東京のマンションを、長く住む視点で見極めるために。
設計に携わる者の目で、カタログには書かれていない大切なポイントを、
分かりやすくお伝えしていきます。
2026年4月1日、改正区分所有法が全面施行された。最大の変更点は建替え決議の要件緩和だ。これまでは区分所有者数および議決権の「5分の4」以上の賛成が必要だったところ、一定の客観的条件が揃う場合は「4分の3」以上で決議が可能になった。「同意が得られず何も決められない」という老朽マンション特有の膠着を解消するための、2002年以来最大の法改正とされている。
改正のきっかけは「二つの老い」への危機感だ。マンション自体の老朽化と、居住者の高齢化が重なる中で、所有者の所在が分からなくなる「所有者不明問題」が各地で顕在化。議決が取れず修繕も建替えも進まない物件が増えており、国土交通省はこの改正を「マンション再生の最後の壁を取り除く」ものと位置づける。建替えのほか、敷地売却・解体・大規模改修などの選択肢も選びやすくなった。
管理組合にとっては、規約や議決方法の総点検が急務になる。LIFULL HOME'S PRESSが公表した「全19項目の管理規約見直しチェックリスト」は、施行後の実務対応として広く参照されている。首都圏では築30〜40年の大規模マンションが多く、2026〜2030年にかけての建替え・再生案件が動き出す土台が整いつつある。
「建替えか修繕か」という選択が、これまでより現実的に議論できるようになりました。特に築35〜40年超で住人の高齢化が進む物件では、この改正を機に管理組合で将来の方向性を話し合ってみる価値がありますよ。
不動産経済研究所が発表した2025年度(2025年4月〜2026年3月)の首都圏新築分譲マンション市場動向によると、発売戸数は2万1,659戸と前期比2.6%減で4年連続の過去最少を更新した。1973年度の調査開始以来、年間供給がここまで少ない局面はかつてなく、「選べるほど物件がない」という状況が固定化しつつある。エリア別では東京23区が7,708戸(シェア35.6%)を占め、都心ほど供給が集中している。
一方、価格は逆方向に動いた。2025年度の平均価格は9,383万円(前年度比+3.6%)、㎡単価141.9万円でともに過去最高を更新した。供給が絞られる中で販売される物件は立地・スペックで厳選されたものが多く、「値が上がりやすい構造」が続く。しかし初月契約率は62.9%と前年度比3.9ポイント低下、好調の目安とされる「70%」を下回り続けており、価格上昇が購入者の足を止め始めたことを示している。
在庫は6,409戸まで増加し、供給不足が生んだ「物件不足」ではなく「割高感による滞留」という構造が浮かび上がる。2026年の首都圏供給見込みは約2万3,000〜2万4,000戸と若干の回復が見込まれるが、定期借地権付きや郊外・周辺3県への分散供給が中心。「都心の手頃な新築」という選択肢は、今後もますます限られていく可能性が高い。
「選べる物件が少ない」環境は続きますが、初月契約率の低下は「買い手が値段を見極め始めた」サインでもあります。焦って動くより、住みたいエリアを絞って継続的に情報を追うほうが、良い判断につながりますよ。
リクルートが発表した「SUUMO住みたい街ランキング2026首都圏版」で、上位6駅は前年と同順位を保った(1位:横浜、2位:大宮、3位:吉祥寺、4位:恵比寿など)。一方で注目すべきは順位の変化だ。船橋・舞浜・つくば・大船・立川が2018年以降の最高順位を記録し、「都心直結の郊外主要駅」への関心が着実に高まっている。家賃・価格の高騰を受け、「ブランド駅に住む」から「便利な郊外に住む」への価値観のシフトが調査に表れた形だ。
