東京のマンションを、長く住む視点で見極めるために。
設計に携わる者の目で、カタログには書かれていない大切なポイントを、
分かりやすくお伝えしていきます。
東京カンテイが発表したデータによると、東京23区の分譲マンションにおける賃貸利用割合が6年ぶりの低水準となった。中古マンション市場が高値圏にある中、含み益を確定させようと売却に踏み切るオーナーが急増していることが背景にある。23区の築5年以内の中古成約は前年比4.8%増・築10年以内では同10.8%増と、早期売却のトレンドが数字にも表れている。
「貸すより売る」選択が広がることで中古物件の市場流入量が増え、購入希望者には選択肢の広がりが期待できる。2026年7月時点で首都圏の中古マンション在庫は45,995件(前年比3.5%増)と4カ月連続で増加しており、新築の高値圏と対照的な「中古の選びやすい環境」が整いつつある。ただし中古価格自体も坪単価前年比5.9%上昇と堅調であり、エリアや築年数によって割安感は大きく異なる。
売却増加は賃貸市場にも波及している。賃貸に回る分譲マンションが減れば需給は逼迫し、家賃上昇圧力につながる。すでに23区の分譲マンション賃料は25カ月連続で上昇基調にある。「新築は高い→賃貸も上がる→中古を検討」という実需層の行動変化が、2026年後半の住宅市場の方向性を決める局面となりそうだ。
「貸すより売る」オーナーが増えるということは、中古市場に良い物件が出てくるチャンスでもあります。焦らず、住みたいエリアの中古を継続的にチェックしておくと、思わぬ掘り出し物に出会える時期かもしれませんよ。
日本経済新聞が報じた2026年上半期の首都圏新築マンション動向によると、専有面積60㎡未満の「狭い億ション」が都心供給の主流となっている。廊下・バス・洗面台などの非居住スペースを圧縮してリビングダイニングに振り向けることで「小さいが居心地の良い住空間」を実現する設計が急速に普及した。価格帯は1億円前後が中心で、エントリー層の購入ハードルを抑えながら都心立地の価値を提供する形が広まっている。
背景にはデベロッパー側の用地不足と建設コスト高騰がある。大規模な敷地を確保しにくい都心では住戸の小型化が進み、総価格を抑えて購入層を広げる戦略が定着している。大手各社が「コンパクト都心型」の新ブランド展開を強化しており、2026年下半期も同傾向が続く見通しだ。一方、2LDK・3LDKの「広い新築」を求める実需ファミリー層の選択肢は都心から城東・郊外へとシフトが続いている。
消費者の受け止め方は分かれる。単身・DINKS層にとっては「都心・利便・億以内」の組み合わせが現実的な選択肢になる一方、ファミリー層には「都心では広さを選べない」という現実がある。「広さか立地か」という二択が2026年の都市居住者に突きつけられており、エリア選択の重要性が一層増している。
「狭い億ション」の住みやすさは、マンションの外の街の豊かさで補われます。駅前のカフェ・商店街・公園——扉を開けた先の街が充実しているかどうかが、小さな住まいを快適にする鍵ですよ。
LIFULL HOME'Sが発表した2026年住宅・不動産市場トレンドワードで首位となったのが「卒・タワマン所有主義」だ。新築タワーマンション価格が億超えとなり「普通の年収では買えない」状況が続く中、タワー所有を目指すのではなく「本当に暮らしやすい場所・街・規模」を軸に住まいを選ぶ人が増えている現象を捉えた言葉だ。同時に「こちくら郊外」(地方・郊外でクリエイターが暮らす)「住まい探しもAI相談」「0LDK」なども上位にランクインし、多様化する居住価値観が鮮明になった。
「卒・タワマン所有主義」の広がりには、タワーへの気づきも影響している。大規模修繕費用の膨大さ、管理組合運営の難しさ、住人が頻繁に入れ替わり地域コミュニティとの結びつきが薄くなりやすいこと——こうした「タワーに住んでわかる側面」が口コミを通じて広まっている。一方で低層・板状マンションや郊外の住まいが「暮らしの豊かさ」という観点から再評価されている。
もう一つのキーワード「こちくら郊外」も注目だ。テレワーク定着後、首都圏郊外や地方都市に移り住む動きへの関心が高まっている。週3日程度の出勤なら「都心から60〜90分圏内でも暮らしの豊かさは担保できる」という選択が現実的になっており、城東・多摩・埼玉・千葉・神奈川の実需向け物件に光が当たり続けている。
「どの街に住むか」を先に決めると、タワーかどうかは自然と答えが見えてきます。毎日歩く商店街・週末に行く公園・近所の子どもたちの声——街の個性を先に選ぶことが、長く愛着を持てる住まい選びの近道ですよ。
住友不動産が品川区大井6丁目で分譲する「シティハウス品川大井」は、JR京浜東北線「大井町」駅から徒歩9分に建つ地上14階・全84邸の板状レジデンスだ。2LDK〜3LDK(58.30〜79.40㎡)のファミリー向け間取りを揃え、2026年7月に第1期販売を開始した。大井町駅圏の再開発が進む品川区に位置し、JR京浜東北線・東急大井町線・りんかい線の3路線が利用可能な好アクセス立地が特徴だ。
大井町は近年、品川区の「南の拠点」として注目が高まっている。イトーヨーカドー大井町店・アトレ大井町をはじめとする商業施設の充実に加え、近年はアーバンスポーツ施設・飲食店・カフェの開業も続き、若年層・子育て世帯に人気のエリアに変化しつつある。東急大井町線で自由が丘まで約10分、二子玉川まで約17分というアクセスも魅力だ。
