東京のマンションを、長く住む視点で見極めるために。
設計に携わる者の目で、カタログには書かれていない大切なポイントを、
分かりやすくお伝えしていきます。
東日本レインズが公表した2026年5月の首都圏中古マンション市場データによると、成約㎡単価は前年同月比3.9%下落の266.6万円(坪267万円)となり、2020年4月以来73ヶ月ぶりに下落へ転じた。成約価格も4.6%下落の5,067万円と、2024年10月以来19ヶ月ぶりのマイナスとなっている。
成約件数は前年同月比3.4%減の3,709件で2ヶ月連続の減少、在庫件数は3.4%増の45,804件と3ヶ月連続で積み上がった。売り出しは増える一方で買い手の動きが鈍り、需給のバランスが少しずつ緩んできたことがうかがえる。
もっとも、これは一律の値下がりではない。価格が高くなりすぎた都心ほど調整が目立ち、駅近・人気の街は底堅さを保つなど、街ごとの差が広がっている。値上がり一辺倒だった数年が一区切りを迎え、「どの街なら長く支持されるか」を冷静に見る局面に入ってきた。
価格が下がり始めても、住みたい人が絶えない街は値崩れしにくいものです。数字の上下に一喜一憂するより、その街に人が根づき続ける理由があるかを確かめる目線が、これからますます大切になりますね。
東日本レインズの2026年5月データを地域別に見ると、東京23区の中古マンション成約件数は1,452件で前年同月比17.9%減という記録的な落ち込みとなった。価格が上がりすぎた都心では、買いたくても手が届かない層が増え、取引そのものが細っている。
対照的に、千葉県は+19.9%、神奈川県他は+14.2%、埼玉県は+6.3%、横浜・川崎市は+6.0%、多摩は+2.2%と周辺エリアが軒並み増加。都心の予算で手が届く駅近の住まいを求めて、実需層が外側のエリアへと選択肢を広げている構図がはっきりと表れた。
2026年度は新築の供給も千葉・埼玉・東京都下といった郊外がけん引する見込みで、この流れはしばらく続きそうだ。これまで脇役だった街に新しい住民が増えれば、商店街の活気や子育て世代の厚みといった、暮らしの豊かさにもつながっていく。
都心一極から周辺の街へ人が動くのは、街が若返る好機でもあります。これから伸びる街は、駅前のにぎわいや公園・学校の充実度に表れます。背伸びして都心を狙うより、毎日の暮らしが気持ちよく回る街を選ぶ視点が報われる時代ですね。
足元のマンション市場は、ひとことでは語れない二つの顔を持つ。新築は供給が絞られ平均1億円超の高値が続く一方、中古は5月に成約㎡単価が73ヶ月ぶりに下落へ転じた。同じ「マンション」という言葉でも、新築と中古、都心と郊外で明暗がくっきり分かれてきている。
差を生んでいるのは立地・築年数・管理の状態だ。駅近・築浅で管理が行き届いた物件は買い手が途切れず底堅い一方、駅から遠い物件や管理に不安のある古い物件は値引きを迫られやすい。「マンションだから安心」という時代ではなく、一つひとつの中身が問われる局面に移った。
こうした二極化のなかで効いてくるのが、「この街に長く住み続けたい人が集まり続けるか」という視点だ。スーパーや公園、医療や商店街がそろい、世代を超えて人が根づく街は、価格の波に強い。物件カタログの数字だけでなく、実際に街を歩いて確かめる一手間が、後悔しない選択につながる。
二極化の時代は、裏を返せば「いい街・いい住まいが正しく評価される時代」でもあります。週末に現地を歩き、住んでいる人の表情や商店街の活気を見れば、その街が長く愛される場所かどうかは案外わかるものですよ。
伊藤忠都市開発がさいたま市浦和区東高砂町で分譲する「クレヴィア浦和」。JR「浦和」駅徒歩3分、京浜東北線・湘南新宿ライン・上野東京ラインなど複数路線が使える駅前立地に建つ、地上14階・全25戸の中規模レジデンスだ。住戸は3LDK(65.32〜108.73㎡)で、2026年4月上旬引渡予定。現在販売中となっている。
浦和は文教の街として長く知られ、教育環境の良さと落ち着いた住宅地の評価から、さいたま市内でも安定した人気を保つエリア。駅前には百貨店や商業施設が集まり、都心への通勤利便と地元での生活完結のバランスが取れている。価格高騰が続く都心の予算で、駅徒歩3分の住まいに手が届く点は大きな魅力だ。
25戸という小ぶりな規模は、住む人どうしの顔が見えやすく、落ち着いたコミュニティが育ちやすい。65〜108㎡と住戸の幅も広く、夫婦から子育てファミリーまで対応できる。都心から少し外側に視野を広げる住み替え層にとって、駅前の利便と文教の安心を両立する有力な選択肢になる。
