東京のマンションを、長く住む視点で見極めるために。
設計に携わる者の目で、カタログには書かれていない大切なポイントを、
分かりやすくお伝えしていきます。
不動産経済研究所が発表した2025年度(2025年4月〜2026年3月)の首都圏新築分譲マンション市場動向によると、発売戸数は前期比2.6%減の2万1,659戸となり、1973年度以来の過去最少を更新した。一方で平均価格は前期比15.3%上昇の9,383万円を記録し、5年連続で過去最高値を更新。東京23区の平均は1億3,784万円に達し、23区内の新築マンションが事実上の「億ション標準化」時代に入ったことを示している。
「量は減り、値は上がる」という構造の背景には、建設コスト高騰・人手不足・円安による資材価格上昇という複合的な要因がある。2025年4月からは建築物への省エネ基準適合義務化が加わり、コストをさらに押し上げた。初月契約率は2025年度通期で68.1%と業界標準の70%をたびたび下回り、高すぎる価格設定が実需層を遠ざけている実態が数字に表れている。
この局面が示すのは、「新築を待ち続ける戦略」が機能しにくくなりつつあるという現実だ。供給が減れば選択肢は狭まり、価格が上がれば購入のハードルは高くなる。中古マンションへの関心が高まるなか、「どの街でどんな暮らしをしたいか」を起点に新築・中古を問わず候補を広げて考えることが、2026年の住まい選びの現実解となってきた。
供給が減るなかで「希少な新築」という言葉に焦らされるのは禁物です。どの街でどんな暮らしがしたいかを起点に、中古も視野に入れながら焦らず街を歩いてみることが、長く後悔しない選び方につながりますよ。
LIFULL HOME'Sが2026年の住宅市場トレンドワードのひとつに選定した「新築氷河期」が現実の市場に定着しつつある。不動産経済研究所によると、2025年度の首都圏新築マンション発売戸数は過去最少の2万1,659戸となり、2026年の供給見通しも2万3,000戸前後と低水準が続く見込みだ。1970年代の高度成長期以来、供給がここまで細った局面は例がなく、「少ない新築」が標準化しつつある。
背景にあるのは構造的な建設コスト高騰だ。鉄鋼・コンクリート価格は5年間で3〜4割上昇し、建設業界の人手不足も深刻化している。2025年4月から建築物への省エネ基準適合が義務化され、断熱・設備コストがさらに上乗せされた。採算割れリスクの高い案件はデベロッパーが手控えており、大手各社が利益率の高い都心高額物件に絞る一方、郊外の手頃な価格帯の新築供給が細っているのが実態だ。
「新築氷河期」の中で実需層の選択肢はどうあるべきか。供給が少なく価格が高い新築に固執するより、豊富な在庫がある中古市場に目を向けることが現実的だ。首都圏周辺の郊外エリアでは相対的に手頃な新築が残っており、グリーン車通勤など「座って移動する」手段の充実も追い風に、郊外駅近の大規模マンションへの関心が高まっている。
「新築が少ない」というのは、逆にじっくり選ぶ時間が生まれているということでもあります。供給が少ないからこそ、気になるエリアの街並みを何度も歩いておくことが、いい物件に出会ったときに即断できる準備になりますよ。
LIFULL HOME'Sが2026年の住宅市場トレンドワードとして提唱した「こちくら郊外(心地よい暮らし郊外)」が、実需層の住まい選びに浸透している。同社の「住みたい街ランキング2026」首都圏版では初めて上位3駅が全て郊外エリアとなり、都心回帰の流れに変化が起きていることを示した。テレワーク定着による出社頻度の低下と、グリーン車・有料特急による「座って通勤」の現実化が、都心から離れたエリアでも快適な暮らしが成立する環境をつくり出している。