「買って住みたい街」のランキングでは、湯河原や郊外型エリアが上位を占め、都心マンションの価格上昇に対する拒否感が購入時の行動を変えていることがわかる。「賃貸で住みたい街」の1位には葛西が2年連続で選ばれており、「東西線で大手町まで20分・賃料は比較的安め」というコスパ重視の視点が支持を集めた。全体として、賃貸は都心寄りの利便性、購入は郊外の広さ・価格優位性という使い分けが進んでいる。
2026年の住みたい街ランキングで浮かび上がるキーワードは「ちょうどよさ」だ。都心3区の価格が1億を超える中、「駅まで少し歩いても、緑があって子育てしやすい街」「始発が取れる郊外駅」「新幹線・高速道路へのアクセスがある広域都市」への評価が上がっている。コロナ禍以降に広がった郊外移住の流れが定常化し、住まい選びの地平が広がっていると言えそうだ。
「住みたい街」の上位が変わらない一方で、「買えそうな街」の顔ぶれが変わってきています。船橋や立川を見直してみると、住み始めてから「なぜここを選ばなかったのか」と思う人が多い、穴場的な魅力がある街ですよ。
日鉄興和不動産が千葉県船橋市で分譲する「リビオシティ船橋北習志野ミッドレジデンス」は、新京成電鉄・東葉高速鉄道「北習志野」駅から徒歩4分に建つ地上7階・全236戸の板状レジデンスだ。価格帯は4,900万円台〜7,300万円台(予定)、竣工は2027年8月予定で、2026年5月下旬から販売を開始。第2期以降を継続販売中で、同駅エリアの新築分譲として注目を集めている。
北習志野駅は東葉高速鉄道で西船橋まで約18分、乗り換えなしで東京メトロ東西線に直通し大手町まで約40分のアクセスを持つ。千葉県内でも船橋市は医療・教育施設が充実しており、子育て世帯の定住率が高い。周辺には「イオンモール船橋」などの商業施設があり、日常の買い物が車なしで完結する環境が整う。
23区の3LDKが1億円超えを常態化させる中、船橋エリアでは同等の広さが5,000〜7,000万円台で視野に入る。SUUMO住みたい街ランキング2026でも船橋が過去最高順位を記録するなど、実需層の評価が上昇している。7階建て・236戸という規模は大規模過ぎず、共用部の管理負担と住みやすさのバランスが取りやすい。郊外移住の受け皿として、夏以降の引き合いが増えそうだ。
船橋は街の規模感がちょうどよく、子育て環境・買い物・交通の3つがバランスよく揃っています。東京まで直通で座っていける東葉高速の存在は、毎日の通勤を考えると大きな魅力ですよ。
相鉄不動産が横浜市泉区で分譲する「グレーシアウエリス横浜ゆめが丘」は、相鉄いずみ野線「ゆめが丘」駅から徒歩1分の駅近立地に建つ地上10階の板状レジデンスだ。2026年1月に竣工し継続販売中。価格帯は6,200万円台〜(販売実例:6,318万円〜6,800万円台)で、ゆめが丘エリアでの新築分譲として存在感を高めている。
ゆめが丘駅は相鉄いずみ野線・東急直通線の結節点として再開発が進行中のエリアだ。2023年の相鉄・東急直通開業で渋谷まで直通・新横浜にもアクセスできるようになり、沿線の注目度が大幅に上昇した。NTT都市開発なども大規模な街区開発を進めており、「これから育つ街」への先行投資という視点で購入検討者が増えている。駅前商業・緑地・ゆとりある住宅街が一体的に整備される計画が進む。
横浜市の新築マンションは横浜駅周辺・みなとみらいの高値化が進む一方、泉区・旭区などの郊外部では比較的手が届きやすい水準が残る。駅徒歩1分という稀少立地に対し、6,000万円台から始まる価格帯は「横浜圏の郊外駅近」としてコストパフォーマンスを意識した層に刺さりやすい。相鉄グループ内一体の再開発で街ぐるみの付加価値形成が見込まれる点も注目だ。
