒歩圏という、横浜らしい立地が魅力となっている。
桜木町・日ノ出町一帯は、JR・市営地下鉄・京急が使え、横浜駅や東京方面へも軽快に動ける交通の要。駅前にはみなとみらいの商業施設や文化施設が広がり、少し歩けば野毛の飲食街や住宅地が連なる。観光地の華やかさと、暮らしの日常が無理なく同居する、奥行きのある街並みだ。
都心の新築が高止まりするなか、横浜中心部・駅徒歩5分という立地は、利便と街の魅力を両立したい実需層に届きやすい。みなとみらいから野毛まで、休日に歩いて回れる距離感も大きな価値だ。昼と夜で表情の変わる街を歩いて、暮らしのイメージを描いておきたい。
桜木町はみなとみらいの華やかさと、野毛の下町らしさが徒歩圏で同居する欲張りな立地ですね。休日に歩いて回れる街は暮らしが豊かになります。昼と夜、両方の顔を歩いて感じてみてください。
JR東日本と野村不動産が手がける「プラウドタワー板橋」。JR埼京線「板橋」駅直結の板橋口地区市街地再開発で生まれる、地上34階・高さ126.3m・総戸数388戸の大規模タワーだ。駅前広場や商業を含む街区一体の再整備として計画され、2027年6月の竣工が予定されている。駅直結という利便は、雨の日の通勤や買い物で日々効いてくる。
板橋駅は埼京線で新宿へ直通約10分、池袋へも一駅という好アクセス。再開発によって駅前広場や歩行者動線が一新され、これまで雑然としていた駅周辺の歩きやすさが大きく底上げされる見込みだ。少し歩けば旧中山道の商店街や落ち着いた住宅地が広がり、利便と生活感のバランスがとれた街でもある。
今回はカテゴリのなかで唯一の大型タワー。駅直結・再開発・388戸というスケールは、利便性と将来の街の伸びを重視する層に響く。一方で大規模ゆえに住人層は幅広くなる。再開発で街がどう変わっていくかを、計画図と今の駅前の両方を歩いて見比べておきたい。
板橋は新宿へ直通で出られる便利さなのに、旧中山道の商店街など生活感のある街並みが残っているのが良いですね。再開発で駅前がどう変わるか、今の街と計画図を見比べながら歩いてみてください。
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はじめまして、ryoと申します。一級建築士として、集合住宅・分譲マンションの設計に携わっています。
図面を描く仕事を通じて学んだのは、「住まいの良し悪しは、カタログやモデルルームの印象だけではわからない」ということ。構造・管理・立地、そして長く住むための見極め方——設計の現場から見えている景色を、できるだけ平易な言葉でお届けします。
上質なマンション選びのパートナーとして、このノートがお役に立てば幸いです。