背景には都心新築マンションの価格高騰がある。東京23区の平均が1億3,784万円に達する中、実需層が都心に住む選択肢を持てなくなりつつある。その受け皿として注目されているのが、JR各線・東急・京王・小田急の郊外沿線だ。駅徒歩3分以内・3LDK・70㎡超が3,000〜5,000万円台で手に入るエリアへの需要は堅調で、千葉・神奈川・埼玉の中古マンション成約件数も前年比で軒並みプラスを記録している。
「こちくら郊外」が示すのは単純な「都会vs郊外」の話ではない。グリーン車で座れるなら通勤時間が多少長くても苦痛が少ない。広い部屋と公園のある環境で子育てがしやすい。商店街の顔なじみとの関係が暮らしを豊かにする——こうした「暮らしの総量」を都心よりも豊かにできる郊外が、2026年の住まい選びの現実解として改めて注目されている。
郊外の駅近で、街の規模がちょうどよいエリアというのは、長く住んでみると「ここに来てよかった」という実感が積み重なります。通勤の時間より、休日の心地よさや毎日の買い物のしやすさが、暮らしの満足度をつくっていきますよ。
新日本建設が千葉市美浜区で分譲する「エクセレントシティ稲毛海岸 THE STATION GRAN」は、JR京葉線「稲毛海岸」駅から徒歩3分の立地に計画される、総戸数263邸の大規模板状レジデンスだ。全邸が南東向きに配置され、1LDK〜4LDK(38.48㎡〜82.65㎡)の住戸で構成される。2026年7月から販売を開始する予定で、千葉市美浜区における大規模駅近物件として注目を集めている。
稲毛海岸は、JR京葉線で東京駅まで約30分・海浜幕張まで数分というアクセスを持ちながら、稲毛海浜公園・稲毛の浜が生活圏にある豊かな自然環境が広がる住宅エリアだ。都心の新築価格が高騰するなか、千葉市美浜区は「こちくら郊外」の代表格として中古・新築ともに成約件数が前年比プラスを続けており、首都圏で最も需要が底堅いエリアのひとつとなっている。
注目すべきは、263邸・全棟南東向きという設計の一貫性だ。大規模でありながら全邸が明るい南東向きというのは、採光の面でマンション選びの大きな安心材料となる。駅徒歩3分という数字も、毎日の通勤・買い物・雨の日の移動に体感として大きな差を生む。「都心と同じ広さが半分以下の価格で」という現実の選択肢として、稲毛海岸エリアへの関心が実需層の間で高まっている。
稲毛海岸は、海が近くて広さも確保できる、都内ではなかなか得られない暮らしの豊かさがあります。京葉線で東京まで30分と聞くと遠く感じるかもしれませんが、毎日の景色と空間の広さが、暮らしの満足度をじわじわと高めてくれるエリアですよ。
株式会社マリモが分譲する「ポレスター大宮ブライト」は、さいたま市大宮区に建設予定の全52邸の板状マンションだ。JR「大宮」駅から徒歩9分のアクセスを持ち、1フロア4邸という少数精鋭の配置により角住戸率100%を実現している。住戸は2LDK〜3LDK(55.18㎡〜67.32㎡)で構成され、2026年7月中旬から第1期の販売を開始する予定だ。
大宮は新幹線(上越・東北・北陸)と在来線が集結する埼玉最大のターミナルで、上野・東京方面への通勤に加え、新幹線通勤の選択肢も持つ。都心3区の平均が1億円を超える局面で、大宮駅9分・2〜3LDKという物件への実需層の関心は高まり続けており、「こちくら郊外」の流れに乗ってさいたま市内マンションの注目度が増している。
角住戸率100%という設計は、実際に住む側にとって大きな価値を持つ。角住戸は採光・通風の面で優れるだけでなく、隣接住戸との音の問題も大幅に軽減される。1フロア4邸という少戸数が生み出すプライベート感と大宮の圧倒的な交通利便性の組み合わせは、大規模タワーとは異なる住まいの質を提供している。現実の予算圏で「角部屋・駅近・適正規模」を叶えられる選択肢として評価が高い。
大宮は、新幹線も使える交通利便の高さと、街の落ち着きが共存しているエリアです。1フロア4邸というのは、住む人同士の顔が見えるスケールで、コミュニティが自然と育ちやすい——長く住んでいくのに向いている規模感ですよ。