ゆめが丘は「これから変わる街」の雰囲気が出てきていて、街の成長とともに暮らしたい方には面白いタイミングだと思います。渋谷直通の利便性が加わり、街の将来像を楽しみにしながら住める場所ですよ。
三菱地所レジデンスと東急不動産が豊島区で共同開発した「グランドシティタワー池袋」は、JR山手線・東武東上線・西武池袋線「池袋」駅から徒歩8分に建つ地上43階地下1階・総戸数約450戸のタワーレジデンスだ。2025年9月に竣工し継続販売中。池袋駅8分圏内では稀少な大規模タワーとして、豊島区の住宅地価を牽引する物件のひとつに位置づけられている。
池袋は山手線・丸ノ内線・有楽町線・副都心線・東武東上線・西武池袋線と6路線が集まる東京有数の交通結節点だ。近年はサンシャインシティ周辺の再整備や南池袋公園のリニューアルで「住みたい池袋」のイメージが定着しつつある。タワー上層からは東京スカイツリー・新宿副都心方面の眺望が広がり、生活利便と都市景観を両立した物件として評価されている。
価格帯は1LDK帯が7,000万円台〜、3LDK帯が1億3,000〜2億円台と想定され、「池袋エリアでの新築タワー」という稀少性が選択の理由になる。2026年のSUUMOランキングで池袋がトップ層に入り続けるなか、再開発が進む豊島区は資産性の観点でも見直されている。東京23区内タワーとして今後も引き合いが続きそうだ。
池袋は「買い物・交通・文化」の三拍子が揃った街です。南池袋公園のリニューアルで緑のある一角もできて、以前より街の表情がずいぶん穏やかになりましたよ。駅8分歩くぶん、少し落ち着いた住宅街の空気が感じられます。
東急不動産が千葉県印西市で分譲する「ブランズシティ千葉ニュータウン中央」は、北総鉄道「千葉ニュータウン中央」駅から徒歩6分に建つ地上14階・全401戸の大規模レジデンスだ。全住戸が70㎡超の3LDKに統一されており、価格は4,100万円〜6,490万円とファミリー層に向けた現実的な価格設定が特徴。共用施設には本格的なサウナ・フィットネス・マルチラウンジを完備し、都市型の生活スタイルを郊外で実現する設計となっている。
千葉ニュータウン中央駅は北総鉄道と京成本線を乗り換えることで上野・日暮里・都心方面へのアクセスが可能だ。印西市は街区整備が計画的に進んだニュータウンで、大型ショッピングモール・公園・医療施設が整い「暮らしやすさ」の評価が高い自治体。2019年には「全国で最も住みやすい町」調査で上位に入ったことがあり、コロナ後の移住先として注目が集まった経緯を持つ。
23区の新築3LDKが1億円を超えるなか、4,000〜6,000万円台で70㎡超のファミリー向け間取りが選べるエリアは限られる。401戸・14階建てという規模は管理費・修繕積立金のスケールメリットが生まれやすく、本格サウナ付き共用施設もコスト分散効果を活かした設計だ。東京圏の住宅価格高騰を郊外への移住で回避したい実需層に、合理的な選択肢を提供している。
千葉ニュータウンは街の計画性が高く、道も広くて歩きやすいエリアです。大型モールと公園が揃っていて、お子さんを育てるには申し分ない環境。価格面でも70㎡超を4,000万円台から選べるのは、都内では難しい水準ですよ。
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はじめまして、ryoと申します。一級建築士として、集合住宅・分譲マンションの設計に携わっています。
図面を描く仕事を通じて学んだのは、「住まいの良し悪しは、カタログやモデルルームの印象だけではわからない」ということ。構造・管理・立地、そして長く住むための見極め方——設計の現場から見えている景色を、できるだけ平易な言葉でお届けします。
上質なマンション選びのパートナーとして、このノートがお役に立てば幸いです。