品川区の新築マンション価格は目黒区・世田谷区と比べると割安感があり、同等スペックで1〜2割程度低い水準で取得できるケースが多い。3路線利用で都心各地に通いやすいうえ、品川・羽田空港方面へのアクセスが良好な点も評価されている。「城南エリアに住みたいが予算を少し抑えたい」という実需ファミリーにとって、選択肢として注目の物件だ。
大井町は「個人店のカフェと大型商業が混在する」バランスが良い街です。近くにアーバンスポーツ施設もできて、若い世代が集まる新しいムードが生まれてきていますよ。
一建設が埼玉県川口市並木元町で分譲する「プレシス川口並木元町」は、JR京浜東北線「川口」駅から徒歩13分・「西川口」駅から徒歩14分に建つ地上10階・全28邸のコンパクトなレジデンスだ。2LDK〜3LDK(56.16〜68.70㎡)と実需ファミリー向けのラインナップで、価格は4,400万円台〜(2LDK)と都内に比べて手の届きやすい水準が特徴。2026年7月に第2期の販売が行われる。
川口市は東京都と埼玉県の境界に位置し、JR京浜東北線で東京駅まで約23分とアクセスが良好だ。並木元町エリアは閑静な住宅地で、徒歩圏内に大型商業施設「アリオ川口」(約90テナント)があり、日常の買い物に困らない環境が整っている。川口市の待機児童数は年々減少しており、公立保育所・幼稚園・小学校の整備が進む子育て支援体制も支持されている。
東京23区の新築マンション平均が1億4,000万円台を超える中、川口市では3LDK/60〜70㎡台が5,000〜6,000万円台で取得できるケースが多い。「東京通勤可能・広さ確保・価格抑制」の三拍子を実現できる川口市は、2026年後半も「東京東エリアの実需の受け皿」として注目が続きそうだ。全28邸という小規模物件のため、早期に完売となる可能性もある。
川口は「埼玉都民の定番」というイメージがありますが、アリオ川口という大型施設が徒歩圏にある住環境は実は便利です。東京駅まで23分で、この価格帯の選択肢はなかなかありませんよ。
東急不動産が江東区亀戸3丁目で分譲する「ブランズ江東亀戸」は、JR総武線「亀戸」駅から徒歩10分に建つ地上12階・全96邸の板状レジデンスだ。2LDK〜3LDK(57.20〜82.35㎡)のラインナップを揃え、2026年7月に販売を開始した。東京東エリアの城東拠点として再評価が進む江東区に位置し、亀戸の下町情緒と都心アクセスの両立が魅力だ。
亀戸はJR総武線(各駅)で秋葉原まで約11分・錦糸町まで約2分と都心へのアクセスが良好だ。亀戸天神社・亀戸梅屋敷・亀戸スポーツセンターなど地域の文化資源も豊富で、「下町文化が生きる城東の街」として若年層・ファミリー層への認知が広がっている。東武亀戸線も乗り入れており、移動の選択肢が多い点も評価される。
江東区の新築マンション価格は都心3区・副都心エリアと比べて2〜3割割安で、同スペックの3LDK/75〜80㎡が7,000〜9,000万円台で取得できるケースが多い。錦糸町・亀戸エリアは2026年に入って飲食店・カフェの開業が増加しており、「城東エリアの再評価」という流れを象徴する地域の一つになりつつある。
亀戸天神の藤まつり・梅まつりに代表される季節のイベントが根付いていて、街のリズムが感じられます。錦糸町まで2分の利便性を持ちながら、亀戸の下町感が残る——城東らしい暮らし方ができますよ。
三菱地所レジデンスが川崎市川崎区で分譲する「シティタワー川崎」は、JR京浜東北線・東海道線「川崎」駅から徒歩9分に建つ地上38階・全420邸の大規模タワーレジデンスだ。1LDK〜3LDK(34.20〜102.50㎡)と幅広い間取りを揃え、2026年7月に第3期の販売を行う。神奈川県の拠点都市・川崎から都心各方面へのアクセスを活かした「神奈川発の大型タワー」として注目を集めている。
川崎駅はJR東海道線・京浜東北線・南武線の3路線と京急川崎駅(京急本線・空港線)が乗り入れる交通ハブだ。東海道線で品川まで約9分・東京まで約18分と都心アクセスが良好で、羽田空港も京急で約20分圏内という利便性がある。川崎駅周辺はラゾーナ川崎・アトレ川崎などの大型商業施設が充実しており、「横浜ほど東京から遠くなく、都心ほど高くない」という立地バランスが支持されている。
神奈川県の新築タワーマンションは東京23区と比較して価格が抑えられる傾向があるが、川崎駅徒歩圏という立地のため1LDK帯から4,000〜5,500万円台、3LDK/100㎡超は1億3,000〜1億5,000万円台を想定する。品川・東京へのダイレクトアクセスを重視しつつ、横浜みなとみらいより予算を抑えたいという実需層や神奈川在住者からの注目が高い。
川崎はラゾーナという巨大商業施設が駅前にあって、日常の買い物は申し分ない街です。品川まで9分・東京まで18分で、このクラスのタワーが選べるエリアは神奈川ではなかなかありませんよ。
2026.07.31
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はじめまして、ryoと申します。一級建築士として、集合住宅・分譲マンションの設計に携わっています。
図面を描く仕事を通じて学んだのは、「住まいの良し悪しは、カタログやモデルルームの印象だけではわからない」ということ。構造・管理・立地、そして長く住むための見極め方——設計の現場から見えている景色を、できるだけ平易な言葉でお届けします。
上質なマンション選びのパートナーとして、このノートがお役に立てば幸いです。