浦和は「子育てするなら」と長く選ばれてきた街で、駅徒歩3分という立地はその魅力をまるごと享受できます。25戸の落ち着いた規模感も、腰を据えて長く暮らしたい家族に似合いますね。
名鉄都市開発が厚木市中町で分譲する「メイツ本厚木」。小田急小田原線「本厚木」駅徒歩3分の駅近立地に建ち、住戸は1DK〜3LDK(34.65〜80.32㎡)と幅広く、全戸南東向きで日当たりに配慮した計画だ。2026年7月上旬の販売開始予定、9月下旬入居予定で、単身からファミリーまで多様な層を受け止める。
本厚木は小田急線で新宿へ快速急行で直通し、神奈川県央部の生活・商業の中心地として栄える街。駅前には大型商業施設や飲食店が集積し、毎日の買い物から休日の楽しみまで駅周辺で完結する。都心の価格水準とは一線を画す手頃さで、駅徒歩3分の利便を確保できる点が際立つ。
全戸が南東を向く配置は、どの住戸でも朝の光を採り込みやすく、暮らしの心地よさにつながる。コンパクトな1DKから家族向けの3LDKまでそろうため、ライフステージに応じた住み替えも同じ街の中で描きやすい。県央エリアでゆとりある暮らしを求める層には、現地で確かめる価値がある。
本厚木は買い物も外食も駅前で完結する、暮らしやすさの実感が高い街です。駅徒歩3分で全戸南東向きという日当たりの良さは、毎日の気持ちよさに直結します。新宿直通の安心感も後押しになりますね。
日鉄興和不動産が世田谷区上馬5丁目で分譲する「リビオ駒沢大学レジデンス」。東急田園都市線「駒沢大学」駅徒歩13分、東急世田谷線「松陰神社前」駅徒歩7分に位置し、地上3階・全17戸の低層レジデンスだ。住戸は2LDK〜3LDK(58.23〜121.34㎡)とゆとりがあり、2026年10月引渡予定。渋谷へ直通8分というアクセスの良さも備える。
上馬・駒沢エリアは、駒沢オリンピック公園の緑や三軒茶屋のにぎわいを生活圏に持ちつつ、一歩入れば閑静な住宅街が広がる世田谷らしい街並み。世田谷線沿線の松陰神社前は個人商店やカフェが点在し、ゆったりとした下町情緒が残る。渋谷至近でありながら、せかせかしない暮らしのリズムが手に入る立地だ。
17戸という小規模の低層は、住む人の顔が見えやすく、落ち着いた住環境が長く保たれやすい。58〜121㎡と住戸面積の幅が広く、夫婦二人から子育て世帯まで対応できる。都心へのアクセスと緑豊かな住環境を両立したい層に、世田谷の中でも穏やかなこの一角は魅力的に映る。
松陰神社前あたりは、商店街の人情と渋谷至近の便利さが同居する、世田谷でも気持ちのいいエリアです。17戸の低層という穏やかな佇まいは、街の雰囲気そのままに長く暮らせる安心感がありますね。
東急不動産が江東区塩浜2丁目で分譲する「ブランズタワー塩浜」。東京メトロ東西線「木場」駅徒歩9分に立つ全563戸の大規模タワーレジデンスで、2026年3月に竣工し現在販売中だ。城東・ベイサイドエリアの再開発が進むなか、まとまった戸数を擁する存在感のある住棟として注目を集めている。
木場・塩浜エリアは、木場公園の広大な緑と運河沿いの水辺景観が身近にある、江東区ならではの開放的な住環境。東西線で「大手町」「日本橋」へ短時間でアクセスでき、都心通勤圏でありながら下町の生活感と水辺のゆとりが共存する。大型商業施設や生活利便施設もそろい、ファミリー世代の支持が厚い。
563戸という規模は、共用施設や管理体制を充実させやすく、長期にわたる住環境の維持に有利に働きやすい。多くの世帯が暮らすことで、防災やコミュニティの面でも厚みが生まれる。都心至近の利便と、公園・運河に囲まれたのびやかさを両立したい層にとって、城東ベイサイドの選択肢として有力だ。
木場公園の緑と運河の水辺がすぐそばというのは、都心至近では得がたい贅沢です。大手町まで一本という便利さと、下町のゆったりした空気が同居する塩浜は、家族で長く根づくのに向いた街ですね。
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はじめまして、ryoと申します。一級建築士として、集合住宅・分譲マンションの設計に携わっています。
図面を描く仕事を通じて学んだのは、「住まいの良し悪しは、カタログやモデルルームの印象だけではわからない」ということ。構造・管理・立地、そして長く住むための見極め方——設計の現場から見えている景色を、できるだけ平易な言葉でお届けします。
上質なマンション選びのパートナーとして、このノートがお役に立てば幸いです。