阪急阪神不動産とJR西日本プロパティーズが共同で世田谷区に分譲する「ジオ学芸大学」は、東急東横線「学芸大学」駅から徒歩11分に建つ地上3階・地下1階建ての低層レジデンスだ。全74邸・18タイプ・50バリエーションという多彩な住戸構成で、1LDK〜3LDK(45.49㎡〜85.66㎡)が揃う。2026年7月中旬から第1期の販売が始まる予定で、世田谷区内の希少な低層レジデンスとして注目されている。
学芸大学は、東急東横線でも特に「住みやすさ」で評価が高い駅のひとつだ。大型ショッピングモールはないが、商店街・カフェ・個人書店が充実し、地に足のついた日常が送りやすい。「タワーではない、でも城南で都心にも出やすい」という低層×世田谷の組み合わせは、住まいの価値軸を「眺望と高さ」から「街との親和性と暮らしやすさ」へと転換しつつある2026年の市場で、的確な位置づけを持つ。
74邸・3階建という物件規模は、共用部の管理費や修繕積立金の圧力が大規模タワーに比べて小さく、実際のランニングコストを見通しやすいという利点がある。全18タイプ50バリエーションという設計の多様性は、単身・DINKS・ファミリーまで幅広い需要に対応しており、世田谷区内でも低層・少戸数の物件は希少性が高く、購入後の資産流動性という観点でも市場評価が高い。
学芸大学は、街を歩いていると心地よさを感じる、東京の中でも特別なスケールの街です。小さな個人書店やカフェが続く商店街は、毎日の暮らしに豊かさを添えてくれますよ。
株式会社モリモトが文京区で分譲する「ディアナコート文京白山」は、都営三田線「白山」駅から徒歩2分、東京メトロ南北線「本駒込」駅から徒歩4分の台地上に建つ、全52邸(一般分譲37邸)のプライベートレジデンスだ。地上10階建・1LDK〜3LDK(31.11㎡〜103.30㎡)の構成で、全邸6m超のワイドスパン設計と角住戸率約67%を実現。2026年9月下旬の販売開始に向けて事前案内が進んでおり、ZEH-M Oriented認定を取得予定だ。
白山は、大手町まで都営三田線で直通約8分という都心アクセスを持ちながら、文京区の静かな住宅地に位置している。本郷台地の高台で地盤が安定しており、近隣には白山神社・小石川植物園・公園が続き、都心とは思えない落ち着いた緑の環境が広がる。文京区はタワーマンションが少なく、低・中層の品位ある住宅地として定着しており、都心の喧騒を避けながら利便性を確保したい層からの支持が高い。
モリモトのディアナコートシリーズは、少戸数・高仕様・内廊下設計の「ホテルライク」な住環境を特長とし、管理の行き届いたプライベートレジデンスとして長く評価を受けてきた。今物件では全邸が6m超のワイドスパンを持ち、角住戸率67%という数字は採光・通風に優れる住戸が多数を占めることを意味する。大手町まで8分・日比谷まで12分というアクセスと、文京区の静かな暮らしを両立できる希少な選択肢として注目されている。
白山は、大手町に近いのに静かで、台地の上に建つ安心感もある——文京区の中でも特に「住んでいる人が満足している」印象の強い街です。商店街も適度にあって、暮らしが自然にそこで完結していくエリアですよ。
2026.07.10
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はじめまして、ryoと申します。一級建築士として、集合住宅・分譲マンションの設計に携わっています。
図面を描く仕事を通じて学んだのは、「住まいの良し悪しは、カタログやモデルルームの印象だけではわからない」ということ。構造・管理・立地、そして長く住むための見極め方——設計の現場から見えている景色を、できるだけ平易な言葉でお届けします。
上質なマンション選びのパートナーとして、このノートがお役に立てば幸いです。